いつも空いている、はずのその整形外科。思いきりはやっている。だがほとんどはリハビリの客のようで、診察の順番は意外に早く。
看護婦に呼ばれ、いそいそと診察室へ。激痛から2日たっているから、もう痛みはあまりない。
「どうしました。」関西弁の残る医師。
「右足のですね、付け根のところが先日から痛くって……」
「ちょっと見せてください……あー、腫れてますね」
あ、ほんとだ。あまり意識していなかったが、ただでさえデカい足(28㎝)がなお大きくなっている。しかも赤い。
「どこかにぶつけた、とか。」
「いえ、全然そんなことは。」
「うーん、人間ドックとか、うけたことあります?」
「はい。」
「尿酸値とか高いって出ませんでした?」ほら来た。
「ええ、まあ。」
「どのくらい?」
「9.2、でしたか。」
「んー……これはもう、典型的な痛風ですね。」やっぱりね。
でも一応、ということでレントゲンを撮り、血液検査も。
「足の親指の付け根って、一番症状の出るところなんですよ。痛み止め出しておきますから、血液検査の結果を明後日聞きに来て下さい。」
……いざこうやって医者から診断を下されると、やっぱり落ち込む。笑われるかもしれないが、この歳になっても【私は病気はしないもんなんだ】なる理不尽な確信、というか油断が常に心の中にあったのだ。
身体の8割が酒と給食で出来ているような食生活と、近頃めっきり増えたタバコ。運動と呼ばれる行為は週末の百姓だけ。睡眠時間はめちゃくちゃ。こんなんで健康でいようなんてのがいけずうずうしい根性だけれど、でもやっぱりなあ。しかもこの落ち込みの陰には【自分の老化】を突きつけられる思いがあるわけだから、結構ヘビー。
しかし、一縷の望み(いやあただの打撲じゃないですか?)を託しながら検査の結果を聞きに行くと……
画像は「KT」(’02 日=韓)
山形で行われた組合の会議を終え、いつもどおりフォーラムへ向かう。
「どこ行くんですか?」N書記長。
「フォーラムに決まってるじゃない」
「あ、おれ行ったことないんですよ。何観るんです?」
「『KT』。ほら、金大中拉致事件の。」
「いいなあ。」彼は4時から天童で、わたしは6時から酒田で会議の予定が。
「じゃ、お互いがんばろうな。」と別れる。
終映後、後ろを振り返ると客席にはそのN書記長が。
「だって時間ありましたから(笑)」
組合の役員二人がダークスーツを着てフォーラムの階段を下りていく図は、まるでメン・イン・ブラック。年齢からいっておれはトミー・リー・ジョーンズか。
「(拉致は)きっとあんな感じだったんだろうなあ」
「ですよねえ」ウィル・スミスは答える。