事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2010年12月号~スタック

2010-12-31 | ニュース

Sha1012262115013p1 2010年11月号「時のたつのも忘れ……」はこちら

「日帰りのつもりだったのに…」

25日夜から26日のお昼まで、雪のために国道49号線で立ち往生した主婦のつぶやき。テレビで見てびっくり。降るんだねー福島県。渋滞の原因はトラックが横すべりしたことらしい。気をつけろよ。とか言いながら、酒田市みずほなんていう繁華街で今年最初に(きっと最後に)スタックしてしまったわたしが言える話でもありません

「僕らは洋楽の影響も受けていないし、劇的な人生も送っていない。斬新な音楽やメッセージを送る人をアーティストというのなら、そういう意味でのアーティストではない。でも丹精込めた家具のように、熱量をかけて作ってきたのは間違いない」

 いきものがかりの発言。立派な考え方だと思う。路上からスタートしたバンド特有の視点だろうか。それにしても、洋楽の影響を受けていない、と断言できる世代が台頭しているわけだ。中年としては、喜ぶべきか哀しむべきか。

「私なんかは、受験に行ってはじめてキリスト教系の学校だと知ったんですからね。『俺んちは天台宗だけど大丈夫かな?』って思いました。」

 単に長島の後輩になりたいからと立教に入った徳光和夫。おなじみ「ほぼ日刊イトイ新聞」での糸井重里との会話から。手練れの会話者ふたりが切り結ぶとここまで面白いのか、と納得。すばらしい対談でした。川相とのも絶好調でしたよ。ぜひ。

2011年1月号~小指の思い出につづく

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「俺の後ろに立つな -さいとうたかを 劇画一代-」 新潮社

2010-12-30 | アニメ・コミック・ゲーム

51831y2sl_aa500_ なにしろこれは惹句がおみごとなのだ。

『ゴルコ13』連載40年超、休載なし。誰が巨匠の背後を襲えるか。波乱の少年時代。発想の秘密。経営戦略。教育論。血液型論。すべてを語りつくした決定版自伝・劇画論。

まったく、そのとおり。貸本作家から上京して劇画家として売り出す際に、最初から分業制を選択するなど、ビジョンとして(少なくとも彼にとっては)正解。

デューク東郷の名が、中学時代の恩師からとられているなど、ここでしか読めないネタも挿入してある。できうれば弟子筋の小池一夫との関係性などもふれてほしかったのだけれど……

おそらくゲラのチェックもさほどされていないと見えて(あるいは、持論を穏やかな表現に変えることもまかりならなかったか)、さいとうの本音がむき出しになっている。“語り下ろし”に近い出版形態だったのだろう。

強烈なマザコン(表紙に使われた写真の上の方にはお母さんの写真が飾ってあります。トリミングされてるけど)、手塚治虫への反発など、ある程度は隠そうとした形跡はあっても、それが成功していないあたり、笑えます。

ゴルゴ13については、数多くの情報提供者がいることは有名で、実は地元の公務員(の一種)にも該当者がいるらしい。そのあたりにも、もうちょっと突っこんだ説明があるとうれしかったなあ。

でも、ビッグコミックに連載されているのに、どうして小学館じゃない出版社からコミックが出ているのか不思議だったけど、この本でその疑問は氷解。リイド社ってさいとうの会社だったんだ。「無用ノ介」「バロム1」なんてタイトルに懐かしさを感じる方にはおすすめの本です。かなりクセの強い本なので覚悟して読んで。

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年末嫌い。

2010-12-29 | 日記・エッセイ・コラム

Tohkaenimg01 昨日も今日も哀しいことの連続だ。

昨日は御用納め。なんて役人言葉なんだか。

でもわたしとしては、給食がないからうまい店をまわるチャンスの日々でもあるわけで。

さーて病院前の桃花苑で豚肉の細切りラーメンでも……

おや、入口に張り紙が。

「当店は新店舗に移転することになり……」

なにーっ!

まあいいや、引っ越し先はどこなんだ。

「遊佐町舞鶴……」

おいおい遊佐かよっ!

学校に帰って遊佐在住の職員にチェック。

「桃花苑って、遊佐に移ったの?」

「そうなんですよー。S銀行の近くに」

職員室の黒板に地図まで描いてもらう。

ううううう。なんてこった。今の学校にいるアドバンテージの最たるものは「桃花苑が出前してくれる」だったのに。

くわえて今日は「Oh! Happy Morning」における御影倫代最後の日。旦那の転勤でテキサスに行くのね。この番組が大都市圏にネットされていないとは、都会の方々はかわいそうだなあ

ボロ泣きかケロッと終わるかのどっちかと思ったら、チョロ泣きでした。かえってこちらもグッとくる。いつかまた、彼女の声を聴くことがあるだろうか。

「ウチの旦那の仕事?……あたしもよくわかんない」

心配だー。

「年始嫌い」につづく。

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東京都で青少年でいることPART2

2010-12-29 | アニメ・コミック・ゲーム

Matsukoimg01 PART1はこちら

 アニメフェア参加拒否の背景に、実行委員長である都知事のこんな発言が通底していることはまちがいない。

東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。石原知事は3日にPTA団体から性的な漫画の規制強化を陳情された際、「テレビなんかでも同性愛者の連中が出てきて平気でやるでしょ。日本は野放図になり過ぎている」と述べており、その真意を確認する記者の質問に答えた。(毎日)

……一国の首都の代表が、マスコミに対してこんな発言をしても許される国。ほんとうに恥ずかしい。

 彼のホモフォビア(同性愛嫌い)は前から有名だが、自分が公人であるということよりも、みずからの好悪の表現を優先させているわけね。そしてこんな“表現の自由”が許されているすばらしい国でもある。

 こんな石原発言への、もっとも有効なカウンターパンチは、なんとマツコ・デラックスから放たれた。

「狂ってるわよ」

東京都青少年健全育成条例に関するマツコ・デラックスの勇気ある発言。しかもテレビで言っちゃってる(笑)。

この発言単体では誤解されそうだが、彼はゲイに対する反発は仕方のない“反発することが予想されうる”話だと前段で語っている。しかし、公人としての石原慎太郎のゲイバッシングはいかがなものか、というわけ。冷静であるがゆえに有効ですね。

 このあたり、体制への反逆など絶対にしない(だからマスコミにとって便利な)美川憲一あたりとは性根がちがっている。

同様にマツコが鋭いのは

「なぜ、標的がアニメ・マンガなのか」

と問題提起していることだ。

攻撃しやすいところから、つまり世間の同調を集めやすいところから攻めて、あとはじっくり、という誰かさんの戦略。そんなものに易々とのってしまった民主党都連の浅はかさたるや……。

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東京都で青少年でいることPART1

2010-12-28 | アニメ・コミック・ゲーム

Masirito01 東京国際アニメフェア:動画協会「順当な開催望む」と声明

 東京都青少年健全育成条例の改正を巡り、講談社・小学館・集英社など「コミック10社会」が「東京国際アニメフェア」への不参加を表明したことに関連し、アニメ制作会社で組織する日本動画協会(東京)は21日、事務局を務める同フェアの「順当な開催を望む」との声明を発表した。

 声明は条例改正を「遺憾に思う」とする一方で、同フェアは日本のアニメの世界的評価を高めたイベントだとして開催意義を指摘。しかし10社会の不参加などで、現状のままではフェアが「実質的に実行不可能になる」と強い懸念を表した。

 10社会は、同条例改正をめぐる都の姿勢を批判し、石原慎太郎知事が実行委員長を務める同フェアへの参加拒否を発表。石原知事は
「来る連中だけでやる」としている。(毎日)

久しぶりに出版人の気骨を見た思いがする。参加拒否どころではなくて、例えば集英社は……

集英社の鳥嶋和彦専務は13日、都内で開かれた漫画新人賞授賞式で、来年3月の東京国際アニメフェアへの参加を拒否するだけでなく、同社刊行の漫画を原作とするアニメ作品の出展も認めない方針を表明した。過激な性描写のある漫画やアニメを販売規制する東京都青少年健全育成条例改正への抗議の一環。

同社刊行の漫画が原作の「ナルト」「ワンピース」などのアニメは海外でも人気が高い。同専務は新人漫画家らに「ぜひ石原慎太郎(都知事)をぶっ飛ばすような漫画を」と訴えた。茨木政彦同社第3編集部長も「萎縮しないで好きなものを描いてほしい。
面白ければジャンプは全部載せる」と呼び掛けた。

 さすが鳥嶋!さすがDr.マシリト(のモデルなんですよ)。鳥山明の原稿をボツにしまくった根性は健在だ。

性表現の規制は、一見まことにごもっともな意見のように思える。しかし一度そんなものが導入されてしまえば、規制する側の理屈でいかようにも変質してしまう。

「あ、ちょっとやばいなこれ」

と感じるのが有能な編集者というものだし、すぐに行動を起こした出版社の気概はかえる。だいたい、石原慎太郎がアニメを愛しているはずがないことぐらい、誰でも感じていたはずではないか。いくらなんでもなぜこんな人を実行委員長に………でもいいのかなー。コミック部門以外は石原擁護な出版社たちなのに…次号につづく

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「剛爺コーナー」 逢坂剛著 講談社

2010-12-27 | ミステリ

51rryjxccl_3 社内報というのはおよそつまらないもんである。もっと正確に言うとこれほど“面白いことをまったく期待されていない”メディアもめずらしい。

ひとりよがりであることが許されないのだ。なにしろ読者がみんな知り合いであることが前提なんだから。書き手の思い入れ厳禁、なのね。

……ああ事務職員部報とか支部の情宣でかましてきた数々のひとりよがりを思いだし(笑)、だからこそ日本推理作家協会報でここまで逢坂剛がやっていてくれたのかと勝手に共感。

でも、さっきの前提とは矛盾するけど、登場する人物がすべてミステリ作家であることで爆笑でもある。

逼迫する協会の財政を、宮部みゆきが大なたをふるって再建したとか(さすが簿記学校出身!)、北方謙三、大沢在昌、逢坂の三バカトリオが果たした功績は大きいなあとか、ルックスから想像できるように真保裕一はまじめな人なんだなあとか、なんでこの人たちはこんなにソフトボールに拘泥するのであろうとか、面白さ抜群。

やはり、エンタテインメント系作家はどうころんでも(身内をふくめて)読者を楽しませてしまうんだなあ。

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ラジオと二人PART2~拷問タイム

2010-12-26 | 芸能ネタ

Yamasakimasayoshiimg01 PART1「御影倫代」はこちら

 この季節、娘を高校に送るのでウチを出るのは7時45分ごろ。FM山形では、日下純の「ポップンモーニング」をやっている。

 彼がいくらおしゃれな番組づくりにつとめても、7時50分ジャストに流れる「JA共済の歌」に親子で笑わされてしまうのは先日もお伝えしたとおり

 でもJAも考えたみたい。あの曲だけ流していたのでは芸がない、モンテディオ山形の選手に交通安全を訴えさせようと考えた知恵者がいたようだ。

 でもそれも飽きてきた。だって月曜が秋葉、火曜日が清水……そして金曜日が小林監督だっておぼえちゃったし。

 つづいてダイハツやトヨタのCM、ニュースが入ってマクドナルドの時報が入る。秋まではプレミアムアイスコーヒーの

「♪え~ぶりば~でぇ」

バージョンだったが今はさすがにホット。そして「SUZUKI BREAKFAST NEWS」の中西哲生と古賀涼子(柴田幸子の時代は息が合わなくてハラハラさせられたけど、古賀涼子はいいですわ)のかけ合いがはじまる……はずだったのにこの12月から少し変わってしまった。

 山崎まさよしの歌が流れ、変なミニドラマふうのCMが挿入されるようになったのである。
ゆうちょがかました「つながるストーリー」という、このCMがひどいのだ。

ふとした日常の出来事にある

心と心がつながるさまざまなエピソードを通して、

ゆうちょが、大切な人との絆を結ぶ架け橋でありたいという想いを込め、

このCMをお届けします。

……っていうキャッチフレーズなんだけど、たとえば「雪だるま篇」では、朝早く出かける父親が小さな雪だるまをつくって冷蔵庫に入れておいたら、深夜に帰宅すると冷蔵庫には息子がつくった雪だるまが並んでいた、とか、「海辺の踏み切り篇」では、仕事に悩む看護師が、窓から見える景色が看護学校時代と似ていることで勇気をもらう……あ、説明してたらいい話に思えてきた。

 いや、確かにいい話ではある。でも、微妙な訛り方とかがいかにもあざとくて、娘も「うわー拷問ターイム!」と嘆いている。

 声と音でしか表現できないメディアであるラジオこそ、演出力がないとリスナーにそっぽを向かれる典型。ためしに聴いてみて。朝8時ジャスト、Tokyo FMです。

次回は「アヴァンティ」特集。

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「バーレスク」 Burlesque (2010 Sony)

2010-12-25 | 洋画

Burlesqueimg01 “絵に描いたような田舎の安食堂”のウェイトレス。給料もろくに払わない店主に見切りをつけ、ロサンゼルスに旅立つ。芸能界を夢見て。

 まさしく絵に描いたようなバックステージもの。偶然見かけたバーレスク劇場のパフォーマンスに魅せられ、なんとかステージに立つことになった彼女の運命は……

ひねりないなー、とあきれるか、あるいは直球ど真ん中ととるかは観客次第。劇場の借金を返すどんでん返しなど、そうくるかーと苦笑。典型から逸脱しているとすれば、主役の女の子はメジャーとの契約を結ぶこともなく、バーレスクの世界で自足してしまうことと、貧乏な作曲家との生活に安住すること。「スター誕生」にはならないわけ。

 要するに、ストーリーなんかどうでもいいから主役のクリスティーナ・アギレラとシェールのソング&ダンスを楽しめばよろしいかと。

 これが、なかなかなのだ。

字義どおりストリップすれすれのお下品なショーが展開されるんだけど、歌は往年のスターのものが使われるので(「紳士は金髪がお好き」のモンローとか)生歌は御法度でクチパク状態。

でも映画の観客はアギレラが主演しているんだからいつあのボーカルを披露するかを待っている。で、ためてためて中盤で炸裂。あざといくらいうまいですな。セリフ回しがすっかり瀬川瑛子なシェールも、ソロではさすがの熱唱。芸能界のあらゆる毒を呑みこんだ感じが素敵。

 にしてもアギレラ。ここまでやるんならいっそフルヌードの方が簡単だろうと思うぐらいセクシーに決めています。ただ、舞台映えという点では彼女は身長が足りないのが惜しい。胸の大きな木村カエラががんばってる、という印象はぬぐえません(笑)。

 往年のミュージカルとくらべてもの足りないのはおしゃれな会話の不足。渋い、と思わせたのは借金苦に苦しむシェールと、ゲイの舞台監督のかけ合い。

「お願い、わたしに嘘をついて。」

「きみは裁縫がうまい。」

 名曲の数々がありながら「この曲が好きなんだ!」と持ちあげられるのがボストンの「More Than A Feeling」だったギャグも含めて、まずは楽しめる2時間。わずかなおひまとお金がおありなら、どうぞバーレスク劇場へ。

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刑事コロンボを全部観る~Vol.31「5時30分の目撃者」

2010-12-23 | テレビ番組

Loveatfirstbiteimg01 Vol.30「ビデオテープの証言」はこちら

 今回は邦題が圧倒的にうまい。それはなぜかというと……

 犯人は、催眠療法を使う精神科医。演ずるはジョージ・ハミルトン。彼の当たり役はふざけた吸血鬼ストーリー「ドラキュラ都へ行く」。原題はLove At First Bite。ひとめぼれ“Love at first sight”をひねってある。この映画でもそうだったけれど、とにかく女癖の悪そうな役ばっかりやっていたのである。

 私生活でもみごとな女性遍歴を誇るプレイボーイっぽさがこの「5時30分の目撃者」でも炸裂しています。仕立てのいいタイトなスーツを着て患者を誘導する色悪ぶりは、コロンボと好対照。

 その精神科医は、資産家の妻と不倫中。しかし彼女のビーチハウスでは夫が待ちかまえていて……妻の浮気を容認し、ギリギリのところにあらわれて浮気相手を罵倒する資産家。病んでるなあロサンゼルス。

 精神科医は夫を殴殺してしまい、強盗が行った犯行に見せかける。商売柄、犯罪心理にくわしく、急ごしらえの話にしてはよくできている。

 犯行時刻の5時30分ごろに精神科医はビーチハウスをあとにするが、そのときに通行人に出くわしてしまう。だが、盲人であることに気づいた精神科医はそのまま職場に帰る。ここがキーポイント。

 以降、犯人のアリバイ工作や電話を使った遠隔殺人などありつつ、コロンボは執拗に犯人に迫る。捜査現場での会話が笑える。

コロンボ「タイヤの幅がせまい……ヨーロッパのクルマだな」

捜査員「へー」

コロンボ「このなかじゃ、外車はあたしのだけだ」

捜査員「え?外車なんですか?!」

コロンボ「フランスのクルマだよー」

まあ、事実です。

犯罪心理だけでなく、探偵の心理まで知悉している精神科医との丁々発止。だからこそ最後のひっかけは(およそ裁判で使える立証方法ではないが)おみごと。5時30分の目撃者とは、実は……

Vol.32「忘れられたスター」(傑作!)につづく

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「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(2010 東宝)

2010-12-21 | 邦画

Spacebattleshipyamatopimg01  公開してもう一ヶ月もたつんだから色々とばらしてもいいですよね。この作品の成立には、庄内映画村のオーナーであるセディックインターナショナルが主導的立場にいる。だからロケをあそこでやるのでは?という話が出てくるのは理の当然。

「でもキムタクが田舎をいやがったから変更になった」

かはよくわからない。実際に使われたのは岐阜の山奥のダムだったりするのだし。

 さて、本編を鑑賞。ほんとは「最後の忠臣蔵」を見ようと思っていたんだけど、映画館前で元同僚たちと遭遇。

「『ノルウェイの森』と『ヤマト』見てきたのよー」

「で、どうだった?」

「『ノルウェイの森』はむずかしかったー。でもね、ヤマトは最高!」

ほぉ。それでは、と予定を変更。

いやな予感はしていたのだ。予告編での、まるでコスプレかと思うような沖田艦長(山崎努)や、大仰そうな演技陣、なによりわたしはあの原作が嫌いだし……しかしものは考えようだ。「三丁目の夕日」の山崎貴(あきれたことに「ジュブナイル」以降、彼の監督作はぜんぶ見てます)と「K-20」の佐藤嗣麻子夫婦のタッグ作品。くわえて東宝SF映画の最新版。期待しよう。

……いやな予感がすべて的中してしまいました。

それは「宇宙戦艦ヤマト」と違うからではなく、自己憐憫、過剰なヒロイズムなど、あまりにヤマトだったから。

特に、緒形直人や柳葉敏郎の気合いの入りすぎた演技や(結膜炎ですかあんたたちの目は。ブラックタイガー隊の若手たちは演技以前の問題)、ヤマトを操縦するときにいちいち照準がどうしたのと“クチで説明する”あたり、前世紀のSF映画からなにも進歩していない。ヤマトじゃなくて轟天って艦名なのかと思いました。

 こんなアナクロな展開をひっくり返してくれるとすれば、それはキムタクだと思っていた。でも、さすがの木村拓哉でも、いつもの軽口で、ユーモアたっぷりの“違うヤマト”にすることはかなわなかったみたい。

もっとはっきり言うと、キムタクでなかったら我慢できない映画になっていたはず。この作品に、スポイトでたらすように西欧人がひとりでも登場していたら、およそ成立しないストーリーではなかったか。なんであんなに簡単に死にたがるんだみんな。

 もちろん美点もある。黒木メイサとの“ワープ時のセックス”は、「北北西に進路を取れ」のトンネルシーンのいただきっしょ(艦長代理がだいじなときに何やってんだってことはご容赦を)。

ワープの描き方自体がかなりセクシーなので(特にイスカンダルにおけるワープはおみごと)、何度も何度もワープをかます展開はよかったですけどね。ほとんどセックスの明喩でしたよあれは。夫婦で何やってんだー

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