事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

光る君へ 第26回「いけにえの姫」

2024-06-30 | 大河ドラマ

第25回「決意」はこちら

おお。今回の演出はあの黛りんたろうですか。黛敏郎の息子で、奥さんが平淑惠のこの人は華麗な画面で有名で、松竹(だった)の奥山プロデューサーとの確執でも知られる。映画「RAMPO」(江戸川乱歩が竹中直人で明智小五郎が本木雅弘)のとき。

さて、今回は安倍晴明によって、“お宝”を差し出せとされた藤原道長(柄本佑)が、妻(黒木華)の反対がありながらも、娘を入内させることになる。

「あんな引っ込み思案な娘を……」

と道長も妻も思う。でも、世の中は天皇の子を誰が産むかレースの渦中にあったわけで。しかも中宮の定子(高畑充希)は産気づいているのだ。

自分の好きな年上の幼なじみを溺愛したことで政治をないがしろにした一条天皇と、はるかに年の離れた若い紫式部を嫁にした藤原宣孝(佐々木蔵之介)は、もっと若い娘を求めているという苦み。なんでもありな時代なんだなあ。

宣孝がその財にものをいわせて贈り物攻勢。そのひとつが精巧な鏡だ。

「どうだ?まひろ(吉高由里子)、自分の顔は」

「まあ、思ったとおり」

美人女優でなければ許されない発言(笑)

今週はようやくあのフェミニズムのかたまりである「バービー」と、政府にはなんのチカラもないので自分でアフガニスタンに用水路をつくり、そして亡くなった医師、中村哲さんの映画を観て、いろいろと考えさせられた。それどころか、この大河を観る直前まで「ジョン・ウィック」の最終作を観て、やっぱりいろいろと考えさせられたのでした。すべて傑作でしたしね。

オープニングに「ファーストサマーウイカ」と「ユースケ・サンタマリア」というカタカナのキャストが出ると、大河も変わったなあと思う。これから出てくるかもしれない和泉式部には、ぜひシシド・カフカかマツコ・デラックスを!

第27回「宿縁の命」につづく

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「還暦不行届」安野モヨコ著 祥伝社

2024-06-28 | アニメ・コミック・ゲーム

かつてジャック・ニコルソンとメリル・ストリープが共演した「心みだれて」という映画がありました。浮気とかが原因で離婚にいたる夫婦の物語。これ、実話がもとになっていて、なんと「大統領の陰謀」のモデルとなったカール・バーンスタイン記者と、この映画の脚本と原作を書いたノーラ・エフロンのお話だったのだ。

最大の教訓は、物書きとは結婚するなということ。配偶者のことを面白おかしく徹底的に描かれてしまうから。

さて「還暦不行届」は、漫画家の安野モヨコが、12才年上の(わたしと同い年の)庵野秀明のことを描いたエッセイ集だ。しかしこの内容が本当だとすれば、庵野秀明ってどんだけ変わってるんだ。

結婚前は風呂にも入らず、同じ服を着続け、最後は洗濯もせずに捨てる。撮影が始まると生活のすべてをその作品に捧げ……これは長年にわたる妻による庵野秀明の矯正物語でもある。また「シン・ゴジラ」を見てみようかしら。

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あじさい2024

2024-06-27 | 日記・エッセイ・コラム

シャクヤク篇はこちら

「伍長、画像がブレブレです」

「この2週間はうちのあじさいで学校を席巻してやってるぜ」

「でかいバケツを持ってく伍長がおなじみになってます」

「つらいっす」

……ほんとにつらいっす。暑いのに長袖長ズボンを着てあじさいに特攻。

カタツムリやカエル(大嫌い)をはねのけて、読者の言うとおり茶色い部分まで伐る。

つくづくと思う。わたしが前任校で花に目覚めなければ、妻にちょっとだけ伐られただけで枯れていったのだシャクヤクもあじさいも。

いいことしてる。うん。いいことしてますわたし(笑)

明日は読み聞かせのグループからリクエストされたアナベルとかいうあじさいを挿し木に提供する約束。

にしたってもうちょっと長生きしてよあじさい。

 

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「ジブリをめぐる冒険」鈴木敏夫×池澤夏樹 スイッチパブリッシング

2024-06-26 | アニメ・コミック・ゲーム

基本は、ジブリファンの池澤夏樹鈴木敏夫の対談。場が熱くなると、鈴木が「宮崎駿とはいかに変な人間であるか」を主張し始めるのがおかしい。

高畑勲と大江健三郎が東大の仏文で同級生だったとか、「君たちはどう生きるか」の主人公が少年であることに鈴木は猛然と反対した(ジブリ作品のほとんどは少女が主役)とか、初めて知る。

なぜ少年であることに宮崎がこだわったかといえば、あの主人公こそが宮崎駿自身だから……なるほどぉ!

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「茜色に焼かれる」(2021 スターサンズ)

2024-06-25 | 邦画

主演尾野真千子、脚本・監督・編集が石井裕也とくれば、なんで見逃していたのか。

夫(オダギリジョー)を高齢ドライバーの運転ミスによって失った良子(尾野真千子)は、謝罪もなかったことに憤り、賠償金の受け取りを拒否する。しかし経営していたカフェはコロナのためにたたまざるをえず、夫の愛人の子への養育費も支払い続けている。

生活のために風俗で働く(けっこうすごい描写)彼女には、息子がいじめられたり、むかしの同級生にだまされたり、理不尽がことばかりが起こる。

しかし彼女は常にこう言って笑っている。

「まあ、がんばりましょう」

あらゆる不幸に苦しめられながら、それでもポジティブな良子の姿をこそ石井監督は描きたかったのだそうだ。コロナに苦しむ観客たちに向けてのメッセージ。彼女が傷ついていないはずはないのに。そのきつさを描く石井脚本がすごい。

尾野真千子はこの作品でその年の主演女優賞を総取りした。彼女のキャリアには驚かされどおし。河瀨直美に中学生のときに靴箱の掃除をしているところをスカウトされ「萌の朱雀」でデビューしたのはすでに伝説。

彼女を初めて見た「リアリズムの宿」ではいきなり全裸で疾走して登場。

原田芳雄と共演した「火の魚」(NHK広島制作)での

「わたくし、もてた気分でございます」

というセリフに泣かされ、この演技が朝ドラ「カーネーション」の主役につながる(のかな?)。以降も「外事警察」「そして父になる」「ヤクザと家族」と名演をつづけている。そんな彼女の、これは代表作になるだろう。

そうか尾野真千子ももう四十代か。いい感じで年齢を重ねているので、これからもわたしたちを楽しませてくれることだろうと思う。

うん、がんばりましょう。

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史劇を愉しむ その36章「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」The Iron Lady(2011 ギャガ)

2024-06-24 | 洋画

その35章「リトル・ブッダ」はこちら

サッチャーのお話を史劇として取り扱うのかは微妙。でもわたしは歴史のなかに押し込めたい。

数々の主演女優賞をメリル・ストリープにもたらした作品だが、わたしは敬遠していた。だってあのサッチャーの伝記映画なのである。嫌いだったなあ。

80年代のロン(ロナルド・レーガン)、ヤス(中曾根康弘)、サッチャーの新自由主義トリオに、世間の支持はあつまったけれども、わたしはいいかげんにしてほしいと思っていた。

さてこの映画は、ひとりの老婆が食料品店を訪れるシーンから始まる。もちろんサッチャーである。メリル・ストリープの老け演技が徹底していて、おそらくは身体の動かし方をかなり研究したのだろう。

彼女は少し認知が入っていて、すでに亡くなっている夫の姿が見え、会話もしている。サッチャーのまわりはそのことに不安を募らせている。そしてサッチャーの回想がはじまる。

まだ女性が政治家をめざすことに偏見があった時代。同時に、食料品店の娘である平民が政治を行うことへの偏見もまだあった時代。マーガレットはまわりの女性たちから嘲笑されながらも勉強に打ち込み、オックスフォードを卒業する。しかし最初の選挙では落選する。

そこに登場したのが、のちの夫である実業家デニス・サッチャーだった。

「実業家の妻として立候補すれば、当選できるよ」

そんな時代だったわけだ。

彼女が首相になって以来、その苛烈な政策によって労働者たちの生活は困窮し、次第に支持を失っていく。

そこで起こったのがフォークランド紛争だった。はっきりとアルゼンチンとの間の戦争なのだが、強硬策をとって勝利したサッチャーの人気は回復する。そういうことだったわけだ。

人間としての弱さも見せてメリル・ストリープの演技はやはりすばらしい。でもね、わたしがサッチャー嫌いであることは変わらないのでした。

第37章「サムソンとデリラ」につづく

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光る君へ 第25回「決意」

2024-06-23 | 大河ドラマ

吉高由里子主演NHK大河ドラマ「光る君へ」脚本家・大石静の本音が意外すぎた!

第24回「忘れえぬ人」はこちら

今回は、紙のお話。越前が和紙の産地だとは初耳だったが、紫式部はその紙に子どものように執着する。

自身が想像もしていなかっただろう。彼女の作品「源氏物語」は、紙に書かれていたからこそ千年ものあいだ、語り継がれていたのだ。清少納言の「枕草子」にしても、中宮へのファンレターとしてだけでは歴史に埋没していたろうが、紙で宮中に広げることでエバーグリーンになっていく。

永井紗耶子の新作「きらん風月」を読んで、紙に書かれていることがどれだけ後世に影響を与えるかが示唆され、隠居したのにいまだに政治への色気むんむんの松平定信を震撼させるのとシンクロしました。

映画「追憶」の話でしたね。脚本の大石静さんが激賞しているのがこのバーブラ・ストライサンドとロバート・レッドフォードの恋愛劇なんです。意外だなあと思いました。作風が違いすぎじゃないか。

この映画はわたしも若いころに観て、それなりに感動したんですよ。特にラストシーン。別れたふたりが再会して(このふたりは思想信条の違いで別れている)、ノンポリのレッドフォードは左翼のビラを配っているストライサンドにこう語る。

「今は、幸せかい?」

「ええ、幸せよ」

ふた通りの解釈があって、ストライサンドが無理をしているととるひともいれば、本当に幸せなんだととるひともいる。その微妙さがすばらしい。

その論議を、来日したシドニー・ポラック監督は、日本人にそこまで深く読みこんでもらえたのかと感じ入っていた。なめちゃだめだよ日本人を(笑)。

だから今回の「不実な女でもいい?」という問いかけは、紫式部を使って日本のテレビドラマもここまできたかと。

藤原道長の苦衷に関しては来週から。どんどん面白くなってる。

第26回「いけにえの姫」につづく

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明細書を見ろ!2024年6月号 定額減税

2024-06-21 | 明細書を見ろ!(事務だより)

教職調整額part1はこちら

教職調整額のPART2をやるつもりだったのですが、さすがに学校事務職員としてこれはやっておかないと。定額減税です。

さあ明細書を見てみましょう。いつもより手取りが多いことに気づくはず。なぜかと言えば、所得税と住民税がまったくひかれていないからです。来月からもいろんな理屈で減税は続きますが、文字通り『定額』を『減税』するんだけど、一人ひとりのひと月当たりの減税額は違います。
 
ということで、噂の定額減税が始まりました。

所得税が3万円、住民税が1万円の計4万円が減税されます。

扶養親族も4万円ですからけっこうでかい。しかしこの減税のやり方がめちゃめちゃに複雑で、全国の給与事務担当者は気が遠くなったのでした。

この減税がなぜ行われたかといえば、あくまでデフレ脱却のためです。つまりは浮いたお金は使えと。景気浮揚のためとか言ってるんだけど、意地悪な見方をすれば、浮揚したいのは内閣支持率だからこんなに急いだんじゃない?

そして給与事務担当者にとって、ふざけんなよと思ったのは、減税額を明示しろという急な話があったことです。県の担当者は激怒したと思います。そして全国の総務課も。

そんな経緯もあって、いま減税されているというありがたみを感じてくれないんじゃないかと、減税額を明示しなくてはいけなくなりました。

さあもう一度明細書を見てみましょう。右下のあたりに定額減税というのが強引に押し込まれています。いやーあからさま。

そして開店閉店2024

上安町のパチンコ屋がおなじみのスーパーの再進出になるのはびっくり。解体されているように見える玉姫殿は某ホテルの2号店になる噂。でも哀しいのは三日月軒高砂軒の閉店かな。

ああもうあの固いチャーシューは食べられないのか。それから、ガストがしゃぶ葉(しゃぶよう)になるのはいいけど、その危ない名前はなんとかなんないのか。

2024年6月期末勤勉手当号「ボーナス」につづく

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父の日2024

2024-06-21 | 日記・エッセイ・コラム

誕生日篇はこちら

「あのお、伍長。父の日には必ずお酒が娘さんから送ってもらえるんじゃなかったでしたっけ?」

「今年は千疋屋。誰かの意図が働いていたとしか(笑)」

妻に決まっています。

「お父さんにこれ以上お酒を飲ませちゃダメよ!」

「あーなるほど、OK」

LINEのやりとりが見えるようだ。

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「ロスト・ケア」(2023 東京テアトル=日活)

2024-06-20 | 邦画

主演が長澤まさみ松山ケンイチ。脇を固めるのが柄本明、峯村リエ(真田丸の大蔵卿ね)など。介護士による42人殺しのお話。人数的には「」の19人を上回る。

老人介護の現実を徹底的に見せつけられる。わたしの父親が元気なのは本当にしあわせなことであると実感。ちょっと元気すぎるけど。

誰もが親が死ぬと罪悪感をいだく。もっとしてあげることがあったのではないかと。これは永遠の課題であり、子であることの宿命なのかも。原作は葉真中顕

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