月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

380.神輿屋根屋台の呼称とケンキュウシャの名著の問題点(月刊「祭御宅」2022.1月2号)

2022-01-18 23:33:24 | 屋台・だんじり・神輿-研究史・名著-

●意外と悩んだ二種類の神輿屋根屋台の呼称

 拙稿(御影史学論集46.2021)を執筆するにあたり、悩んだのが神輿屋根型屋台の呼称です。管理人は播州屋台研究の礎を作った粕谷氏が「男が咲かす祭り華」(1996)などで記述した網干型、灘型という言葉を当初使っていました。しかし、自分達の屋台が「灘型」といわれるのは違和感があるという意見を某SNSグループでみました。

そのグループでは東西にわけるという意見もあり、管理人もそれにかたむきかけました。しかし、管理人の拙稿の内容が担ぎ方も言及しているので、この本このサイトを参考に担ぎかたで「練り合わせ型」と「チョーサ型」に分類しました。





●神輿屋根屋台分類の先駆けと、この本の問題点

先述のとおり、屋台を分類してその歴史や特性を始めに述べたと思われるのは粕谷氏です。播州祭礼研究室がそれに引き続きました。管理人もこの影響を受けて、灘型、網干型としていました。

播州祭礼研究室のご教示を受けて書いたと思われるこの本では、該当記事の著者がみいだしたものとして、練り合わせ型、練り型としています。管理人は、拙稿において「練り合わせ型」の言葉は使わせていただきましたが、「練り型」は使わず「チョーサ型」としました。

というのは、「練り型」とされたものの内、昔の型は「飾り屋台」などと呼ばれるのに対して、「練り合わせ型」とされたものは「練り屋台」と呼ばれることから混同がおきるおそれがあったからです。学生さん達やケンキュウシャと呼ばれる方達がもっとも参考にされると思われる本で使われた呼び名はそっくりそのまま使わない方がいいというのが、管理人が出した結論です。


この本の功績

大きな問題点もありますが、多数の著者により書かれたこの本が名著であることも事実です。特に田村氏の古文献や絵図を用いた屋台の形の歴史的な変遷などはわかりやすく整理されており、屋台変遷史に大きな進歩をもたらせたものといえるでしょう。

また、各祭の報告も丁寧な聞き書きなどをもとにして、記録されており、現地の人が忘れかけていたことも書かれていることもあります。その一方で、普段から屋台を見てない触っていない、祭りに深くかかわっていない著者の方達の研究ゆえの大きな問題点もみうけられました。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 379.大盛況の大宮八幡宮初詣(... | トップ | 381.納得行く新調・改修の共... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

屋台・だんじり・神輿-研究史・名著-」カテゴリの最新記事