最終回「時間よ止まれ」はこちら。
そうか「いだてん」の総集篇は今日なのか。まあ、録画する術を持っていない情けないわたしなので5時間も年末に見てはいられないけど、はじめて見る人にとってあの大河はどう映るんだろう。ただでさえ展開が速すぎると批判された宮藤官九郎ドラマなので、総集篇だとなおさらめまぐるしいのかしら(笑)
待てよ、時系列にそって編集し直すというのはどうだ……だめだ、伏線を刈り込むことこそがクドカンの本領なのだから(これも伏線)。ってことで今回はいだてんアカデミー賞と称してふりかえってみたいと思います。
◇最優秀助演女優賞
泣きながら三島を見送った白石加代子、「つづきは来週っ!」の大竹しのぶ、ひとりでスポ根ドラマを成立させた安藤サクラ……激戦区だけど、ほとんどセリフのなかった麻生久美子がすばらしかった。個性の強いキャストのなかで、しゃべらないでいたのはフラストレーションたまったろうなあ。
◇最優秀助演男優賞
どんどん人気が出てきた美川役の勝地涼、「ゆとりですがなにか」からキャラを180度変えてきた仲野太賀、こんなにきれいな身体だったの斎藤工、あまちゃんにつづいて好演がうれしいぞ皆川猿時&山形県人の星だ峯田和伸……しかしわたしはへそ曲がりだから今年はピエール瀧に進呈しますっ!しますったらしますっ!早く帰って来てね。
◇最優秀主演女優賞
主演、って位置にいた女優は誰なんでしょう(笑)。ビリングから言えば綾瀬はるかなのかな。三善英史につづいて、わたしは森昌子の「せんせい」の熊本弁バージョンも思いついてしまいました。
♪あーわい初恋消えた日は ばい
♪あーめがしとしと降っていた ばい
……どうしていつも彼女の替え歌を考えるときって70年代の歌になるものだか(笑)。
あ、そうだ。主演女優でしたね。ここは合わせ技で小泉今日子と池波志乃に。落語ファンにとって、このキャスティングはうれしかったなあ。妻はつくづく美津子さん役のキョンキョンを見て
「いい味を出すようになったわねえ」
と感じ入っていた。そうかなあ。昔からいい味だったけど。
にしてもですよ。大河ドラマの登場人物の孫が、そのおばあちゃんを演ずるってパターン、今までにあったのかな。
候補はいろいろ考えられるんですよ。梨園の人たちとか、あるいは加山雄三が岩倉具視を演じたらそういうことだったらしいですが。
いずれにしろ、古今亭志ん生の孫であり、金原亭馬生の娘であり、古今亭志ん朝の姪である池波志乃がおりんさんを演じてくれたことを、偏屈な寄席の常連たちがどう語ったか、想像するだけで楽しい。
◇最優秀主演男優賞
そりゃ、主演とくれば中村勘九郎か阿部サダヲ、少しひねれば嘉納治五郎を演じた役所広司ってことですよね。確かにこの3人はすばらしかった。
でもね、わたしはこの大河はこいつの噺だったと結論づけたいんです。五りんです。だから神木隆之介。軽い?そうかもしれない。でも、「ハウルの動く城」の、あのマルクルが大河の主演だと考えるとうれしいですもの。
◇最優秀作品賞
いちばん悩んだのはここなんです。神回と呼ばれるのはいくつもあって
「明日なき暴走」
「替り目」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
そしてあの最終回など。どれでも文句ないんだけど、
「志ん生の富久は絶品」
というハガキ一枚にこめた宮藤官九郎の伏線刈り込み技で一本をとった「懐かしの満州」をベストに推します。泣いた。何度でも言います。この大河は、視聴率は最低だったかもしれない。でもわたしにとっては最高の大河でした。