第三十三回「比叡山に棲む魔物」はこちら。
大河ドラマにおいて、最も人気があるのは戦国時代のお話だ。それはなぜかを、2年後の大河「鎌倉殿の13人」を書いている三谷幸喜がうまく表現している。
「キャスティングっていうのは僕も本当に大好きで、作品の90%はキャストで決まると思っております。みんながよく知っている俳優さんがみんながよく知っている役を演じるっていうのもあるし、みんながよく知っている俳優さんが全然知らない役をやる、その楽しみもありますし、みんなが全然知らない俳優さんがすごい有名な役をやるワクワク感もあるし、全然知らない人が全然知らない役をやる…これはまあ…それも楽しみです。本当に豪華な、大河ドラマならではのキャスティングになっておりますので、来週1週間どうぞ楽しみにしていてください。よろしくお願いいたします」
キャストを小出しにするという、それどうなのという企画に乗った彼はうれしそうだ。
結果としてアナウンスされたのは小栗旬、大泉洋、小池栄子、菅田将暉、片岡愛之助、宮沢りえなど。山本耕史、宮澤エマ、迫田孝也、新納慎也、小林隆などの三谷組もうれしいし、佐藤二朗がどうはじけてくれるのか……いやそういう話ではありませんでした。
つまりはこの「麒麟がくる」のお話はみんなが知っている。なにしろ主役が三日天下に終わることまで全員が承知しているんだから。
そこに、おなじみの役にどの役者を当てはめるかの勝負。今回は武田信玄に石橋凌が登場。キーとなる役にミュージシャン(ユースケ・サンタマリア、堺正章、陣内孝則)を起用するのは確信犯ですよね。違った色彩をキャスティングで、というわけだ。
だけどなかには知らない役が大きくフューチャーされることががまんできない人たちもいる。ネットで東庵と駒がバッシングされているのはそれでしょ。いくらなんでもここまで無名の人が歴史にかかわってはこないだろうと。
でもねえ、無名の無数の人物の代表だとなぜ考えてくれないのかなあ。誰よりも有名な人物、織田信長の子どもっぽさが強調されているのとバランスがとれているのに。
第三十五回「義昭、まよいの中で」につづく。
スタジオ・ミュージシャン ムーンライダーズ MOONRIDERS
2020年10月号PART5「鬼滅現象」はこちら。
「君に言いたいことがある。君が、スタジオ・ミュージシャンだったって過去がなければ、ギタリストとしてもっと真摯に受け止めてもらえただろうって話している記事を読んだ。僕とジョン・ポール・ジョーンズも60年代はスタジオ・ミュージシャンだったんだよ。それがどういうことか、わかっていない人たちが多い。君は誇りに思うべきだ」
90年代の初め、TOTOのスティーヴ・ルカサーが初対面のジミー・ペイジにかけられた言葉。ギタリストとして、神様からこんなことを言ってもらえたら、それだけで生きていけるよね。
ムーンライダーズにその名もずばり「スタジオ・ミュージシャン」という曲があって、「パイプ椅子」「紙コップ」「セルロイドの指」などのフレーズが自分を卑下している感じをうまくだしていた。リリカルな詞を書かせたら鈴木博文は天下一品。
でも全国のスタジオ・ミュージシャンのみなさん!ジミー・ペイジもジョン・ポール・ジョーンズもスティーヴ・ルカサーも、みんなスタジオ・ミュージシャンだったんですよっ!
PART2「天才」につづく。
ラーメン哲篇はこちら。
復習しましょう。酒田市において加盟店でPayPayで支払えば30%backという驚愕のシステムは10月から12月までの3ヶ月のお祭りだ。
おそらく全国でもPayPayの加入率は酒田市がトップに近いんじゃないかと思う。いろいろと言いたいことはあるけどみんなそのルールに乗ったわけ。よかったねーソフトバンクは日本一になったし(T_T)。
今日はタイヤ交換。というか乗っていたゴルフ4と今年買ったゴルフ7はホイールの穴すら違っているので買わなくてはならなかった。
職場近くのタイヤショップにはいつもゴルフが何台も並んでいる。いったいどうしてだろう。でもこの店ならゴルフのタイヤはおまかせできるんじゃないかな。
そのとおりでした。
「5から変わっちゃったんですよねー」
そうなのかあ。予約したらわずか15分で装着完了。そしてPayPay。
妻もわたしもPayPay限度額到達。
だからこだわらなくてもいいのに妻が大好きな笑楽(わらく)へ。おれはここのとんこつはちょっと……おおお普通のしょうゆラーメンがこんなにおいしかったとはっ!
グリーンストアのフルーツサンド篇につづく。
角の向こうを見通す、とまで形容された国家犯罪局の元長官ヨハンソン。凄腕の彼は脳梗塞に倒れるが、そんな身体ですでに時効を迎えた幼女殺人事件に取り組む。
事件の捜査と、リハビリの状況が交互に語られ、味わい深い。意外に早く犯人は浮かび上がってくるが、それから先がなかなか考えてある。
そしてラストでしみじみ。
聞けばこれは作者が書き継いで来たシリーズの最終話らしい。脇役たちも(特に無能な刑事が)地元スウェーデンでは大人気なのだそうで、そっちも読んでみなければね。
わたしのお気に入りは、税務官だった義弟。いやな野郎なのに徹底的に有能であるあたりがいい。
だいたい、こんなセリフがあるんですよ。
「そんな車は見たことがないと言われました。そんな小さな車を乗り回すような知人はいないとね。その点については断言していました。彼女が知っているのはメルセデスとか、ジャガーとか、BMWとかそういう車種なんです。ご主人は大きなアメリカ車にしか乗らなかった、という話を聞かされましたよ。亡くなる前にはリンカーンに乗っていたんですって。ゴルフみたいな安物の車に乗っているような人と知り合いじゃないかと質問されて、侮辱されたように感じたみたい。最初にゴルフの写真を見せたときに言ってましたから。自分や知り合いがそんな安物の車に乗るなんて夢にも考えられないと」
これ、キーとなる女性の発言なんです。そこまでゴルフの悪口言わなくても(笑)。悪かったな俺が乗ってるのが“小さい安物のクルマ”で。ある程度は当たってるけどさ。今年買ったゴルフは190万円でしたけどもさ。
監査無事終了。そういうときに行政職がどんな行動をとるかというと、もちろん飲みに行きます。
で、フランチャイズには常連がいて
「これ食ってくれよ!浜中でとれたしいたけ。でかいんだ。マヨネーズつけてな」
で、でかい。
「あざっすー」
といただいて、なるほどうまい。こういうときは画像をアップしなければ。
あれ?いやー、あのぉ、ちょっと微妙な画像であるような。どうもすみません。
ショーン・コネリーが見たくなってレンタル。プレシディオ、とは軍事基地の名。基地の内と外では管轄が違うのはどこの国もいっしょ。女性MPが殺された事件を、古参MP(ショーン・コネリー)と、彼と衝突して軍を辞め、市警に勤務する刑事(マーク・ハーモン)が反目しあいながらも協力して……
密輸がからんだ犯罪のほうは簡単に犯人が想像できる(っていうか一度観てますけどね)。コネリーが魅力的なのはもちろんとして、刑事役のハーモンがなかなかいいんですよ。どうしてこんなにいい男がスターになれなかったんだろう。
あや、わたしが知らないだけでテレビなどで大人気だったんだね。でも主戦場が映画でなくなった理由ははっきり。あまりにもトム・クルーズなのだ。ルックスも演技の質も。
それはともかく、監督は職人ピーター・ハイアムズ(とにかくどんなリクエストにもお応えしちゃうんだから)。コネリーの娘役がなんとメグ・ライアン。この作品の直後に出演したのが「恋人たちの予感」だったのである。
PART1はこちら。
この書において、著者は昭和20年の夏からの十年間は、ほぼ美空ひばりの時代だったと総括している。
しかし彼女の人生は決して順調だったわけではない。のちに“一卵性親子”と称された母親の喜美枝をステージママとして、子どもだったひばりはのど自慢に挑戦する。圧倒的な歌唱力でみなを驚かせはしたものの、結果は不合格。
「子どもらしくない」と。
これは有名なエピソードで、以降もひばりは色物的な扱いを受ける。特に知識人たちからは嫌われた。けれども大衆は彼女に熱狂。そしてひばりの時代を象徴したのは、彼女と組んだ男はことごとくビッグになっていくこと。特に中村錦之助とはいろいろあったらしい。そのあたりはうまくぼやかして表現されています。その後の活躍、山口組三代目との関係などはご存じのとおり。
「平凡」では人気投票が年に一回行われていて、そのランキングは興味深い。意外だったのは、ランクインしたのはほとんど戦前からスターだった人なのだ。岡晴夫(「憧れのハワイ航路」)や小畑実(「高原の駅よさようなら」)の人気は、現在のアイドル像からはかけ離れているような気がします。
つまりは、敗戦によって日本の体制は変わり、GHQのコントロール下にあったオキュパイド・ジャパンとは言っても、日本人の心性はまだまだ変わっていなかったということだろうか。
しかし次の十年は違う。
ミュージシャンとしての自分に見切りをつけた渡辺晋が、芸能界に近代的な経営をとりいれようとナベプロを組織し、そしてテレビの時代がやってくるからだ。そのあたりは、いずれ続編が出た頃に。