クミアイ情宣シリーズ。
今回は2003年の“有事法制”騒動を。
発行日は2002年6月20日。
6月19日(水)18:00 酒田市中央公園にて行われた『有事3法案反対!酒田飽海地域市民集会』への参加ありがとうございました。どうやらこの法案の今国会の成立は、この集会に代表されるような“世論”の圧倒的な反対と、防衛庁の情報公開請求者の個人情報リスト問題、福田官房長官の非核転換発言という“敵失”によって厳しい模様。そのこと自体はめでたいのですが、「日本人が一番よくないのは、非常に忘れっぽいということ」(宮台真司)なので、今一度この法案について考えてみます(裏版らしく)。
1.法案自体がもつ問題点
今まで何度も報じられてきたわけですが、この3法案はやはりちょっと出来が悪いのではないしょうか。3法案とは
①自衛隊法一部改正案
②武力攻撃事態における国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案
③安全保障会議設置法一部改正案
有事の麻薬の施用の規定までやっているくせに、肝心の国民保護の視点がごっそり抜けているなど(そっちは2年後にやるのだそうだ。やれやれ)、自衛隊の展開だけを目的としていることがミエミエ。テロ対策特措法のときも、時限立法とはいえ、国会の承認もなしに武力を海外で展開できるようにするなど、どこの独裁国家だと呆れてしまいましたが、あれの延長上にあることは確実です。先月の朝日の論壇に元制服組の主張が載っていて、防衛庁の意図するものが何なのかがむしろ鮮明にわかりました。この人たちはとにかく“文民統制”という言葉が嫌で嫌で仕方がないのでしょう。近頃の海幕の動きなどを見ていると、危なくて危なくて……
2.何故今この法案を持ち出してきたのか。
おそらくこの法案に賛成する人の多くが持ち出すフレーズが「備えあれば憂いなし」だと思います。同時多発テロや不審船騒ぎが背景にあって、このままではいかん、と判断して……おそらくそんな話ではありません。
※「備えあれば憂いなし。」
一度社会の先生に聞いてみたかった。確か元寇のような特殊な例を除き、戦争は常に日本の方が仕掛けてきたのではなかったか?つい被害者としての立場で考えがちだが、日本人はかなり沸点の低い民族ではないのか?と。やられた方は少なくともそう思っているだろう。
ここで問題です。なぜ、この“他にやることがいくらでもあるだろうが”という時期にこの法案が出てきたのか。
①政権基盤が脆弱なため、党内の国防族の意向に気を使い、他の郵政や医療の改革の賛同を得たかった。特に、やりたいことは改憲だけ、という畏友山崎拓幹事長(当時変態騒動の真っ最中)に首相がエールを送った。
②頼るものは支持率だけだった小泉政権が、その支持率を失いつつあることに危機感を抱き、国民の目を外に向けさせることで失地回復をねらった(ブッシュもやりましたねこの手法は)。
③どんな悪口雑言よりも「何もやっていないじゃないか」という言葉に反応する(だと思う)小泉純一郎が、とりあえず、あるいは意識的にタカ派的志向をむき出しにした。
④このテの問題になると必ず股裂き状態になる民主党の混乱と、公明党の【与党】としての右傾化をねらった。
……もうやめましょう。そうです。おそらく正解は「全部」ですね。
3.有事……。
有事、とは果たして具体的にどんなことを想定しているのでしょう。北○鮮?近代戦争に不可欠な空母を一隻も持っていないあの国が仮想敵国だとでも?この法案が国民を保護するためではなく、私権の制限を主眼にした、官僚、自衛隊のパワー温存のためにあることは明らかです。まだ廃案になったわけではありません。たとえなったとしても、姿を変えて同じようなものが持ち出されてくるでしょう。「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンを今一度かみしめて下さい。有事とは“ここ”を戦場と仮定することでもあるのです。
※小中学校にはまず、“敵襲”に備えた避難訓練の実施のような形で影響が出てくると言われている。2007年現在、北朝鮮関係が危機だ危機だと騒いでいるのが、実は日本だけである現状を考えると、どうもあいかわらず危なっかしいなあ。