天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

「ブラック・スワン」31

2011年05月11日 | 映画感想
「ブラック・スワン」

祝!ナタリー・ポートマン@アカデミー賞主演女優賞受賞

彼女本当に可愛いわよね。
そしてオスカーを手にしたのも納得の鬼気迫る演技!素晴らしかったわぁ~。
きっと本来なら日本では大してウケるネタとも思えないんだけど
ナタリー嬢のオスカー騒ぎで図らずも・・・いや充分織り込み済みなのか?
日本では微妙に公開が拡大したのではないか?と予測してみる。事実は知らないけどネ

話は、主人公のニナ(ナタリー)は元ダンサーだったママの期待を一身に背負ったバレリーナ。
新作舞台「白鳥の湖」の主役に抜擢されるものの、生真面目で繊細なニナは白鳥は踊れても
邪悪な黒鳥を踊る事が出来ずに悩むのだが・・・って感じ。

栄枯盛衰激しいダンサーの世界、常に新鮮な風が吹いていて例え自分がTOPに昇り詰めても
昇り詰めれば昇り詰めたで今度はいつ自分が追い落とされるのかを心配する日々が始まる。
加えて本作の主人公は家庭にも大いに問題があって、どうやら母親は若かりし頃ダンサーだったが
結局目が出る事もなくニナを妊娠した事で夢を諦めた、という下地があるらしい。
「私が果たせなかった夢を娘に託す」的な過保護なステージママに蝶よ花よと育てられて
いつしか母親を喜ばせなければ・・・と優等生を演じるようになってしまった主人公。
コレって現実界の中でも結構似たよーな話を聞くよね。

子供のころから母親に抑圧されていい子ちゃんで育っちゃったので、自分で自分の殻を破けずに
苦悩して行く内に狂気に囚われていってしまう様子がとてもリアルにスクリーンに映し出される。
加えて本作は「現実」と「頭のイカれちゃったニナの脳内視点」を意図的に交錯させて見せていて
観客に何が現実で何が狂気なのかを明らかに錯誤させようという演出がなされている。

コレが・・・結構上手いんだな。
現実と幻視が交錯するので、見ている観客も精神的に物凄く不安定になる。
主人公ニナの精神錯誤を観客にも疑似体験させようとしているかのようで・・・その意図は成功していると思う。

だから正直言って、この映画は情緒が安定していない子供には向かない。
それから精神的に不安定だったり脆弱なタイプの大人にも向かない。
我ながら鉄の心臓だと常々思ってる強心臓の私ですら、本作を見ていて物凄く不安定な気分になりましたもの。
心の弱いタイプの人が見ると、もしかしたら必要以上に主人公とシンクロしておかしな事になっちゃうかも?^^;

面白い映画なのか?と聞かれると・・・まーぶっちゃけ見て気分のいい話じゃないのでねぇ(苦笑)
だけど物凄くよく考えられた作品だと思いますよ。ナタリー・ポートマンの迫真の演技を見るだけでも価値あります!
コメント (2)
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東日本大震災から2ヶ月経ったのか・・・

2011年05月11日 | 駄ネタ
見るともなしにTVニュースを見てたら「東日本大震災から2ヶ月」という特集記事をやっていた。

割と時事問題(特に誰も触りたがらない政治系)をネタにするクセに、
今回のこの未曾有の震災に関して、私は今まで一度もココでネタにして来なかった。
ネタにするだけの材料が自分にない・・・というのも勿論あるだろう。
自分は今回の震災でコレと言った被害は受けていない訳だしね。

そういう下地も勿論あるけど、
実は震災が起こって数日後に実はある文章を書いたんだけど、UPする前にその文章を読み返してみて
「今はまだこの記事をUPするべきではない、UP出来る心境でもない」と思い直して「草稿」として
文章の保存だけしてそのまま放置していた。

今回「震災から2ヶ月が経った今」というTVのニュース記事を見て、ある意味日本国中で
この震災に関して各々考えて今後の道筋を思い巡らせるだけの時間は出来た、という感を自分なりに持ったので
震災数日後に書いた自分の記事を、今日敢えてUPしようと思う。

ちなみにこの記事を書いたのは、2011年3月16日です。
文章の仮保存をした後に加筆・訂正は一切していません。
そして本来この記事が書いた時にそのままUPされていたとして、記事を書いた当時のタイトルは

『ある「メル友」さんの事』 でした。
では、以下その時に書いたままの文章です。お暇な方は読んで下さると嬉しいです。

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私が自分のサイトを立ち上げてまだ間がない頃・・・かれこれ10年位前、
ある日こんなメールが届いた。

「アナタのHP、とても面白かったです。
 ところで私も旅行記のHPを持っているので、是非遊びに来て下さい」


・・・まあ、要は自分のサイトの宣伝メールですね。
当時は「ホームページブーム」と言って、誰も彼もが自分のサイトを持つのが
インターネットを楽しみ始めた人のある種ステイタスだった。
今だったらポスティング、スパム等と呼ばれてこの手の宣伝メールは一切無視するのが
常識になっているけど、当時はそういう「ネットマナー」に関してもゆるゆるで・・・
かくいう私も似たような事をやった事もあったので(苦笑)
単純に自分のサイトを見てくれたんだー♪と思って嬉しくて、その人のサイトに遊びに行った。

それが、ある「メル友」さんとの出会いだった。
ここではそのメル友さんの事を仮にSさん、と表記する事にしましょうか。

Sさんのサイトはお世辞にも面白い内容とは言えず(コラコラ
彼女は自分のサイトBBSを自分の日記帳のように扱っていて、日々自分の生活のグチを書き綴っていた。
私も何度かサイトの感想をそのBBSに書き込みした事があったんだが、全てスルーされていて(苦笑)
とにかく日々の鬱憤が溜まっている・・・という事だけはよーく判った。^^;

すると、そんな「ゲストの書き込みには絶賛スルー&自分語り(グチ)満載」なBBSを見て
どこかのヒマな野郎が荒らし行為を始めた。
それであっという間にSさんはサイトを閉じた。とても悔しいと私の所にメールして来た。

Sさんがサイトを閉じた事がきっかけで、他にグチを吐き出す場所がなくなったのか、一時期割と頻繁に
私の所にメールを送ってくるようになって、しばらくメールをやりとりするようになった。
期間は1年位だろうか・・・ほとんどがSさんの生活のグチで、私は「大変だねー」みたいな
ありきたりな慰めの言葉を繋ぐだけ、という不毛なやり取りだったと思う。

当時Sさんは岩手県花巻市という所に住んでいた。
私は岩手県どころか東北地方にはどこにも足を踏み入れた事がない状態だったので
「宮沢賢治の世界ですねー♪憧れるな~!」みたいな事を書いた記憶がある。

お互い顔の見えないネットで知り合った者同士の気安さで、敢えて本名も聞かずHNだけでメールは続き、
長い事メールをやり取りしていればお互いのかなりプライベートな話もネタにはなるものの、肝心な部分は
お互いボカして都合のいい部分や語りたい部分だけ語る、という感じだった。
だから何となくお互いの「メールブーム」が去って頻繁に連絡を取らなくなった後も細々とSさんとは続き、
・・・というか、彼女は案外マメな人で、私のサイトのBBSには決して書き込みをしてはくれなかったけど
私が旅行記をUPすると、特にメールで連絡もしていないのに定期的に私のサイトを見に来てくれているみたいで
必ず新作旅行記の感想等をメールして来てくれる。
数年連絡のない期間もあったけど、本当に年に1通とか2通、という細々としたメールのやり取りだけはしていた。
最後に彼女がメールをくれたのは・・・昨年UPした「上海万博」の旅行記の感想だ。

ところで、この10年の間に彼女の周辺環境も色々変わったそうで、
数年前にステキな男性と出会ったSさんは・・・岩手県の大船渡市、という所に嫁いで行った。
ご主人のお仕事が大船渡市だそうで、Sさんは仕事を辞めて引っ越す事になりました、と当時連絡をくれた。
その後子供も生まれたみたいだけど(その間、数年間連絡がなかった)そういえば子供の名前とか
何にも聞いてなかったな。確か男の子が生まれて子育てが大変だって書いてあったような記憶があるけど。^^;


それで・・・今回の大震災。

TVで「岩手県大船渡市」というテロップの入った映像を見て愕然とした。
それは敢えて言うなら「現在の大船渡市の様子」ではなく「かつてここに大船渡市と呼ばれた街があったらしき場所」
の映像だった。辺り一面がれきと泥に覆い尽くされた荒野が向こうの向こうまで続いていた。

私は、Sさんの現住所も知らないし本名すら知らない。顔も容姿も勿論知らない。
だから消息を辿る手立てが何もない。
私が知っているたった1つの手がかり・・・それは、彼女のフリーメールアドレスだけなのだ。
当然だけど速攻でSさんにメールは送った。
きっとご親族やお友達、近親者の方々とのご連絡で大変でしょうから、身辺が落ち着いたら無事でいる事だけでも
メールで教えてもらえると安心出来ます。何年でも待ってます・・・そう書いて送った。

レスはまだない。

でもきっと落ち着いたら、1ヶ月先か、半年先か、1年先か、数年先になるかもしれないけど、
きっとSさんは「主人と子供も無事に新しい家に落ち着きました」と連絡をくれると思う。
彼女は何年ブランクが開いても「ご無沙汰してます。随分メールしなくてごめんなさいね」という一文を添えた後は
まるで先週送ったメールの続きを書いたかのような気安さで文面を綴ってくる人だ(苦笑)
その飄々とした文面に随分「イラッ」とさせられた事もあったけど・・・今はそのムカつくメールが待ち遠しい。

あれでなかなか律儀な人で、今まで私から送ったメールにレスを返さなかった事が一度もない人なのだ。
何年経っても必ずレスをくれるのが「Sさん」という人だ。
だから今回も私は待ってる。必ずレスが来るって判ってるから焦らないで待ってる。

Sさん、アナタが忙しい間に旅行記もUPしちゃうけど・・・まとめて読んで、また感想メール頂戴ね。

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当時書いた記事はここまで。

ごめん・・・今UPする前に読み返して自分でちょっぴり泣けて来た。
誰も聞きたくもない情報だろうけど、Sさんからは今もまだメールのレスは来ていません。
彼女のメールアドレスはフリーメールアドレスなので、もしかしたらスパムメールの中に私のメールが
埋もれてしまうかもしれない・・・と思って、とりあえず今のところ10日に1通のペースでメールは送ってる。

きっと、まだどこかの避難所にいてPCが手に入らない状態なんだよね。
今までも2年位メール来なかった事とかあったし。うん。

だから今でも信じてる。いつか「遅くなってごめんねー!」って返事が来るのを。
コメント (6)
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