●ド迫力の刺繍で知られる新居浜太鼓台
新居浜太鼓台といえば、何をれんそうするでしょうか? 多くの人が幾重にも重なる布団屋根、四分割された水引、高い位置にかざしられた高欄幕、そして、屋根をおおいかくす布団締めの龍を思い浮かべると思います。また、それらをとりはずした太鼓台同士の鉢合わせを連想する人もいるかもしれません。
新居浜太鼓台の装飾品では、やはり刺繍がもっとも目立ちます。しかし、目立たぬところにも、職人の技がのこっていました。それを新居浜市あかがねミュージアム展示の太鼓台を見ながら、示していきたいと思います。
↑上五枚:新居浜市あかがねミュージアム内の久保田太鼓台
しかし、精細かつド迫力な刺繍のかげに普段は覆い隠され、また、鉢合わせなどではずされても多くの人がめにとめることもない、本体にも、大工の技がのこっていました。
●大正十四年(1925)製作太鼓台の大工の技
写真の太鼓台は、旧の中筋太鼓台で大正十四年(1925)製作のものだそうです。この太鼓台は、太鼓台の内部構造がわかるように、一面だけ刺繍の装飾品をつけててんじしてあります。
横を見ると、赤でかこんだところが高欄幕をとりつける棒、そして、水色でかこんだかなり下側に実際の高欄の架木(ほこぎ)、平桁(ひらけた)、地覆(じふく)の三本の水平部材があります。
そして、地覆の下側を見ると、「水くり」という水を逃がすための隙間をあける加工が施してあります。比較的見られることの多い播州屋台の高欄でも、水くりはないものがよく見られます。
ほとんど陽の目をみることのない新居浜太鼓台の高欄に水くりが残っていることに、大きな驚きを感じました。
編集後記
25年ぶりに管理人は四国の太鼓台どころ新居浜と豊浜を訪れました。25年前は青春十八切符で、時には親切な方に車にのせてもらいつつの旅行で、今回はお気に入りの自家用車での旅行でした。土地勘は残念ながらほとんどなくなっていましたが、太鼓台の美しさは当時のままでした。25年でつけた少しばかりの知識で太鼓台をみると新たな発見があり、若い頃の情熱がよみがえる感じがしました。
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