「新解釈・日本史」のあのノリで、あの三國志を映画で描こうという無謀な企画は、福田雄一が「今日から俺は!」(やはり日テレ、やはり東宝)を大ヒットさせたごほうびなんだと思います。
彼の作品の特徴はもちろん口調にあるわけで
「っていうかぁ」
「え?」
「いや言ってない」
「言ったよね。確実に言ったよね」
的なやりとりにどう感じるかが評価の分かれ目。批評家からはそれはもうボロクソに言われているし、劇場で観た知人たちも首をかしげている。
でもうちの奥さんは大喜び。変わった人だからなあ。
劉備(大泉洋)がだらしなくて諸葛孔明(ムロツヨシ)の奥さん(橋本環奈)が賢夫人、そして曹操(小栗旬)が思い切り女好きであるあたりの設定は、とても自然に感じられる。だってわたしは酒見賢一の「泣き虫弱虫諸葛孔明」の大ファンだから。
むしろどうしてもっと極端な設定に持って行かなかったのかなとすら。関羽と張飛の化け物のような強さを画面で炸裂させたら壮快だったろうに。
これまでの福田作品で、あの口調がぴったりなのは第一にムロツヨシと佐藤二朗。そして小栗旬や山田孝之がつづく。大泉洋はそこんとこちょっと及ばなくって(構えが大きい作品なので少しだけシリアスなところも見せなければならなかったあたりには同情しますけど)、退屈な印象はそのせいもあったかもしれない。
わたしとしてはめげずに福田雄一版「新解釈・始皇帝」をやっても……「キングダム」の面々が怒るな(笑)。橋本環奈は今回も魅力的でした。