事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

光る君へ 最終回「物語の先に」

2024-12-17 | 大河ドラマ

第47回「哀しくとも」はこちら

日曜夜のおだやかな生活が、最終回オンエアの日なのにピンチ。

わたし以外の家族のみんなが新型コロナウイルス感染症患者となってしまい、だから普通なら感染者を隔離するものなのに、感染していないわたしの方が隔離されてしまったのだ。

「台所にも入っちゃだめよ」

いやしかし、わたしの部屋にはテレビもないぞ。正確に言うとテレビはあるんだけど地上波デジタルに対応してないの。いつの時代?

それでもなんとかダイニングで8時からのオンエアを拝見。いよいよ最後だ。

死の床にある道長(柄本佑)に、アラビアンナイトのように物語をつむいで延命をはかるまひろ(吉高由里子)。それをゆるす倫子(黒木華)。

先週は本妻の強さを強調していたが、最終回に至ってよじれていく。お妾さんならまだしも、長い時を経た結びつきがあるソウルメイトだと始末に負えない。しかし夫の命を長らえるためなら……

でも、亡くなった道長が、不在のまひろに伸ばした左手を、布団のなかにしまいこむあたりの本妻の意地は怖い怖い。

そしてまた旅に出るまひろ。

「嵐が来るわ」で、ジ・エンド。みごとな終わり方だ。

正直なことを言えば、去年の今ごろは「来年の大河はスルーだろうなあ」と思っていた。平安時代に興味はないし、源氏物語も読んだことがない人間が、一年間完走できるわけがない。しかしコンプリートできたのは(実は苦手だった)大石静脚本のチカラだと思う。

さて、来年は横浜流星の「べらぼう」か。森下佳子さんが「おんな城主 直虎」のリベンジが果たせるか、まずは観てみよう。

親友の葬儀に出る。帰って猫を抱く。

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光る君へ 第47回「哀しくとも」

2024-12-13 | 大河ドラマ

第46回「刀伊の入寇」はこちら

「私が気づいていないとでも思っていた?」

倫子(黒木華)の逆襲。予告編では道長(柄本佑)に向かって話しているように見せて、実はまひろ(吉高由里子)に向けての直球の発言だったのだ。本妻って怖い。

ここに来て黒木華の存在感が増している。耐える女のように演じてきたのが伏線になっていて、みごとな回収っぷり。

思えばこの人は、蒼井優のそっくりさんかと思っていたら、あの「小さいおうち」(山田洋次)の壮絶なオチに仰天させられ、「リップヴァンウィンクルの花嫁」(岩井俊二)では流されてばかりだったヒロインの強靭さをみごとに演じ、「せかいのおきく」(阪本順治)ではタイトルにこめられた世界観を体現してくれていた。すごい女優だな。しかも巨匠に使われまくり。

男優で光ったのがロバートの秋山竜次。演じた藤原実資は、このドラマでは時代の冷静な観察者という設定であり、その重要な役に秋山を抜擢したのは慧眼だ。彼の芸風は異様なテンションとシュールなギャグにあるわけで、だから意表をついたキャスティングだったわけだけれど、ドラマにきっちりはまっていた。

もうひとり、これはネットでも評判のようだけれども矢部太郎もよかった。オンエア1回目で惨殺されたまひろの母(国仲涼子)を守れなかった屈託を、この回の「(都に)帰りたい」の13連発は泣かせた。彼が帰りたい以上に、まひろをチアラップしたいわけだ。

秋山にしても、矢部にしても、コメディアンとはリズム感がいいのが絶対条件だから、いい役者になれる素質は十分。小林信彦は、コメディアンが性格俳優になるのを森繫症候群と呼んで嘆じたが、このふたりはまだまだ芸人として突っ走ってくれそうなので安心か。

そして来週はいよいよ最終回。わたしのまわりはコロナやインフルの患者でいっぱいだが、少なくとも日曜日までは感染しないようにしよう。

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光る君へ 第46回「刀伊の入寇」

2024-12-02 | 大河ドラマ

第45回「はばたき」はこちら

これで、「といのにゅうこう」と読みます。この時代のほとんど唯一のいくさ。大陸の女真族中心の外敵(東夷=とうい)が壱岐、対馬、そして九州を襲った事件。歴史知らずなのでこんなことがあったなんてちっとも知りませんでした。

大宰府では彼らを追い払いましたが、壱岐や対馬ではジェノサイドや拉致が行われたらしい。辻原登の「韃靼の馬」でふれたように、わたしたちがいつも見ている日本地図を逆さに見てみよう。いかに九州と大陸が近いのか。

その現場に紫式部がいる。おかげで宮中の権力争いばかりを描いていたこの大河の、初めての合戦シーンを味わうことができた。

周明(松下洸平)再登場。まひろ(吉高由里子)とディープな話を。

「わたしは、終わった女なのよ」

「おれの物語を書け」

しかし彼の物語の結末は無惨なものだった……

この大河では視聴率をなるべく意識しないできた。というか、常に10%前後でぴくりともしない。伸びなかったととるか、底堅いととるかはこの大河をどう評価するかでわかれるだろう。

わたしは午後6時からのBSで見ることが多かったので、およそ最初からレイティングにはカウントされていない。おそらく録画して見る層が大河には多いと想像されるので、その分も考えれば、10%は立派な数字ではないかとも思う。

ただ、わたしは録画してしまうと、安心してしまって観ないような気がするの。むしろ日曜の夜の一発勝負の方が緊張感ありあり。そのむかし、SONYのベータhi-fiを30万円もはらって買ったわたしが言うのもなんだけど。

さて、残り2回か。見逃さないようにしよう。っていうか、わたしはこの一年間、日曜の夜に一度も出かけていなかったってことか。地味な生活。

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光る君へ 第45回「はばたき」

2024-11-26 | 大河ドラマ

Ribbon In The Sky

第44回「望月の夜」はこちら

近ごろはネット系をさぼり気味。というのも、プレミア12に熱中していたからだ。決勝は残念だったけれど、味わい深い大会だった。これほどにわたしが入れこんだのは、おそらく大谷翔平の影響があったんだと思う。

あの稀代のスーパースターのことはわたしも大好き。MVPもめでたい。しかしあまりにも報道が大谷個人ばかりになってないですか。もっと野球そのものを報じてほしいとちょっと辟易していたところへこの大会。

WBCのような超一線級がそろっているわけでもなく、レベルの低い国も散見された。でも、そんななかで選手をやりくりし、ディフェンディングチャンピオンである日本を打ち倒そうという展開はいい感じだった。

あ、大河の話。これを見ている間に決勝で4点とられてましたが(T_T)

いよいよ終盤。紫式部の源氏物語の脱稿は近い。そして彼女は藤原道長との別れを決意し、旅に出ると告げる。加えて賢子が道長の子であることも。

うろたえる道長。そうだね、こういうときって女の人の方が腹が据わっている。ああ個人的につらい思い出がよみがえる(笑)。

その失意のためか、道長は出家を決める。いきおいで剃髪。柄本佑はこれまでも地毛で通してきた経緯もあり、リアルに剃ったとか。まあ、「火口のふたり」でも坊主頭だったが、今回は完全なスキンヘッド。役者やのぉ。

にしても、この大河は若手のイケメン男優の品評会の趣き。ここまでくると、もう誰が何の役だったかも判然としない。来週はあいつとあいつが再登場するらしいし、ついていけるかなあ。

本日の1曲はスティービー・ワンダーの「リボン・イン・ザ・スカイ」

彼女に嘘を見破られた日。ううう。

第46回につづく

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光る君へ 第44回「望月の夜」

2024-11-20 | 大河ドラマ

ROSÉ & Bruno Mars - APT. (Official Music Video)

第43回「輝きのあとに」はこちら

プレミア12のキューバ戦が面白すぎて目が離せない。眠い。それにしてもキューバは高齢の選手が多くてびっくり。どんなセレクト方針なんだろう。

そして兵庫県知事選では、失職したあの人がまさかの当選。政治というのはわからないものだなあ。彼に投票した人たちは、議会やマスコミも一種の権威となっていると感じ、ひっくり返してやろうとしたのだろう。いやそれにしても兵庫県庁の職員はたまらないだろうなあ。

ということで、藤原道長は政治家として絶頂期を迎える。そしてあの有名な歌を詠む。

「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」

並の満月じゃなくてスーパームーン級の権力。

これは自分の三人の娘が太皇太后、皇太后、中宮となったことが背景にある。しかし、娘たちの誰もその地位を心から喜んでいるわけではない。権力のための道具にさせられていると気づいているからだ。

返歌を求められた藤原実資も「そのような優美なお歌に返す歌はございませぬ」と拒否する。

そしておそろしいことに、我が世の春を謳歌しているはずの道長すら、浮かぬ顔をしているのである。

この回はコンセプトがはっきりしている。頂点に立った人間は、あとは下るだけ。道長の歌を利用して、大石さんはその儚さを描いて見せている。

そういえば、わたしの人生の絶頂っていつだったんだろう。

思い出した。

娘の卒園式。彼女がステージ上で

「大きくなったらケーキ屋さんになりたいです」

と宣言したときだ。ってことは……うわーおれの下り坂って長いなあ(+_+)

本日の1曲は、ROSÉ & Bruno Mars の「 APT.」

銀行に行ったときに聴いていたラジオでこの曲が流れ、すごいなこれと思う。わたしはブラックピンクのことをほとんど知らなかったので、事務室の相方に

「ブラックピンクって知ってる?」と質問。

「知らないほうが不思議」へー。

週末にはリリー・フランキーの番組で流れ、ビルボードでもチャートインしていると知る。

「ってことですごくあの曲売れてるんだって」

と相方に告げたとたんに学校のお昼の放送でも流れたのだった。どんだけ売れてるんだ。

第45回「はばたき」につづく

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光る君へ 第43回「輝きのあとに」

2024-11-12 | 大河ドラマ

海岸通

第42回「川辺の誓い」はこちら

内裏で火事が相次ぐ。偶然とはおそろしいもので、総合テレビのオンエアが終わったあたりでわたしの住む酒田市では火事が発生し、ふたりが搬送されている。近所に住んでいる同僚は

「煙の匂いがすごくて」

消防署員の親は

「初めて放水したって言ってた」

4時間後に鎮火。大変な仕事だなあ。

そして国政がらみでは、首班指名の直前に国民民主党の玉木代表の不倫報道。まあこのタイミングは偶然でもないんでしょうが。

藤原道長は、頻出する火事は、帝が天に見放されようとしているのだと強弁し、譲位を迫る。揚げ足をとっているわけだ。このあたり、現代の政局とシンクロしている。

紫式部の娘、賢子は若武者の双樹丸(伊藤健太郎)を憎からず思っているが、彼が放った言葉は痛烈だった。

「ご飯を食べに来ていただけなの」との問いに

「ああ。うまい飯がゆっくりと食えて、妹みたいなお前がいて。楽しかった」

この、妹みたい、というフレーズは、恋愛感情を強制終了させる破壊力がある。はたして双樹丸の本心がどこにあるかは判然としないが、わたしはこれを聞いて

「イルカの『海岸通』かよ」

と思ってしまいました。伊勢正三がつくった名曲ね。あなたが言うとおり、妹のままでいた方がよかったかも、というつぶやきが痛い。

この曲は他にも名フレーズが満載で、著作権のからみもあるからコピペはできませんが、別れのテープは切れるんすよとか、やさしい腕の中で別れを告げられたらしんどいとか、うわーなんかわかるぅ。にしても、先週が関白宣言とめぞん一刻で、今週が海岸通とは。フォーク世代ですね大石静さん。

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光る君へ 第42回「川辺の誓い」

2024-11-04 | 大河ドラマ

第41回「揺らぎ」はこちら

昨日は地元の収穫祭。わたしの役目は何だったかというと、テント建て&撤収、長机とパイプ椅子の移動&後片付け、そしてヨーヨー釣りのお店番。疲れるー。

まあ、収穫祭なだけに名物である女鶴(めづる)という餅米を使ったお赤飯を格安で買えたし(他が高くなりすぎたんですよ、と店主は渋いことを)、仕事のごほうびにうどんを無料で食べさせていただいたのでけっこうでした。

朝8時からはたらいて、終わったのが2時半。あー早く酒が飲みたい。ということで自分のルールである「4時までは飲まない」を破ってしまいました。

そして夜は日本シリーズ。結果的に2024年のNPBの最終戦となった。DeNAの勝利はまことにめでたいが、ソフトバンクの失速こそが不思議。いったいどうしたんだろう。戦力的には段違いだったはずなのに……

ああ大河の話でしたね。酔いと眠たいのと日本シリーズの誘惑をはねのけ、ちゃーんと見ましたよ。残り何回なんだ。

もちろん大石静さんは脱稿しているし、撮影ももう終えているらしい。そう、11月に入って、大河は店じまいの準備。書き残した、描き残したことはないか。というわけで病に倒れた道長とまひろは

「お前との約束を忘れれば、俺の命は終わる」

「お前は俺より先に死んではならぬ。死ぬな」

関白宣言ですか、めぞん一刻ですか。

「道長様が生きておられれば、私も生きられます」

時代劇であることを差し引いても、ベタの極致。大石静さんとしても、これだけは作品のなかに残しておきたかったセリフかと。最終回への、布石でもあるだろう。そして(源氏)物語はつづくことになる。

第43回「輝きのあとに」につづく

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光る君へ 第41回「揺らぎ」

2024-10-28 | 大河ドラマ

第40回「君を置きて」はこちら

怒涛の日曜日。朝から総合防災訓練。自治会のみなさんのご機嫌をうかがい、その後は廃校となったわたしが卒業した小学校跡地で、バケツリレーや土嚢づくり。午後からは……それだけではない。

ワールドシリーズでは山本が勝ち、それはいいのだけれど大谷が負傷。衆院選はご存じのとおりの結果で、放映時間が変更になった大河ドラマの真裏では日本シリーズ。やれやれ。

ここは気合いで大河でしょ。あと何回もないわけだし。

こちらも衆院選以上に熾烈な権力争い。三条天皇と道長が主導権をどちらが握るかで駆け引きがつづく。三条天皇の気持ちもわからないではない。なにしろ一条天皇の在位が25年も続いたので、自分が天皇になったのは36歳にもなってからなのだ。まあ、平成天皇と今上を考えれば若いわけですけど。

彼はやりたいこともたくさんあったろう。それを左大臣である道長に牽制されたくはない。

女性たちの方もたいしたものだ。一条天皇が亡くなったことを嘆く彰子のために、紫式部は和歌の会を開くことを提案。しかしそこには招かれざる客である清少納言がやってきて痛切なセリフを。しかも喪服を着て。

「ここはわたしが歌を詠みたくなるような場ではございませぬ」

これにはさすがの紫式部もぶち切れて、紫式部日記に

「清少納言こそ、したり顔にいみじうはべりける人」と記す。

要するに偉そうなふるまいがすぎると。対立は決定的なものになる。

先週紹介した「火口のふたり」の柄本佑と瀧内公美が、なんであたしの子を優遇してくれないのよ!ともめるあたり、しみじみとする。みなさんあの映画は傑作ですやっぱり。あ、成人映画であることはお忘れなく。

画像は古川日出男による現代語訳「紫式部日記」そんなの出てたの!?

第42回「川辺の誓い」につづく

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光る君へ 第40回「君を置きて」

2024-10-21 | 大河ドラマ

第39回「とだえぬ絆」はこちら

毎回毎回、胃が痛くなるような……これは大河ではなくて日本プロ野球のクライマックスシリーズのこと。ここまで打てないか巨人。そしてまもなく最終戦が始まる。あ、始まった。大河のほうを急いでアップしなければ。

昨日のオンエアもBSで。総合の真裏では試合が終盤だろうしなあ……正解。8時45分にはもう終わってました。しかしCSでこうなんだよ。来週はこれに開票速報と日本シリーズがからんでくるのだ。忙しいことです。放送時間の変更には気をつけないと。

さて大河。イケメンである一条天皇が崩御。占いでそれを予測していた藤原道長は、要所要所に自分の子を配置して体制を盤石のものにしようと……主人公がダークサイドに落ちていくのは近年の大河のルーティンになっている。

北条義時徳川家康、そして藤原道長。いずれも、だからこそ魅力的だ。

道長を演じている柄本佑の主演映画を観ました。「火口のふたり」。ヒロインはこの大河で道長の二番目の妻(だっけか)の明子役の瀧内公美。このふたりが何かに追いまくられるようにセックスばかりしている作品なのだけど、これがすばらしかった。もちろん成人映画で、瀧内公美のヘアも出しまくり。しかし濃厚なセックスシーンのあとの、ことが終わった微妙な雰囲気とかがとても普通なの。

これは、脚本家である荒井晴彦の演出の丁寧さもあるだろうが、主役のふたりの圧倒的な演技力がそうさせているんだと思う。

にしても荒井が「仁義なき戦い」などの脚本家、笠原和夫にインタビューした「昭和の劇」において、「Wの悲劇」における薬師丸ひろ子の処女喪失の場面で、澤井信一郎監督に異議申し立てをかましたくだり(「そんなとき、がに股で歩く女なんていませんよ」)には笑ったなあ。今回は自分の思うとおりの描写ができたんだろうな。監督業に進出して正解かも。

第41回「揺らぎ」につづく

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光る君へ 第39回「とだえぬ絆」

2024-10-13 | 大河ドラマ

第38回「まぶしき闇」はこちら

長いことこの大河を観てきて、今回が一番泣けたかもしれない。

それは、紫式部の弟、藤原惟規(高杉真宙)の死が描かれたからだ。考えてみてほしい。このドラマでは登場人物の多くが腹に一物かかえていて、特に今は皇統がどうなるかで大騒ぎだ。

でも惟規は違う。自分の立身出世に「そんなに働いたおぼえはないんだけどなー」と照れ(あるいは姉と藤原道長の関係のおかげなのかとニヒっている)、同時に姉の気持ちを理解もしている。乳母であるいと(信川清順……この人はいいですよね)からは若様と呼ばれ、一家の人気者だ。しかし、父為時(岸谷五朗)が越後に赴任するのに同行し、途上で亡くなってしまう。

思えば、このドラマで最も愛すべき人物だったのだ。一種の評論家としてこのドラマを上空から俯瞰してもいた。残念。

才のない人物が、才がないことを意識することは苦痛であるはずなのに、この弟はそれを微塵も感じさせなかった(和歌の才はめちゃめちゃあったらしいけれども)。姉が優秀な人物であることに、ただただ誇りをもっていて、彼女の苦境に見て見ぬふりをする気づかいもあった。

大石静さんとしても物語をつむぐ上で、とても貴重な人物だったはず。だからナレ死ではなく、あれほどの尺を使ったのだろう。いやー泣いちゃいました。

「この人、もうすぐ死んじゃうらしいんだよね」

いっしょに見ていた妻にいうと

「そうなの……でも今日じゃないわよね?」

いきなりでした。で、来週は誰が死ぬんですか?わたしは「鎌倉殿の13人」を経過しているので、たいがいのことでは驚きませんよ。

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