事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ナイスガイズ!」The Nice Guys(2016 WB)

2024-12-24 | 洋画

ディスカスユーザーとなって長いわたしでさえ、どうしてこの映画をレンタルしたのかさっぱり。はて、どんな映画からこちらへジャンプしたのだろう。

主演のラッセル・クロウライアン・ゴズリング目当て?それとも大好きな私立探偵ものだから?

いやー借りてよかったです。すごく(わたしにとっては)面白い作品だった。1977年のロサンゼルスという設定がなんとも泣かせる。

音楽もかなり考えてセレクトしてある。キャプテン&テニール、キッス、アース・ウィンド&ファイヤー、ビージーズ、クール&ザ・ギャング、テイスト・オブ・ハニー、ザ・バンド、アメリカ(曲はもちろん「名前のない馬」)、ルパート・ホルムス、アル・グリーン……わかってるなあ。

あるポルノ女優の死に、示談屋(ラッセル・クロウ)と私立探偵(ライアン・ゴズリング)が、どつき合いながら(というか一方的にクロウがライアンをボコボコにするだけだが)からんでいく。暗躍する殺し屋、そして黒幕は……ああ定型とはいえ、だからこそうれしい。

とにかくシェーン・ブラック(「アイアンマン3」)の脚本がおみごとで、残虐な展開とギャグの配分がいい。

ラッセル・クロウは思いきり体重オーバーだし、ライアン・ゴズリングは大泉洋に見えてくるんだけど、それも味。

同じようなタイプの映画で思い出されるのはレニー・ハーリンが「ダイ・ハード2」の直前に撮った「フォード・フェアレーンの冒険」。やはり私立探偵のお話。評価は圧倒的に低く、ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞をゲットしているくらいなのだが、わたしは大好きだった。今度はそっちにジャンプしてみようかな。

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「レヴェナント:蘇りし者」The Revenant(2015 20世紀FOX)

2024-12-18 | 洋画

一直線のストーリー。息子を殺した男を追いつめ、復讐を果たす。それだけ。それだけではあるけれど、自然光での撮影に徹底的にこだわった画面がとにかく美しい。しかし役者たちはたまらなかっただろう。美しいからこそ、アメリカ北西部の寒さが際立つ。

どうしてこの映画をこれまで見ていなかったかといえば、監督がアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(「バベル」「バードマン」)で、主演がレオナルド・ディカプリオとくれば、どんな映画か“読める”じゃないですか。もはやイニャリトウは名画しか撮れず、ディカプリオは力演しているに違いない……

読みどおりの作品ではあったけれども、突き抜けた感動があったことは確かだった。ノミネートどまりだったディカプリオはこの作品でアカデミー賞主演男優賞を獲得。イニャリトウはバードマンにつづいて監督賞をゲットしている。

共演はトム・ハーディ。音楽は坂本龍一です。

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「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」Legends of the Fall(1994 トライスター)

2024-12-14 | 洋画

「テルマ&ルイーズ」で注目され、ロバート・レッドフォード監督作「リバー・ランズ・スルー・イット」でスターになったブラッド・ピット。この作品はその演技力が認められた作品。

監督は「ラストサムライ」のエドワード・ズウィック。大自然のなかで、ちょっとすねている息子、という設定は「リバー・ランズ・スルー・イット」とほぼ同様だ。父親役はアンソニー・ホプキンス。兄はあの「E.T.」の少年、ヘンリー・トーマスです。どう考えても「エデンの東」への返歌。

よく考えれば(考えなくても)暗いお話ではあるのだが、ブラピのキャラのおかげでしみじみといい気分で見終えることができる。

「私は神と人間のルールに従ってきた。お前は何事にも従わなかったが、皆はお前を愛した」

という兄の言葉を完全に体現しています。やっぱりブラッド・ピットはいい。

いろんなことがあったようで、エドワード・ズウィックとブラッド・ピットは二度とコンビを組むことはありませんでした。

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「オペレーション・フォーチュン」Operation Fortune: Ruse de guerre(2023 キノフィルムズ)

2024-12-05 | 洋画

タイトルからしてミッション:インポッシブルをおちょくっているガイ・リッチーの作品。おなじみのジェイソン・ステイサムヒュー・グラントジョシュ・ハートネットが出演。

クールでスノッブなスパイにはステイサムはおよそ見えないのだが、だからこそ笑わせてくれます。ガイ・リッチーはいい。まあ、興行的には大失敗だったようですが。

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「バービー」Barbie(2023 WB)

2024-11-11 | 洋画

日本においてこの作品はとても不幸な公開のされ方だった。

米国では原爆の開発者を描いた「オッペンハイマー」と同日の公開だったのがことの始まり。オッペンハイマーの監督クリストファー・ノーランは、ワーナーが配信に軸足を移したことを批判して、ワーナーからユニバーサルに配給を変更した。その意趣返しとしてワーナーはこのバービーを同日に公開することにした……まあ、真相はよくわかりませんけど。

ということでバービーとオッペンハイマーは組み合わされてバーベンハイマーという造語まででき、結果的に両方とも大ヒットした。特にバービーは女性監督の作品として「ワンダーウーマン」を抜いて首位に立つほどだ。

ところが、そのバーベンハイマーについてのSNSの投稿で、バービーと原爆のキノコ雲が合成された写真が登場するなどしたせいで、被爆国である日本では両方とも批判されることになったのである。

オッペンハイマーは本来であればユニバーサル作品なので、日本では東宝東和が配給するはずなのにビターズ・エンドに変更。しかし作品のチカラで高評価を得る。

さてバービーは?予想よりもはるかに弱い興行になってしまった。日本ではバービーはあまり一般的ではないとか後付けの理屈も散見されたけれど……

さあ見てみました。

とにかく映画として面白いのは確かよね。その意味でとても満足できる。しかし日本で受けなかったのは、現実世界が(バービーの住む世界とは逆に)男尊女卑がはびこっているのを皮肉ったその姿勢にあると思う。作り手も(それは製作者をかねた主演のマーゴット・ロビーを筆頭に)驚くほどむき出しにフェミニズムを前面に押し出している。そんな作品がうけないあたり(なかには公開中止になった国もあるが)日本の後進性を現わしていると考えるのはうがちすぎ?

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「アステロイド・シティ」Asteroid City(2023 パルコ)

2024-10-30 | 洋画

直訳すれば「小惑星の町」。この町は劇作家が舞台のためにつくった架空の町。劇中劇の製作過程が描かれるという複雑な設定。まあ、監督が「グランド・ブダペスト・ホテル」「犬ヶ島」などのウェス・アンダーソンですから(笑)。

彼の映画には、その才能への信頼と、きっと現場が楽しいだろうこともあって豪華なキャストが集合します。今回もすごいですよ。

トム・ハンクススカーレット・ヨハンソンティルダ・スウィントンエドワード・ノートンエイドリアン・ブロディウィリアム・デフォー、そしてマーゴット・ロビー(わたしは今年、彼女の映画を何本見たのだろう)。

わけわからん、と敬遠する人もいるだろうけれども、俳優たちが気持ちよさそうに演じているのを見るだけでも楽しめます。

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ヘアーの不毛18「バベル」Babel(2006 GAGA)

2024-10-23 | 洋画

その17「ニンフォマニアック」はこちら

その15「プレタポルテ」はわいせつ過ぎるということでgooから削除されてしまいました。むしろ誇らしい。

もう名作しか撮れなくなってしまったイニャリトウ監督作品。たくさんの名優が出演していることで、わたしはこの映画を避けてました。おもーい作品なんだろうなと。

確かに、重かった。国も民族も無縁に見えたそれぞれが、次第に連関していく過程が描かれる。ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、役所広司とくれば肌合いが感じられるのではないでしょうか。

さて、菊地凛子。メジャーデビュー作でいきなりヘア丸出しのシーンを演じ切る。根性のある女優なんだなあ。それからの活躍を考えれば、むしろ当然か。

画面いっぱいにケイト・ブランシェットのアップに、ああこの人はすごい女優なんだなと納得。すごい。

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「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」Joker: Folie à Deux(2024 WB)

2024-10-16 | 洋画

もうしわけないけど、完全ネタバレでいきます。

先に見てきた息子が

「なんだか、暗い話なんだよなあ」

「レディー・ガガはどうだった?」

「ガガはすごくよかった」

うーん、わたしもこの映画は見るつもりだったので(というかあの「ジョーカー」の続篇を見逃すはずがない)、休日に映画館へ。

まさしく、息子が言う通りの作品でした。ビョークが主演した「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と双璧をなすような、史上もっとも陰鬱なミュージカル。

オープニングからして暗い。刑務所に収監されたジョーカーを演ずるホアキン・フェニックスの身体は、前作にもまして細くなっている。彼は精神科で音楽セラピーに参加していたリー(レディー・ガガ)と恋に落ちるが……

悲惨な現実と、夢想するミュージカルシーンの落差を強調したかったのはわかる。トッド・フィリップスの演出はていねいだし、使用曲も

(They Long To Be) Close To You

That’s Entertainment

Bewitched

That’s Life

これにビリー・ジョエルの「マイ・ライフ」まで挿入されるのだ。ぜいたくなこと。

しかし、マーゴット・ロビーのイメージが強いハーレイ・クインにレディー・ガガを起用し、バットマンの世界(ハービー・デント検事もちゃんと出てくる)を描くという期待はみごとに裏切られる。前作のラストの高揚をわざわざ否定するためにつくられたとしか。

あの階段もちゃんと描かれるが、それがどんな時かというと……あ、これはさすがに言えない。

フォリ・ア・ドゥとは心理用語で「ふたり狂い」だとか。お互いが影響し合うことで狂気が進行する。それをタバコの煙で象徴するあたり、うまいんだけどなあ。

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「沈黙-サイレンス-」Silence (2016 パラマウント)

2024-10-12 | 洋画

遠藤周作の原作をマーティン・スコセッシが映画化。いつもながらキャストが豪華。リーアム・ニーソンアンドリュー・ガーフィールドアダム・ドライバー

日本側からは窪塚洋介浅野忠信塚本晋也加瀬亮、そしてイッセー尾形

長崎奉行を演じたイッセー尾形のチカラの抜けっぷりがいい。江戸初期、布教のために日本を訪れたふたりの若い神父。彼らが九州で見たものは、キリスト教徒への幕府による圧制だった。神父たちの師匠(ニーソン)は、神の沈黙に耐え切れず棄教している。はたして神はキリシタンたちに何をもたらすのか(もたらさないのか)。

非常に重いテーマなので敬遠していたが、圧倒的な画面の力に驚く。キャストのなかで、窪塚洋介のパートが意外なほど大きかった。見る人が見れば、彼がどんな人生を歩んできたかがきちんとうかがえたのだろう。わたしは圧倒されっぱなしでした。

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「MEG ザ・モンスターズ2」Meg 2: The Trench(2023 WB)

2024-09-14 | 洋画

1作目はこちら

あっつー。まあ、去年ほどではないにしろ、暑いことは暑い。こんなときは何にも考えなくてもすむ映画にしよう。

にしてもおバカな映画だったなあ。子役はオトナを危機に陥れるためだけに出ているようなものだし、中国資本が例によって入っているのでチャイニーズビューティが露骨に前面に出てくる。

でもジェイソン・ステイサムはいつものように苦虫を嚙み潰したような顔で全力で走り、泳ぐ。プロだなあ。

この残暑はいつまで続くんざん……このギャグを言った途端にアウトですかね。

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