事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「萌の朱雀」(ビターズ・エンド 1997)

2024-09-17 | 邦画

極端にセリフが削られているので、あるいはセリフが錯綜しているので(つまりは現実に近い)、ストーリーはまことにわかりにくい。度重なるトンネルの描写の意味ぐらいは提示したほうがよかったのではないかと思う。

しかし演出のチカラは圧倒的だ。濃密な画面もあいまって、あっという間に時間が経っていく。説明の少なさのせいで、観客は描かれなかった部分でどんなことが行われたのかと考えこむことになる。

主演の國村隼が、まわりじゅうが素人なものだから、彼もアマチュアだと思われたというのが笑える。アマチュアといえば、河瀬直美監督が中学校の昇降口で見つけた少女が尾野真千子だった奇跡を思う。途中で監督も驚愕したのではないか、なんだこの娘はと。天才はこのようにして発掘された。

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「海を破る者」今村翔吾著 文藝春秋

2024-09-17 | 本と雑誌

ここに来て今村翔吾はなおもレベルアップしているかのよう。没落した御家人である河野家が、襲い来る元軍とどう対峙するかの物語。拡大を続ける元が意図するものはなんなのか。あるいは侵略そのものが自己目的化しているのか……

ウクライナ人女性を登場させるなど、リスキーな設定だけれども成功している。海戦の描写はすごい。

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