S47 喝采 (ちあきなおみ)
2024年1月号「眼を開く」はこちら。
世の中には知らないほうが幸せなこともあります。いっぱいあります。若い職員はそんなものの存在は知らないほうがいいのはわかっていますが、十年に一度の見直しの時期が近づいているので、お伝えしないわけにはいきません。それは、寒冷地手当というものです。
これは、別名「薪炭(しんたん)手当」と呼ばれたことからもおわかりのように(わかんないわな)、寒い地域に居住する職員への寒冷対策で設定されたものです。夏のお安いうちに薪や炭を買いなさいということで、昔は8月10日が支給日でした。
「いったいどうして夏休みの真っ最中にわざわざ登校日なんてものがあって、『宿題ちゃんとやってるか』って説教されるんだろう」と思った人もいたでしょうが、何のことはない、センセイたちはその日しっかりとお金をもらっていたのです。
そんなもの見たことも聞いたこともない、という職員も多いでしょう。だって2004年度から庄内地方のほとんどが支給地域から外されてしまったからです。
今はどの程度の額かというと、11月から3月まで
・扶養親族がいる世帯主……月額17800円
・扶養親族がいない世帯主…月額10200円
・その他………………………月額 7360円
つまり、内陸地方の職員は給料に5ヶ月間これだけ上乗せされているのです。ほら、知らないほうがよかったでしょう?
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この手当については、先ほども言ったように十年に一度見直されます。それはなぜかというと、気象庁がメッシュ平年値なるものを発表するからです。その地域が本当に寒冷地なのかをその数字をもとに判断する建前。
アメダスの気象データによる過去30年間の気温・降雪量の調査にくわえて、家計調査なども行われた過去があります。そして、結果として庄内地方は寒冷地ではないと判断されたわけ。
ということで、内陸の職員にわたしは
「いいか、庄内の職員に寒冷地手当の話をするんじゃないぞ」
と脅しています。心の中では「日本のウエストコーストだからしょうがないか」と自分を慰めているのですが。
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実は労働組合は、庄内地域への寒冷地手当の支給を求めているのですが、当局は「なかなかいい材料が見つからない」と回答しています。
でも、どうしても寒冷地手当を受け取りたい!とすれば、小中学校職員にはまだ抜け道が。
「鼠ヶ関小」
「櫛引南小」
「あさひ小」
「朝日中」
「温海中」
「田沢小」
のいずれかに勤務し、かつおおむねこの学校から1キロ以内に住めばいいのです(公署指定という制度)。しかしこの条件はいかにもハードルが高い。この条件を緩和してもらうのが、何よりも先決のような気がします。
本日の1曲は、今日のマツコ・デラックスの番組でJUJUが紹介してくれた昭和歌謡の名曲「喝采」
何に驚いたといって、中条きよしとか奥村チヨとか藤圭子(すんげー美人)、昭和歌謡の歌い手がほとんど20代だったこと。そういう時代だったんだ昭和って。
2024年4月号「今年の給料袋は……」につづく。