恒例、ウチの学校の事務だよりシリーズ。給料袋はこんなものでしかふくれません。08年6月号はこちら。あ、下の画像は社会保険庁が発行したやつのサンプルです。公務員宛のとはちょっと違う。
むかしむかし、まだ“恩給”という言葉が死語ではなかったころ、定年退職直前のセンセイが事務職員に
「……この、『公立学校共済組合』というのは何かね?」
とたずねたという強力な話があります。世間知らずもここまでくればいっそ立派です。
年金をめぐる状況が連日マスコミをにぎわし、参院の与野党逆転を生んだ最大の要因でもあるわけですから、現在の日本人で自分の年金の種類を認識していない人は少ないはず(と信じたい)。
さあ明細書を見てみましょう。中段の控除欄で【共済長期掛金】の項目に引き去りがある人は、公立学校共済組合員で、将来共済年金を受け取るパターンです(例外もあります)。【社保(厚生年金)】の欄に引き去りがある人は、民間の会社員などと同様に厚生年金をうけとる可能性が大きいわけ。将来どんな転職をするかわからないので確言はできないのですが。
※数年前から共済の掛金は『総報酬制』といってボーナスからもけっこう引き去ることになっています。ちょっとびっくりするぐらい引かれています。
「あれ?いま問題になっている国民年金は、だからわたしには関係ないのかな?」
こう考える人がいてもおかしくありません。違います。共済組合員だろうが厚生年金該当者であろうが、将来もらう年金には【基礎年金】という部分があり、それってまさしく国民年金のことなのです……そろそろ話がめんどくさくなってきましたか。
そうなんですよ。年金の話というのはどうもわかりにくい。で、どうしてわかりにくいかというと“みんなに理解されては困る”からです。自信を持ってください。わからないのが普通なんです。それはなぜか。
社保庁のずさんさのせいで5000万件の年金記録が宙に浮いていると騒がれています。まず、ここで不思議に思いませんか。ほぼ全人口の半分にも及ぼうかという記録が宙に浮いている?いくらなんでも割合がでかすぎます。そうです。どう考えても『最初からまともに払うつもりがなかった』のでしょう。それは年金という制度が日本でどう生まれたかに既にあらわれています。このあたりを次号で。
さて、この3月末に共済組合員だった人に、「年金加入記録のお知らせ(公務員共済ねんきん特別便)」をお渡ししました。さっそくチェックしてください。自分が公務員である期間がちゃんと記載されているか(指導主事などの行政職だった部分も忘れずに)……で、やる気をそぐようですが、この記録はおそらく間違っていません。社保庁の記録はボロボロなのにどうして?と思われるでしょうが、ここでひとつのエピソードを。
ミスター年金としてすっかり有名になった長妻昭議員が、公務員共済組合の担当者と社会保険庁の事務方を呼んでそれぞれの現状を説明させたら、公務員共済の方は
「え?そんなひどいことやってるの?」
と驚き、逆に社保庁の方は
「え?そんなにキッチリやってるんですか?」
とこちらも驚いたというのです。だから今回の特別便の文章をよく読むと「社保庁のねんきん特別便とこっちの特別便のデータに違いがあったら、そりゃこっちの方が正しいんだぜ」と言っていることが見え見え。自分の分だけはしっかり管理しているってことで、公務員はまたいじめられそうだ……
※公務員の年金記録は、コンピュータに入っている記録と紙ベースの台帳、そしてその台帳をマイクロフィルムにしている三種類で保管され、完全に一致している。
【テキスト:「年金のリアル」磯村元史 SIGHT‘08夏号】
※まだまだ旅費は出ないので「直行直帰②」は後日にまわします。教育事務所長名で「旅費の支払いについて」という釈明の文書がきていますので回覧しますが、事務職員は同情的です。だって悪いのは教育事務所ではなくて、新しい財務システムがひたすら不出来だからなので。
7月号につづく。