その112「罪の轍」はこちら。
いやはやどうしてこの県警にはこんなに嫌な女がそろったんだ(笑)……と嘆きたくなるほど、“女性たち”(ひっかけもありますが)のキャラが立っています。
・幹部たちの秘密の会合である円卓会議に参加するために出世を急ぐ警視
・尊敬する父親のあとを追って警察官となり、そのファザコンぶりが爆発する交番勤務巡査
・愛妻家の先輩を愛してしまい、そして最後には……な刑事
・痴漢被害にあった過去を払しょくするために警察官となり……な生活安全課勤務
・警視とライバル視されながら、夫のためにキャリアを捨てた所轄刑事
……みんな濃い濃い。しかし、彼女たちの異様さは、女性蔑視はびこるW県警の体質が生んだものだというくくりなので、女性が読んでも気持ちのいいミステリになっている。テレビ東京がドラマ化していて、主役の警視は芦名星が演じているみたい。うん、ぴったりだ。
葉真中顕(はまなかあき)の作品を読むのは初めてだけど、他のもおもしろそうだなあ。
その114「祈りの幕が下りる時」につづく。