Daryl Hall & John Oates - Maneater
Vol.20「都合のいい女」はこちら。
70代男性。10年以上続いていた浮気について相談します。
浮気相手の女性は同じ70代で、隣町に住んでいます。知り合ってお付き合いを始めてすぐ、女性の夫が亡くなったため、彼女はひとり暮らしをしています。
食事や季節の花見、名所旧跡巡り、温泉旅行などを続けるうちに、深い関係になりました。お互いの誕生日や節目節目に贈り物を交わし、元気であれば80代になっても付き合おう、と約束してきました。
初めの頃は費用を全て持っていましたが、そのうち出費も大変なので折半しようと話し合い、今まで関係を続けてきました。
ところがここ1、2年会う頻度が減り、最近「浮気にお金を使いたくない」として、しばらく間を置きたいと言ってきました。私も別れたいと思っているのですが、これまで生きがいを感じてきたので思いを断ち切れず、決断がつきません。(茨城・T夫)
……回答者の精神科医、野村総一郎さんもいきなり気づいている。この相談に、相談者の妻がまったく出てこないことを。それ以前に、どうもこの人はミステリ用語で言うところの『信用できない語り手』みたいなのだ。なにしろ嘘が多すぎる。
・「~などを続けるうちに、深い関係になりました」→まるで他人ごと。ひとり暮らしの女性と温泉旅行をかましておいて、下心がなかったはずがないのに。部屋はいっしょだったんでしょう?
・「出費も大変なので折半しようと話し合い」→あなたが持ちかけたくせに。
・「私も別れたいと思っているのですが」→嘘をつけ。別れたいならもっけの幸いな申し出ではないか。未練たっぷりで、便利で都合のいい女をはなしたくないだけでしょうに。
ああ前回につづいて「都合のいい女」というフレーズが。ということはつまり、男の側がいかにも卑怯だということでしょう。ところで、あなたの奥さんは浮気にまったく気づいていないとあなたは自信たっぷりみたいだ。はたしてそうなんだろうか。
それにしても、前回のM子さんは50代で人生最後の恋と覚悟していたけど、やっぱり先は長いんだなあ。
本日は、あるミステリを紹介しようと思ったけどそれはネタバレ。ということで本日の1曲はホール&オーツの「マンイーター」。この曲は相談者にお送りしたいスティービー・ワンダーの「パートタイムラバー」とほぼおんなじ。ついでにフィル・コリンズがカバーした「恋はあせらず」ともいっしょ。
要するにモータウンサウンドだったってことかな。3曲とも大好きです。
Vol.22「同窓会の夜」につづく。