月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

151.花道も流川もいない!?韓国語版スラムダンクに見る儒教(月刊「祭」2019.8月6号)

2019-08-06 08:31:16 | コリア、外国
日本のアニメや漫画は世界中で人気で、韓国も例外ではありません。しかし、国が違えば言葉も文化も違います。その翻訳の仕方に韓国の儒教文化が見えてきました。スラムダンクの最終巻から見ていきましょう。

桜木花道も流川楓もいないスラムダンク
まずは登場人物です。
プクサン高校 漢字で書いたら北山高校? 湘北ではなくなっています。
・カンペコ
赤い髪のパワーフォワード。一年生。高校生からバスケを始める。チェソヨンに一目惚れ。

・ソテウン
一年生のスーパールーキー。寡黙だが、極度の負けず嫌い。スモールフォワード

・チェチス
ゴリラ顔のキャプテン。バスケにかける情熱はすさまじいものがある。

・チェソヨン
チェチスの妹。ソテウンにゾッコン。夏の大会以後はマネージャーになる。

・ソンテソプ
イハナにゾッコンの2年生。スピード命のポイントガード

・チョンテマン
中学MVPのシューティングガード。一時期グレてたけど、再びバスケ部に戻る。

・イハナ
2年生のマネージャー。

サンワン(工業?)高校 漢字で書くと山王!?
・シンヒョンチル
元ガードの全国トップクラスのセンター。ゴリラを丸くした感じ。3年

・イミョンホン
キャプテンで、冷静沈着。語尾にいろんな言葉を使う。3年

・チョンウソン
強い相手だと燃える天才フォワード。2年生。張り合いがないと集中力を切らす場面も。



桜木花道・カンペコの言葉遣い
誰が誰だか分かったでしょうか。
一番上だけ答えをいうと、カンペコは桜木花道ですね。
花道は元ヤンの単純王で、マネージャーと晴子さんには敬語を使いますが、他には一切敬語を使いません。ある時はマネージャーのアヤコさんに「なんで私に敬語で安西先生には敬語じゃないの?」と突っ込まれる始末。こんなシーンもありました。背中を痛めて試合に出るのを咎められた花道・カンペコが、安西先生に話すシーンです。

(安西先生のアゴをビーとのばす。)
オヤジ。おまえの栄光の時代はいつだよ?
日本代表の時か?
オレは今だよ。

こんな感じだったはずです。

では、韓国語版ではどうでしょうか。

영감님의영강의 시대는 언제였죠

ヨンガンニムエ ヨンガンシデヌン オンジェヨッチョ?
국가대표였을 때였나?
クッカデピョ テヨンナ
난 지금입니다.
ナンチグムイムニダ


영감님ヨンガンニム
先生を呼ぶ場合、先生の韓国語読み선생ソンセンとなります。そして、儒教の国らしく様に該当する님ニムをつけます。ですが、カンペコ(花道)はそれは使いません。年配の男性の呼称の영감ヨンガンを使います。ですが、やっぱり敬称のニムを使っています。ではニムを外したらいいのかというとそういうわけでもなく、そうなると花道でもキツいニュアンスになるということでしょうか。

요ヨ
요ヨは口語の「です、ます」に該当します。韓国では子どもが両親に対しても요ヨを使います。これも、花道くらいワンパクでも、ヨを安西先生に使わないのは不自然な感じがするのでしょう。

입니다イムニダ
입니다イムニダは、文章にも使える-ですを表します。요ヨより改まった表現になるので、カンペコ(花道)が使っていることに少し驚きました。

敬語のハードル
韓国では儒教文化が今も大切にされています。なので、目上の人に対して敬語を使う範囲も広くなりました。かといって、先生や親とも他人行儀というわけでもないので、直訳すると「花道が敬語使ってる」ということもあるみたいです。









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