屋台だんじりの彫刻や刺繍には様々な、古典文学の名場面が描かれています。
多くは「××××、○○○の場などの場面の名前でよばれていますが、実際にその物語を本で読もうとしても、探すのに苦労見ようとすればがどのような書物に書かれているのか、代表的なものを見ていきます。
●今回は「源平物・平家物語」
いわゆる源平物と呼ばれる場面の数々です。
平家物語は同様の物語を三巻にわけたもの、六巻、十二巻に分けた物があるそうですが、今回は、十二巻に分けたものを取り上げます。
この十二巻にわけた平家物語のうち、どの話は何巻に出ているのかという案内です。
講談社学術文庫
さて、この案内にそってのおススメ本が講談社学術文庫の「平家物語」です。実際の十二巻分けの平家物語に対応し、全12巻になっています。この本のいいところは、それぞれの章に対応する現代語訳があるところです。
講談社学術文庫の平家物語。これが12巻まで続きます。
その他の平家物語
ざっと見るかがギリでは、十二巻に分けたものを元にしている物が多いようです。出版された本では、上中下の三巻だてでも、中身は12巻に分かれていたりします。
古本屋で買った昭和24年初版発行(写真は昭和48年新訂第四刷)の「平家物語」
校注:冨倉徳次郎(朝日新聞)
上中下の三巻分けですが、中身は十二巻分けにした中の何巻の部分かというのが書かれています。
●何巻に何の場面?
では、何巻に何の場面があるのかを紹介します。ただ、全部は紹介しきれませんので、ご理解のほど。書式は下のような感じで表します。
------
×巻
●平家物語の見出し名---図柄の名称
写真
-----
四巻
●鵼---鵼退治
三木市岩壺神社東條町屋台高覧掛け
六巻
小督上、下---小督局琴の曲
三木市大宮八幡宮明石町屋台欄間彫刻
九巻
●一の谷の合戦---勢揃、老馬、一二懸、二度懸、坂落、薩摩守最後、敦盛最後、武蔵守最後
一の谷の合戦をめぐる諸所の場面は、好まれています。
●一の谷の合戦---敦盛最後
小野市久保木町住吉神社久保木屋台高覧掛
平敦盛
●一の谷の合戦---敦盛最後
小野市久保木町住吉神社久保木屋台高覧掛
熊谷直実
●坂落---鵯越の坂落とし
写真見当たりません・・・(どなたかご提供下されば・・・・)
欄間彫刻でよく見られる場面です。
●宇治川---宇治川先陣争い
三木市大宮八幡宮新町屋台旧水引幕
写真一番右の畠山重忠は馬を背負っていますが、「平家物語」では下のようにあり、馬は流されてしまっています。
畠山馬の額を箭深に射させ、よわれば、河中より弓杖をついており立ったり。--中略--
「餘りに水が駛(はや)うて馬をば押し流され候ひぬ。」
十一巻
●那須与一扇の的---扇
写真が見当たりません(T T;
●梶原景清錣(しころ)引き---扇
西宮市下大市八幡神社下大市太鼓台欄間彫刻
●「平家物語」に出てこない場面
一方源平物の中でも、「平家物語」に出てこない場面もちらほらあります。
鷲尾三郎熊退治
この場面は平家物語には残っていません。
九巻「老馬」の条で、丹波路より鵯越までの道案内を義経一行が探している場面でこのような記述があります。
老翁一人具して参りたり。-中略-
「(老翁は)この山の猟師で候」--中略--
「(老翁に対して)汝先打ちせよ。」--中略--
「此の身は年老いて--中略--」
「さらば汝に子はなきか」
「候」とて、熊王とて生年十八歳になりける童を奉る。軈(やが)て髻とりあげ(すぐに元服させて)、父をば鷲尾庄司武久と云ふ間、これをば鷲尾三郎義久と名乗らせて----
と、「熊王」という幼名の童が、義経軍の先達を勤めるためにその場で元服し、鷲尾三郎と名乗ったというストーリーになっています。
熊王の名前がやがて、熊退治伝説へと転化したと考えられます。
三木市大宮八幡宮明石町屋台旧高覧掛
平清盛日招き?
有名な場面ですが、書中より該当場面を探せませんでした。もしかしたら、所収されているかもしれません。
三木市岩壺神社東條町屋台水引幕
(碇知盛)平知盛が碇を持って、自ら沈む
平家物語では壇ノ浦の戦いに参加していないとか。
三木市美坂神社東這田屋台旧高覧掛
平家蟹が現れている好きな高覧掛の一つです。
義経の各逸話?
八艘跳びや、五条大橋、安宅の関などの話は探せませんでした。 「義経記」などには記載されているのかもしれません。
まとめ
必ずしも屋台・太鼓台やだんじりで人気の「源平物」が「平家物語」に即しているわけではないみたいです。
自分の町の屋台・太鼓台・だんじりの「源平物」、「平家物語」と照らし合わせて読んでみると、何か発見があるかもしれません。
●編集後記●
今回は簡単に終わらせるはずだったのですが、、なかなか、そうは問屋がおろしませんでした。
祭が近づいてきますが、屋台を動かすための飾りつけもなかなか簡単にはできません。
先輩から、どのように取り付けるかを教えてもらい、それを何年か続けてこそできるものです。
2月ほどまえの話ですが、新宿で女の子ばかり昏倒する事件がありました。
明治大学と日本女子大学は、事件性なしとしていますが、どうしても邪な意思を疑ってしまいます。
また、両大学の説明は、その疑いを晴らすために必要なポイント(1どのようにして、どのような目的でウオッカを飲ませたか 2何故ほとんど女子ばかりが倒れたか)を説明していません。報道の異常なほどの少なさにも恐ろしさを感じる事件です。
今号より記事名の表記方法を変えました。
月刊「祭」第×号2014.○月 ○○×題名×△△ としていたのを、
○○×題名×△△ 月刊「祭」第×号2014.○月 といった形式に換えました。
SNSなどで、記事名が後半省略した表記になっても大よその記事の内容をつかむことができるのではと思います。
プチ新体制となった月刊「祭」。今後ともよろしくお願いします。
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