月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

407.御神火夜話-若い人たちのお宮の参拝事情-(月刊「祭御宅」2023.1月1号)

2023-01-06 21:40:58 | 民俗・信仰・文化-伝承・信仰-
●火を囲んで聞く話
 小学生の教材にもなっている、三年とうげ。そのもとの話は、「温突(オンドル)夜話」という本に所収されています。寒い夜は、温突であたためた暖かい部屋で、お話を楽しみましょうといった意味でしょうか。
同様に、民俗学者・宮本常一も「炉辺夜話」という本をだしています。いろりで聞いた話というところでしょう。冬の夜は、火を囲んで様々な話をして楽しんだのは、日本でも朝鮮半島でも共通するのでしょう。
現代はスマホなどの普及で、そんなことも減ったのかもしれません。ですが、管理人はひょんなことから地元三木市の大宮八幡宮で総代をつとめることになり、大晦日から正月にかけて神社で焚かれる御神火のもりをしました。その火を眺めながら聞いた話をすこしばかりしたいと思います。

●本殿での御神火点火から境内のお焚きあげ用の火への点火
大晦日の夕方、各町氏子総代のもと、宮司さんが本殿内で御神火を点火されます。本殿内から火打ち石らしき音がきこえました。昔は火縄にその火をうつして、各町にその火を持ち帰り、金物作りの火や、仏壇の灯明などに町いられていたそうです。

その火は同じく大晦日の夜十一時に、境内のお焚きあげ用の火に点火されました。参拝者の暖をとることができる火ではありますが、本来は古いお札などをお焚きあげするための火です。ですので、ゴミやたばこの吸い殻をもやすことはできません。
この日は、境内にたてられたテント内の豆炭の焚き火にもうつされました。そこで、聞いたり見たりした、若い人たちのお宮さんへの参拝事情について話していきます。




●若い人たちの夜の参拝
大宮八幡宮でも大晦日の夜の十二時=新年の零時を待って参拝しようとする人たちがたくさんいました。行列は石段下まで続いていました。深夜の参拝者ほとんどが若い人たちでした。

そして、新年を迎えた時には、まるでどこぞの繁華街のように「あけおめ~」や、「ハッピーニューイヤー」などの元気な声がひびきわたりました。そこから、お宮への参拝がはじまります。
しばらく長い行列がつづいていましたが、おみくじが人気だったようです。青年団の後輩はおまいりだけすませたあと、家に帰って、人が少なくなったのを見計らって、おみくじだけを再び買いに来ていました。


御神火夜話
 さて、管理人は混雑中は帰路の案内をしていましたが、それが一段落するとテント内の小さな炭火のもりをしました。その時は夜の一時から2時ころでした。
炭火のまわりにあつまったのは高校は卒業して今年度二十歳になったばかりの人、次年度二十歳を迎えるという若い人たちでした。参拝をすませて、暖をとりつつ休憩しているとのことでした。たばこを火にすててしまったのを注意すると、すごく素直に謝っていました。このての素直さは最近の若い人たちの特徴のようにおもえます。
もっぱら話の中心は、わかれたくっついたの最近の恋愛事情、そして、仕事や学業の近況報告でした。
大学の単位が危機にあるような子もいましたが、大丈夫だったのでしょうか^^: スマホでの申請は便利なようですが、先生に頼みこんでの単位の融通がききにくそうにも思えたので、そのへんは昔より大変そうな気がしました。
さて、そのなかの一人のお兄さんがいうには、夜中の参拝をすませたあと、しばらく眠ってすぐに、初日の出をバイクで見に行きたいとのことでした。近くの雌甲山に行こうかといっていましたが、伊勢の夫婦岩から初日の出が拝めるという話をすると、それもいいですねーとのことでした。まさか、本気にいこうとするとは思いませんでした😅
コンビニでであったときは酒を買っていて、飲んで家ですごすことになったそうです。いずれにせよ、夜ほとんど寝ずに参拝して、酒盛りするのは若いからだと思いました。

●編集後記にかえて-神なき時代?-
このように酒盛りして、騒いでオミクジ買っての若い人たちの様子を見ると、「神なき時代」といいたくなるのかもしれません。
ですが、管理人があった若い人たちは地域の氏神さんに参拝して、祭もしている人たちでした。そのなかで、安易に神がいないというのは、あまりに無粋な気がします。
そのような思いをこの本の拙稿にしたためました。ご興味ありましたら、ぜひご一読ください。








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