2017年6月号「文民」はこちら。
「昭和40年代の阪神のよう。守り中心で地味だが、玄人が喜ぶ試合が多かった」
鶴岡の荘内神社で行われた江夏豊の講演会で、鶴岡出身の藤沢周平についてふれて。江夏と藤沢周平の取り合わせには少し驚いた。彼は読書家としても有名なんですって。
「寝付きが悪く悩んでいたら本を読めと勧められた。毎日の試合をこなすには頭の切り替えが大事だが、本のおかげで熟睡できるようになり、うまく対応できた」
その場にいたら突っこみたくなるところ(笑)。もっと頭の切り替えにぴったりの……いやいや、何も申しますまい。
江夏に限らず、藤沢周平に出会えた人生は幸せだと思う。わたしとて「用心棒日月抄」や立花登シリーズに耽溺し、「本所しぐれ町物語」のおしゃれさにノックアウトをくらったのだし。さあまだ読んでいないあなたは、さっそく「橋ものがたり」(新潮文庫)を購入だ!
わたし?実は藤沢の直系ともいえる後継者を見つけてしまって、いま夢中で読み進めています。その名は青山文平。まもなく、大特集します。
「あなたはとても良い体形をしている」You’re in such good shape.
おなじみ、トランプがマクロン仏大統領のブリジット夫人に向けて。これは誤訳だとの指摘もあるようだが、どうしたって下品な物言いであることは疑いない。年上の奥さんを賞めてもらったマクロンが、本音のところでどう考えたか。
トランプについての考察で、なるほどなあとうなったのは例によって内田樹によるものだった。
トランプは軍務の経験も、行政の経験もないはじめての大統領だが、それは軍務に就くことも、公共機関で働くことも、どちらもリバタリアンとしては「やらないにこしたことはない」仕事だからである。アメリカの有権者たちは彼の「公的権力を用いて私利私欲を満たすが、公益のためには何もしない」という態度がたいそう気に入ったのである。
PART2「冷笑と哄笑」につづく。