09年5月号「高慢なあやまち」はこちら。
「もし1日だけ目が見えるとしたら、何が見たいですか?」
全盲のピアニスト、辻井伸行が凱旋帰国したときの、ある女性レポーターの質問。彼女にきっと悪意はないんだと思う。しかしだからこそ、底抜けの善意の裏にある無神経さがきつい。辻井はこう答えた。
「両親です」
「でも心の目で見えますから十分満足です」
「わたしが泥をかぶります」
……武部元幹事長が世襲問題に関して麻生首相に。武部という男が、どのような処世を行ってきたかを代表するような発言。
BSEのときに農林水産大臣として無能ぶりをさらした武部が、小泉純一郎によって“ひとかどの人物”扱いされたことは一種のジョークに近い。彼を小泉チルドレンは本気であがめているのだろうか。きっと陰で「ったくまたあのバカが」と舌を出しているに違いないのだが。
この人の名言は数多い。
「北海道は男尊女卑、女性は常に陰の存在」
(北海道人であるわたしの奥さんが聞いたら激怒するだろう)
「(フリーターやニートに対して)1度自衛隊にでも入ってサマワみたいなところに行って、本当に緊張感を持って地元の皆さん方から感謝されて活動してみると、3カ月ぐらいで瞬く間に変わるのではないかと思う」
「自分がかつて公認した議員(→小泉チルドレン)が今回公認されないなら、彼らを応援するには自分が党を出るしかない」
……もちろん、誰も本気にする人はいなかった。
09年7月号「スキップ・ビート」につづく。