事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「シュガー・ラッシュ」「シュガー・ラッシュ:オンライン」(ディズニー)

2024-11-06 | アニメ・コミック・ゲーム

「ゲームの世界をCGアニメで描く、とくれば思い出されるのはスーパーマリオ・ザ・ムービーかの」

「ですね伍長。っていうかディズニーのアニメ系のときは伍長とその部下のシリーズでやるのをおぼえててくれてうれしいです」

「CGだから何でもできるわけだけど、だからこそ作り手の想像力が試されるわけ。その意味ではさすがの出来栄え」

「実際のゲームのキャラもいっぱい出てましたね。マリオのクッパ、パックマン、ストリートファイターのリュウ、ソニック・ザ・ヘッジホッグ……」

「権利料だけでもたいしたもんだったろうな」

「わたしのお気に入りキャラはカルホーン軍曹っす」

「ああいう強い女が好きなのか。あ、伍長より軍曹が位が上だって言いたいのかお前」

「違いますってば」

「それにしてもなあ、主人公が悪役であることに悩み続け、AA(アルコール依存症患者たちのミーティング)みたいのに参加するとか、天才レーサーのヒロインにはバグがあるとか、なんかもう心療内科医が大喜びしそうなネタがたっぷり仕込んであるのはどうしてなんだろう」

「マーベルのキャラが、みんなファーザーコンプレックスを抱えているのといっしょで、アメリカ人はそういうのがひたすら好きなんじゃないですかね」

「ん。言えてる気がする」

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「すずめの戸締り」(2022 東宝)

2024-10-24 | アニメ・コミック・ゲーム

君の名は。」「天気の子」に続く新海誠の大ヒットアニメ。日本でも中国でも韓国でも驚異的な興行成績をマーク。

ストーリーはタイトルどおり。ヒロインの鈴芽(すずめ)が、“開いてしまった戸”を閉める物語。その戸からは災厄が忍び出る。閉めることが専門である「閉じ師」も存在し、しかし彼は神獣によって椅子に姿を変えられてしまう。その椅子の脚が1本足りないという設定が絶妙だ。アニメとしても動きがはずむ。

テーマは東日本大震災。もちろん重い話だが、SNSを利用した追跡劇など、かなり周到なつくりになっている。

今回も声優は豪華。伊藤沙莉、染谷将太、神木隆之介、松本白鴎、深津絵里たちが主演の若いふたりをサポートしている。

ラストシーンは、ふたりが“すれちがわない”あたりがうまい。とてもいい気分で見終えることができた。大ヒット納得です。

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「編集長の条件 醍醐真司の博覧推理ファイル」長崎尚志著 新潮文庫

2024-09-07 | アニメ・コミック・ゲーム

漫画原作者として高名な長崎尚志(いろいろあったんですけど)が、ホームグラウンドであるマンガ雑誌の編集の裏側を描く。

たくさんのマンガネタが仕込んであって、それだけでも読ませる。手塚治虫の「新寶島」がいかに革新的な存在だったかを(読んだことないけど)初めて知りました。白土三平の衝撃もよくわかんないじゃないですか。カムイ伝の再開でしか(もちろんサスケはあったわけだけど)よくわかんないし。

だからタッチが似ている「子連れ狼」の小島剛夕に話が及ぶなど、小学館の編集者だった経歴(すんごくえらい人だったんですよ)が活かしてあって面白いっす。

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今月の訃報2024年8月号PART2 田中敦子 61歳没

2024-08-27 | アニメ・コミック・ゲーム

石川好篇はこちら

え、と驚いた。息子も「知ってる?」と驚いていた。

田中敦子といえば「少佐」である。草薙素子である。「攻殻機動隊」である。サイボーグである彼女に、むしろ感情を殺した声で血肉をあたえたのが田中さんだったのに。

近年、声優の訃報がつづくが、なにしろ高齢な人たちが多いのだから致し方のない部分もあろう。でも彼女は違う。若すぎる。もっともっと、攻殻機動隊の新作を見たかったのに。彼女の声で

「バトー!」「トグサ!」「イシカワ!」と指令をくだす場面は、もう見られない……

アラン・ドロン篇につづく

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今月の名言7月号PART1 本物の先輩

2024-08-06 | アニメ・コミック・ゲーム

ドロンジョ篇はこちら

「10年続いたらホンモノっていうんです。だから、ホンモノでしたね」

今月の訃報でもお伝えした小原乃梨子さんが、水田わさび、大原めぐみのドラえもんとのび太の声優に向けてのメッセージ。そうかあの声優交代から10年経ったのか。

「どうせ聞こえてくるのは、前の方が良かったっていう声。新しいものが始まった時はどんな番組でも洗礼を受けるものです」

本物のやさしさ。本物の先輩。水田と大原は思わず涙が……。

卑怯者篇につづく

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今月の訃報2024年7月号PART5 小原乃梨子篇 88歳没

2024-08-05 | アニメ・コミック・ゲーム

シェリー・デュヴァル篇はこちら

何も言うまい。のび太や未来少年コナンでおなじみの彼女だけれど、わたしにとってはやはりドロンジョの人。とても、とても哀しい。つまりは、日本のセクシーシンボルをわたしたちは失ったのだ。

一度でいいから彼女に直接「スカポンタン」と罵倒してほしかった。

いや連日妻からそういう類いのことを言われてますけど(笑)。お布団のたたみ方を説教するのはやめて。

そしてすばらしいエピソードを小原乃梨子さんは残しているんです。

今月の名言2024年7月号PART1「本物の先輩」につづく

訃報篇は石川好へ。

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「還暦不行届」安野モヨコ著 祥伝社

2024-06-28 | アニメ・コミック・ゲーム

かつてジャック・ニコルソンとメリル・ストリープが共演した「心みだれて」という映画がありました。浮気とかが原因で離婚にいたる夫婦の物語。これ、実話がもとになっていて、なんと「大統領の陰謀」のモデルとなったカール・バーンスタイン記者と、この映画の脚本と原作を書いたノーラ・エフロンのお話だったのだ。

最大の教訓は、物書きとは結婚するなということ。配偶者のことを面白おかしく徹底的に描かれてしまうから。

さて「還暦不行届」は、漫画家の安野モヨコが、12才年上の(わたしと同い年の)庵野秀明のことを描いたエッセイ集だ。しかしこの内容が本当だとすれば、庵野秀明ってどんだけ変わってるんだ。

結婚前は風呂にも入らず、同じ服を着続け、最後は洗濯もせずに捨てる。撮影が始まると生活のすべてをその作品に捧げ……これは長年にわたる妻による庵野秀明の矯正物語でもある。また「シン・ゴジラ」を見てみようかしら。

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「ジブリをめぐる冒険」鈴木敏夫×池澤夏樹 スイッチパブリッシング

2024-06-26 | アニメ・コミック・ゲーム

基本は、ジブリファンの池澤夏樹鈴木敏夫の対談。場が熱くなると、鈴木が「宮崎駿とはいかに変な人間であるか」を主張し始めるのがおかしい。

高畑勲と大江健三郎が東大の仏文で同級生だったとか、「君たちはどう生きるか」の主人公が少年であることに鈴木は猛然と反対した(ジブリ作品のほとんどは少女が主役)とか、初めて知る。

なぜ少年であることに宮崎がこだわったかといえば、あの主人公こそが宮崎駿自身だから……なるほどぉ!

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今月の名言2024年3月号PART2 鳥山明と江口寿史

2024-04-04 | アニメ・コミック・ゲーム

大谷の嫁篇はこちら

「ぼくの本棚に鳥山さんの漫画はない。鳥山さんの本で持っているのはこの2冊の画集がすべてだ」

江口寿史鳥山明の訃報を知ってインスタグラムに投稿。江口は、自分の作品とちがって、鳥山明は画で漫画本来の魅力を復権させたと評価している。

キャラクターやストーリーに傾いた時代に、大友克洋や高野文子などのニューウェイブが台頭。彼らとほぼ同時期に登場したのが鳥山明だったと総括している。

ラーメン屋のカウンターでジャンプを開いても、鳥山明の作品はもちろん掲載されていない。しかし、あの「ONE PIECE」に鳥山の影響を見るのは容易だろう。というか、彼の影響を受けなかった漫画家っているのかな。

「ばかやろう」篇につづく

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追悼鳥山明

2024-03-08 | アニメ・コミック・ゲーム

ドラゴンボールのオンエアがフジテレビで始まってから数日後、わたしはあるアニメオタクと話していた。

「どうだった?」

「……中間色がよく出てました」

さすがオタク、と感じ入った。そこにこだわるか。

彼にとっては、ドラゴンボールがそこにあるのは当然で、どこまでのレベルかだけが問題だったのだ。

Dr.スランプの連載が始まるまで、ジャンプの編集部から鳥山明は徹底的にしごかれ、何度も何度も書き直しを命ぜられたのは有名な話だ。同時に、ドラゴンボールの連載に彼が疲れ果て、早く終わらせてくれと主張したのにそっちも拒否されたと。

わたしはドラゴンクエストを気を失うまでやりまくった人間なので、鳥山明の訃報には呆然としている。

いろんな経緯から、彼の画風は最初から完成されていた。縁取りがきっちりとしていて、同時に丸っこいキャラはなんとも愛らしかった。その究極がスライムだろうと思う。完璧。

つくづくと思う。彼はマンガ家としてすばらしいのはもちろん、“日本の画風”すら鳥山明に誘導したではないか。

銀行の椅子に座りながら、スマホで彼の訃報に驚愕。

「44番の番号札でお待ちのお客様あ」

ちょっと自分が呼ばれたのか判然としない。あたふた。

「何をそんなにあわててるんですか」と銀行のお姉さん。

「鳥山明が死んだのにびっくりしてたんだよ」

「え」

日本全国が、あるいは全世界が驚くことになった。

 

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