Travellin'
2020年6月号PART3「天才」はこちら。
「感染者は出てもいい。第1号になっても県は責めない」
ことここに至ってもひとりも感染者が出ていなかった岩手県の達増卓也知事。
「首都圏での新型コロナウイルス感染状況や各地での豪雨災害を踏まえると、この時期のスタートはいかがなものか」
「第2波が来つつあるとの感じも受けるので、地域の実情に合ったやり方を地方に任せてほしい」
Go To トラベルを見切り発車した国への疑義を吉村美栄子山形県知事が。いずれも、冷静な発言だと思う。威勢のいい言葉を並べ立て、しかし感染に歯止めがきかないどこかやどこかの知事とはえらい違いだ。
にしても達増(たっそ)という知事が、毎日聞かない日はないジョンズ・ホプキンズ大学院を修了していたとは知らなかった。専門は違えど、世界最高の公衆衛生大学院をかかえるあの大学に人脈があることは、今回のコロナ騒ぎで有用だったことだろう。
そして、その用意があるからこそ、第1号になることをおそれずに検査を受けろと啓発しているのだろうし、親の葬式にも他県から列席できないという極端な風潮に警鐘を鳴らしてもいる。そしてようやく第1号(と第2号)が出た。知事の姿勢を県民が受け止めてくれますように。
本日の1曲はジェレミー・スペンサー・バンド。ピーター・グリーンが亡くなったけど、フリートウッド・マックの初期メンバーだった彼は元気なのかなあ。わたしはこのアルバムが大好きでした。
2020年8月号PART1「不倫の代償」につづく。
米沢の熊文篇はこちら。
チャリ通する関係から、わたしほど天気予報を気にする人間もめずらしいと思う。で、降雨予想を見て「なんだよこれ」と驚く。
山形県がメインじゃないか。そして予報どおり降ってきた。ただし南の方が中心。だから酒田は降雨はたいしたことがなかったけれど、全国的に有名になってしまった最上川の河口をかかえているので……
前任校は海抜0メートル地帯もあるので避難所に向かった人も多かったらしい。うちも設置はしたけれどひとりも来ませんでした。なにより。
被害がどんどん明らかになっている。二日前に米沢から帰ってきたのできわどいところ。47号や13号が分断されたわけなので……
そんななか昨日は検診。年に一度、海鮮市場のとびしまに向かうのが楽しみだったのに、いろんなことがあって(結果発表のときに紹介します)すでに店が終わってた。
ところが、二の矢がございますよ。小松鮪専門店で中トロ丼いただきました。これで900円。コスパたけーなあ。
大来軒上安町店冷やし中華篇につづく。
いや、別にこの年になって野球がうまくなりたくてこの本を読んだわけじゃないの。近ごろ面白くて仕方のない日本プロ野球をもっと楽しめるのではないかと。
にしても、落合と言えば「練習嫌い」「おれ流」「広角打法」といったイメージが強いけれど、ここまで徹底して理屈を考えていたとは。
意外だったのは彼が常にセンター返しを心がけていたことで、広角とはあくまで結果にすぎなかったと。自分にとって(そしてそれはほとんどの選手にとって)苦手な球はアウトコース低めのストレートであり、だから常にそこに投げこめるピッチャーこそが優秀だと考えているのだ。
バットのトップの位置はストライクゾーンすべてに対応できるように高くあげ(理解できる)最短距離でボールをミートできるようにする(理解できる)、その場合ひじの抜けが……(まったく理解できない)
往年の名選手が、なぜ好成績を残せたのか、少年野球の指導者に求められるものとはなどが懇切丁寧に語られる。いやはやびっくり。
さあ今夜も野球がある。キャッチャーのリードをこれまでになく楽しめそうだ。"
その117「抵抗都市」はこちら。
地元作家、長岡弘樹の教場シリーズ4作目。初の長篇、ということになっているけれどもエピソード集のような形になっているのでシリーズの基調音は守られている。
わたしはよく小説を勝手にキャスティングして楽しむ能天気野郎だが、まさかほんとに主人公の風間を木村拓哉が演じてくれるとは思わなかった。的中して得意得意。
で、そのフジテレビ版は見ていないのでそのうちにDVD化されたら特集します。
さて「風間教場」。
「君には(警察学校を)やめてもらう」
が風間の決まり文句。しかしこの作品ではこの言葉が風間に向けて発せられるのだ。正式に入校した生徒が一人でも辞めたらその時点で退職だと校長は告げる。
シリーズを追うごとに風間がやさしくなっているのは誰でも感じたと思う。しかし天使と悪魔が共存するような彼に「やめろ」と言わせないのはきついのではないか……
そうきたかあ。長篇にしなければならないことがラストで判明。しかしこのままの幕引きは小学館が許さないだろう(笑)
その119「新宿鮫11 暗約領域」はこちら。
PART49「風林火山」はこちら。
2008年は「篤姫」。ドラマの代表選手である大河については、だからこそ批判も集まりやすい。だけれども、この篤姫についてはほぼ絶賛状態。
あ、そうなんだ。ええすみませんわたしはこの年も大河を見ていませんでした。よく考えたら日本のプロ野球が、長嶋監督時代のメークドラマの上を行く、13ゲーム差をひっくり返したメークレジェンドの年だったので……言い訳ですけどね。
主役の天璋院篤姫とはどんな人物だったかというと、薩摩藩主である島津斉彬の養女となり、そこから13代将軍家定の正室となり、次の将軍に皇室から嫁入りした和宮や最後の将軍である慶喜といろいろあったけれども、明治以降も徳川の人間として……な人。
知りませんでした。コピーは本物をグロテスクなまでに模倣するわけだが、本来は将軍の妻になれる身分ではなかった彼女だったからこそ、徳川を愛し続けたのだろう。
演じたのは宮崎あおい。東北の人間にとっては、docomo東北のCMキャラで昔からおなじみ。大河としては最年少の主役だったとか(22才)。
この人は、なんというかお決まりの表現だけど華があるよね。なんであんなのと結婚してしまったかと思ったら次は岡田准一ですか。文句ありません(何様だおれは)。
評判は聞いていたのでちょっとはこの大河を見たんだけど、家定を演じた堺雅人を凄いなと思いました。暗愚な将軍だと周りに思わせているけれども、篤姫にだけ聡明なところを見せる。正室にしか本性を見せられない設定はうまい。「新選組!」とこの大河の好演により、彼は真田丸でついに主役の座をつかむ。
老中阿部正弘が草刈正雄だから真田丸親子はすでに共演済み。井伊直弼が中村梅雀とは意表をつく。勝海舟が北大路欣也、徳川斉昭が江守徹。
大奥方面では和宮に堀北真希、幾島が松坂慶子、滝山が稲森いずみ(この人は不自然なくらいに大河で常に大きな役をゲットしています)。
薩摩では篤姫と心を通わせていた小松帯刀に瑛太、島津斉彬に高橋英樹、お由羅騒動で有名な悪女には涼風真世。藩のために自裁する調所広郷に平幹二朗なのは「樅ノ木は残った」へのオマージュだろう。西郷隆盛が小澤征悦、大久保利通は原田泰造という布陣でした。
うん、いい感じだ。これもDVDで……宿題が多くなっていく(+_+)。
PART51「天地人」につづく。
Vol.39「コロナとマナー」はこちら。
60代後半の女性。元書道教師です。10歳年下の彼との仲を娘に邪魔されました。
テニスコートで巡り合った時、お互い結婚していました。18年以上、週2回ほど会うのが楽しみで、数年前に夫が亡くなった後は、一人暮らしの私の家でホームデートをしています。
ある日、結婚して家を出た次女がいきなり、私たちがくつろいでいる部屋に入ってきたのです。高級車がとまっていたら家に入らないでと言っておいたのに、なぜ来たのか。嫌なやつ。次女はあいさつもせず、不機嫌な顔で帰りました。
彼はショックだったようで、それからメールもあまりくれず、娘さんのために別れようとさえ言うのです。彼には家庭がありますが、私たちは約束していました。どちらかが天国に行くまでずっと、つきあっていこうって……。
もう生きる気力が湧きません。どのような気持ちで生きていけばよいでしょうか。(愛知・R子)
えーと、とりあえずわたしは
「これ、ネタじゃないの?」
と疑ってしまいました。書道教師とくればどうしたって渡辺淳一の「失楽園」のヒロイン凛子を連想するし(あ、読売もわかっているんですね。R子にしていますもの)、出会ったのがテニスコート、不倫相手は高級車に乗っていて、ずぶずぶの不倫を演じていながら天国に行くことを確信している……いますかこんな人(笑)。
ん。でも60代後半かあ。きっとこの人は80年代に毎年ユーミンのアルバムを買っていたに違いないし、そのころの感性のままいまの年齢まで来てしまったのかもしれない。きっと美人なのだとは想像できます。その美人の特典をこれまで享受してきたわけだ。
にしても単に男をひっぱりこんでいるだけなのに「ホームデート」は言い過ぎでしょ(笑)。
さて、18年間にわたって週2回のデート(というか寝てたんでしょ)を繰り返し、双方の配偶者に気づかれなかったのが本当だとすれば、これはよほど周到だったか、あるいはまわりが気づいていることに気づいていなかったかのどちらかですね。
世間というものは、定期的に未亡人の家に駐車する高級車の持ち主をいつまでも見て見ぬふりをしてくれるほど甘くはありません。あなたの夢の生活はとっくに終わっていたんですよ。そう、あなたが気づかなかっただけで。
Vol.41「コロナの怒り」につづく。
ひさしぶりの“いち”篇はこちら。
四連休。あれ?どうして四連休なんだっけ。ま、いろんな事情がありつつ首相や都知事の満面の笑みを見ることはなかった。
いやわたしだってオリンピックが始まっていたら、なんだかんだ言って熱狂していただろう。
そのための下準備は「いだてん」で充分に。
さて、意味なく四連休になって、娘の帰って来たいというリクエストと、新しいクルマでドライブしたい父親の意欲がマッチ。初日に迎えに行って、最終日に返します。米沢。
いやー久しぶりに47号線と13号線を通ったらいろいろ変わってる。でもわたしの気持ちはラーメン屋中心。熊文かひらまだよな。うわー熊文大行列。こりゃ、ひらまも似たようなもんじゃろ。
地元の事務職員から教えてもらっていたラーメン屋を思い出す。「かわにし食堂に行こう」「え、川西町?」「いや米沢」「職場の人もそこはすごくおいしいって言ってた」
ということでスマホのナビ大活躍。おお、行列はあるけれどもさほどでもない。並びました。ラーメン屋のいいところは回転が速いことね。15分ほどで中に。
んで、オーダーしてから出てくるまでもさほど待つこともなく
「おいしいいいっ」
「ほんと、すごくおいしいわ」
娘も妻も大絶賛。マジうまかったっす。米沢ラーメンおそるべし。
そのとおり熊文篇につづく。
夜中に目が覚めてしまう。午前2時20分。そのまま考えごとをするとどんどん気持ちがブルーになるので、急いで本を読むことにする。ルーティン。
図書館への返却期限が来てしまい、一度返して書棚に司書が戻すのを待ってまた借りた本。「ジャパンタウン」。
結局、朝まで読み続けました。あまりに面白くて。内容をネットからひっぱると……
“サンフランシスコで古美術商と私立探偵を営むジム・ブローディのもとに、市警の友人から一本の電話が入る。ジャパンタウンというショッピングモールで日本人一家五人が惨殺される事件が起き、日本で生まれ育ち、日本の事情に詳しいブローディに助言を求めたのだ。現場には、謎の漢字一文字が記された血まみれの紙片が残されていた。その漢字は、四年前妻が住宅火災で亡くなった現場にあったものと同じだった。”
……鑑識の判断では、わずか7秒間で5人は殺されている。よほどのプロの仕事。周到で、捜査につながる痕跡はまったく残さない。そのかわりに、証拠にならないであろう薬莢は放置したままという自信。そして、残された漢字の意味とは。
どう紹介したものかと考え込む。だってね、ちょっとだけネタをばらすと、日本の片田舎(滋賀県の山沿い地方)に、殺人が地場産業になっている村が存在する……んなバカな、荒唐無稽にもほどがあると思うでしょ?
でもね、講談社インターナショナルで25年間働いていた経歴をもつバリー・ランセットの該博な日本の知識と筆力が読者を圧倒する。
だいたい、その殺人村の所在が滋賀県ってあたりも渋いし、主人公の探偵がその組織に目を付けられるのは阪神タイガースのキャップをかぶっていたからなのだ(笑)。
孫正義や児玉誉士夫のような人物も登場し、しかも探偵の捜査や事件としっかりとからむ。うまい。
この本がアメリカで出版されたのは2013年。シリーズ化もされているらしい。白浜朗さん、ここはひとつ気合いを入れてもうちょっと早く訳してもらわないと。訳しにくい作品であることは承知していますけれども。