事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の訃報2024年7月号PART1 ロバート・タウン 89歳没

2024-07-31 | 芸能ネタ

2024年6月号PART3 佐々木昭一郎篇はこちら

なんといっても、「チャイナタウン」の脚本家である。大好きなこの映画を、わたしは「チャイナタウンがわからない」として連載した。名作です。

この、当初のタウンの脚本はわけがわからず、監督のロマン・ポランスキーがいじり倒してタウンは激高。しかしこの作品でオスカーをとったのは脚本賞だけだったというオチがついている。

でもポランスキーは懲りずにタウンと(これもわたしが大好きな)「フランティック」でふたたび組んでいる。

Wikipediaによれば、彼はクレジットなしで「ゴッドファーザー」「パララックスビュー」「天国から来たチャンピオン」などの作品に参加している。けっこう、たよりになる脚本家だったか、誇り高いが故に自分の名を守るために名をはずさせたのか……

浜畑賢吉篇につづく

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「エルヴィス」Elvis(2022 WB)

2024-07-31 | 洋画

エルヴィス・プレスリーの半生を描いた映画。大佐と呼ばれるマネージャーに搾取され続けるお話でもある。なんか近ごろの音楽スター実録ものの典型ですね。彼の大ファンだった湯川れい子さん(うーん、いちばんわかりやすいのはラッツ&スターの諸作の作詞家。わたしにとっては全米トップ40の人)が見てどう思ったろうか。彼女はマイケル・ジャクソンのハートブレイク・ホテルというタイトルにも異見を発していたのだった。

ついでに言うと、ジョン・レノンの曲がナンバーワンになれなかったとき(その時の1位はブロンディの「Tide is high」だったと思う)「これは残念よね」いいんですかトップ40の人なのに。

数多くのヒット曲をもつエルヴィスのことだから、それだけでも心浮き立つ作品になるはずだった。だけどそういう映画には監督のバズ・ラーマンはしたくなかったわけだ。ちょっと装飾過多な部分もあり、そのあたりもバズ・ラーマンらしいところか。

大佐を演じたのはトム・ハンクス。気持ちよさそうに悪人であり、同時に悲劇の人であるあたりの複雑さを見せつけてくれる。

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「同潤会代官山アパートメント」三上延著 新潮社

2024-07-30 | 本と雑誌

同潤会のアパートは、関東大震災によって被災した東京において、コンクリートを使った住宅を当時の政府が提供しようとして建設された。おなじみなのは青山の同潤会アパートだろうか(いまの表参道ヒルズ)。

この物語は、関東大震災で生き残ったひとりの女性の生涯を描いたもの。

三上延はビブリア古書堂シリーズでおなじみだけれど、こちらのほうが数段上だと思いました。ほぼ十年おきに描かれる彼女の家族たち。そしてエンディングでジーンとしたあとに、ぜひプロローグも読み返してください。うわー、こりゃ卑怯だろうと思うくらい泣かせる仕掛けが待っています。

ドラマ化はされないのかな。老けメイクはたいへんだろうけれども、実は役者はそれほど用意しなくてもいいようになっていますよ。

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線状降水帯Ⅱ

2024-07-29 | 大河ドラマ

〈速報|山形大雨〉孤立は解消も被害甚大 酒田市大沢地区

PART1はこちら

まだ、あの大雨の影響が。

特に旧八幡町(映像の大沢地区はその一部です)や遊佐町の被害が甚大だ。近所の人たちや同僚から聞かされ、そして見せられる(スマホの写真)状況のひどさと来たら……

でも、いちおう市街地であるうちの学区でも、通り1本違うだけで状況は全然違う。土地の高低や川との距離などが影響しているんだろうけど、ここまで露骨に顕在化したのは初めてだ。

 

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光る君へ 第29回「母として」

2024-07-28 | 大河ドラマ

第28回「一帝二后」はこちら

先週のオンエアから1週間経ったのか。長かったなあ。それはもちろん酒田や遊佐に降った大雨のせい。えらいことだったんですよ。

まず、市街地に通うわたしは油断してます。職場に着いてクルマのドアを開け

「え」

すでに靴がズブズブに濡れています。そっから先は大騒ぎ。学校が避難所になる、三者面談は中止になる、翌日は休業日になる……冠水、ということをみんななめています。あ、俺だけかな。道路が水で光っていたら、とりあえずそこを通るな、ってこと。アンダーパスは絶対に警戒しないと。

あれから3日経っても、山間地はまだ復旧していません。自衛隊の車両は往来し、ヘリや飛行機が飛びまくり。名物の刈屋の梨はだいじょうぶなんだろうか。

そんな時にわたしは草刈りを終えたあと、映画「ビブリア古書堂の事件手帖」を見ていました。ネタバレになるんですけど、このお話は「違う男の子を妻がはらみながら、そのことを受け入れる」話になっています。

ちなみに、この原作はベストセラーになっているけれども、テレビドラマも映画も残念ながら成功しているとは言い難い。ドラマでは明らかに主役の選択を間違えているし、映画では栞子さんを演じた黒木華が“無垢なのにセクシー”という設定に合っていない(オタクの意見です)。

アバンタイトルで佐々木蔵之介が、実は藤原道長の娘である賢子に、変顔をする(父親らしい行動)ことで退場するあたりの展開はすばらしい。父として、彼はやるべきことはやったということだろう。 

第30回「つながる言の葉」につづく

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線状降水帯

2024-07-27 | ニュース

【速報】山形県酒田市、遊佐町に大雨特別警報

ご心配をおかけしました。山形県酒田市の住人であるわたしは元気です。

っていうかはんぱねー雨。しかも落雷によって停電。道路は冠水。ふう。

何年か前に山形市でどえらい雨のせいでクルマが不調になったことがあった。

その経験もあるのに冠水している道路に特攻するわたし。

同じ道路を通る同僚は

「消防の人が止めてくれたけど」

わたしはよほど人相が悪かったという結論。ええその通りです。今日のリリー・フランキーの番組で、アンダーパスで水没した話になっていたのに激しく首肯。運転しちゃいけないのよそんなときは。

PART2につづく

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「シャイロックの子供たち」(2023 松竹)

2024-07-24 | 邦画

新デザインのお札(20年前も言ったかも。おふだじゃなくておさつね)が流通しはじめた。何も考えずにその新札を銀行で入金したら

「いいんですか?新札ですよ」と窓口のお姉さん。

「だってほぼ一年でほとんどがこの札になるわけだろ?むしろ前の札のほうが貴重になるんじゃないか」

「まあ、それはそうですけど」

金融につとめていた人に聞いたら、ATMから新札が出てくるかは運次第だという。なぜなら、顧客が入金したお札が次の客の出金にあてられるからだとか。

「裏にあるケースにね、入金されたお札が上に積もっていくわけで。それがまず出金されるんです。ATMにお札を補充するのがまためんどくさいんですよ」

まさしく、金融の裏側。そしてこの映画は、そのATMの裏側にお札を佐々木蔵之介が補充するシーンからスタート。彼が出ていくと、そこには帯封のきれっぱしが……

ちょっとネタバレになるけれども、佐々木蔵之介は隠匿した金を、競馬で当てることで補充したのである。確か宮本輝原作の「優駿」でも、仲代達矢が傾いた会社を、競馬で当てて立て直すくだりがあった。あぶないあぶない。

さて、「シャイロックの子供たち」は、ここから現金紛失、行員の失踪などのディープな話がつづく。事件の真相を探れと命じられたのは阿部サダヲ上戸彩。意地悪な同僚を木南晴夏がやっているのは、時節柄きわどいかも。

池井戸潤原作ものは、みんなが絶賛するキラーコンテンツとなっている(半沢直樹はその代表だ)ので、むしろ敬遠していたけれども、切れ味するどい展開でまったく飽きさせない。

監督は「鴨川ホルモー」「超高速!参勤交代」などの本木克英。脚本はペンネームを使った池井戸潤自身です。

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「冬に子供が生まれる」佐藤正午著 小学館

2024-07-22 | 本と雑誌

佐藤正午の7年ぶりの新作長篇。「月の満ち欠け」「身の上話」「鳩の撃退法」と傑作を連発する佐藤の、何度も言うようにわたしは大ファンなのだ。

今回もかなり高度なテクニックが使われていて、この部分の話者はいったい誰なんだろう、と読者を戸惑わせながらストーリーは進む。

そのストーリーの核となるのが、まさしく

・この言葉は誰によって語られているのか

・この地の文は誰による描写なのか

に集約される。

ふたりの丸田という少年。雰囲気も容姿もよく似ている。その名前から、クラスメイトの佐渡くんはふたりにそれぞれマルユウ、マルセイというあだ名をつける。丸田ふたりと佐渡くんは、何かに引き付けられるように近所の山に登り、ある体験をし、結果的に新聞に載ることになる。その体験は、彼らにどんな影響を与えたのか……

キャラの設定があいかわらずうまい。

大人になった彼らを取材しようとする女性記者や、取材を受けるようにすすめる元教師の“いやな感じ”など、絶妙だ。

ある人物の号泣で終わる展開だけれど、読み終えて幸福感が味わえます。またしても傑作。佐藤正午はいい。

「冬に子供が生まれる」というタイトルは、「月の満ち欠け」につづいて、実は倫理的にやばいんだろと思いますが。引用しているのはもちろん「E.T.」あるいは「未知との遭遇」そして「天国から来たチャンピオン」でしょう。そのセンスもうれしいです。

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光る君へ 第28回「一帝二后」

2024-07-21 | 大河ドラマ

第27回「宿縁の命」はこちら

ひとりの天皇に二人の皇后(中宮)がいることはこの時代までなかったのか。いや歴史知らずのわたしだから、天皇にはありとあらゆる手段を使って後継を用意してもらうのが最大の責務なのかと思っていたので(そう思っている人は今もたくさんいる。週刊新潮とかの読者やら)、ちょっと驚いた。

しかしこれは現在に続く本妻とお妾さんの相克なんでしょ?こうなると大石静さんの筆は絶好調だ。

たくさんの子どもが登場する。その最初はもちろん紫式部(吉高由里子)が抱く女の子だ。藤原道長(柄本佑)の子であることを承知しながら、藤原宣孝(佐々木蔵之介)は溺愛し、賢子(かたこ)という名を与える。

考え方として、左大臣の子を産んだのだから、自分の栄達につながるに違いないと喜んだという発想もあるだろう。でもわたしは違うと思う。そのことをすべて飲み込みながら、まひろはわたしの妻であるということに、充足はしないけれども男としての意趣返しができたと考えたのではないか。

そのことで思い出すエピソードがあります。かつてあの大物作曲家のバート・バカラックは「女刑事ペパー」などでセクシー演技が人気だったアンジー・ディキンソンと結婚していたのですが、マスコミから

「奥さんがその肢体を見せていることをどう考えていますか」

という意地悪な質問に

「全世界の人が妻の身体を見るだろう。でもさわれるのはわたしだけだ」

かっけー。

道長の二番目の妻(瀧内公美)の教育ママっぷりが露骨でいい。そして天皇が溺愛する定子(高畑充希)がこの時点で退場する。

第29回「母として」につづく

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明細書を見ろ!2024年7月号「あからさま」紙上初任者研修PART4

2024-07-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2024年期末勤勉手当号はこちら

近ごろ何に驚いたといって、トランプ前大統領の銃撃事件。銃撃そのものも驚きですが、耳を銃弾で負傷した直後に腕を振り上げたのにはたまげました。なんというメンタルの強さ。兵役の経験もないのに(いろいろと、裏ワザを使ったという噂も)、瞬時に自己アピールできるあたり、並の神経ではありません

そして、先日の都知事選で165万も得票したあの人もまた、すごい神経の持ち主ですよね。安芸高田市長時代のパワハラなどの指摘を、冷笑と論理のすり替えでしのぐその根性。見習いたいものです(もちろん皮肉です)。


加えて兵庫県知事。おねだり癖の音声データまで出て百条委員会が設置されようとしても、副知事に説得されても、部下が死んでもなお辞職しようとしない……

近ごろ、こんなあからさまな人が増えたなあとつくづく。

先日、教職調整額に関し、NHKはこう報じました。

「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない教員の給与の枠組みはこのように呼ばれています」

「定額働かせ放題ともいわれる枠組み自体は残ることになります」

4%を10%に上げたところで、教員の働き方改革につながらないのは自明なので、きわめてまっとうな報道だと思いました。

ところが、この報道に文部科学省がかみつきました。

「なぜ教職調整額の仕組みを維持するとしたかという中央教育審議会における議論の内容に触れることのない一面的なもの」

なる抗議文を送り、HPに掲載したのです。いやはやあからさまだなあ。

画像は「荒野に希望の灯をともす」

アフガニスタンなどで用水路建設にまい進し、銃撃されて亡くなった医師、中村哲さんを描いたドキュメンタリー。平田のシアターOZにおける1回目の上映はなんと満員札止め!含羞の人も、ここにいる。すばらしい作品。すばらしい人。

8月号「線状降水帯」につづく

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