先日の天竜川での舟転覆事故を受けて今日、安全運行面の指導と確認を
行うために国土交通省近畿運輸局の職員方が保津川遊船企業組合にお越しになりました。
この訪問は事故の重大性を考慮した同運輸局が、河川を使用して
川下りや遊覧船を運航している企業等を対象に、緊急の視察と
指導を実施するもので、私達の保津川下りでは救命胴衣の数や
保管場所、着用説明の状態などの安全面での体制の確認をされました。
今日お越しになったのは同運輸局・海上安全環境部と海事振興部の
職員さん7名で、現場視察の後、組合の理事長はじめ理事4名から
運行中止条件や船士の操船基準など安全運航体制に関する具体的な
説明と聞き取り調査を行い、個々の事例についての意見交換も行いました。
午前10時30分頃の訪問にはテレビ局ははじめマスコミ関係者も
多数随行され、聞き取り調査と意見交換の場はまるで記者会見場さながら
の物々しい雰囲気に包まれました。
その後マスコミ各社は、お客様の乗船する模様や救命胴衣の着用状態
を取材され、中には「あの事故があって舟に乗るのは怖くないですか?」
などとお客様にTVカメラを回し直接インタビューされる局もありました。
まあ「怖い」と思う様な方なら最初からここにはお越しなってないと思うのですが・・・
元取材する側の人間だった私から見ると、もう少し工夫して角度を
変えた質問の仕方をしたらいいのな~などと感じた次第ですが・・・
とりあえず、昨日からマスコミ関係者が連日お越しなり、理事長などの
運営責任者への取材攻勢がもの凄いのです!
あれだけの事故が天竜川であったので仕方はないとは思いますが、
「保津川遊船では一体、どのような安全対策をしているのですか?」
「それで安全が確保できていると思われているのですか!」などと
強い調子で電話をかけてこられような記者もいたりして
なんか?まるで私たちが事故をしたように気分になり勘違してしまいそうです。
また、お客様が舟に乗り込み「さあ、出発しますよ!」という時に、舟の
出航を止め、長い録音用のマイク器を伸ばしながら、座られているお客様
に対して「心配はないですか?今の心境は?救命胴衣は暑くないですか?」
などの質問を矢継ぎ早にされるなど、少し礼儀に反するのでは?と
感じるような取材方法をとられる社もありました。
まあ不安感を煽るというような意図はないにしても、その後の
お客様の意識にはかなり影響したようで、舟の中のテンションも
下がり、折角、楽しく船旅を味わおうとされている気分を
台無しにするような結果になったことは否めないと思います。
舟の運航には安全が第一。これは当たり前のです。
楽しい観光とは安全性が強調されてされ過ぎることななし、
安全確保がなにより大前提です。
そこに厳しいチャックを入れ、認識を徹底していくことは
絶対に必要なことです。
しかしながら、もう少し配慮のある方法をお願いできればな~とも感じました。
さて、国土交通省ではあの事故を受け、救命胴衣の着用を義務化されました。
これまでも救命胴衣については舟に人数分設置しており、着用に関する説明等は
行ってきましたが、このたびの「着用義務化」を受け、私たち保津川下り
でも乗船されるお客様には全員、乗船時に装着していただくことになります。
これまで保津川下りでは救命胴衣の着用を完全義務化はしてきませんでした。
これは400年という長時間をかけて蓄積された川の記録や情報に基づき
確立され、受け継がれてきた我々船頭の操船技術とその習得への厳しい
教育システム、また日々の研さんによる「操船術」への信頼感を前提に、
川舟文化を大事に思ってきたということが一番の理由にあげられると思います。
また、四季折々の日本の自然、山、川、この風情を味わっていただくこと。
鴨川や貴船川の「川床」同様に、昔から蒸し暑く厳しい夏を迎える京都で
庶民が、また京都を訪れた人たちが、川という自然の中に‘涼しさ’を求め、
見つけ出し活かすという、京都ならでは‘涼’への知恵が保津川での川下りも
育て、そして川舟の「風流さ」をかもし出してきた、そんな川舟文化を守りたいと
いう気持ちがあったからだと思います。
そこには「合理性」「機能性」というものが求められる社会とまた異なる
「昔をたずねる」風流さや「自然に溶け込む」風情を生み出してきた
川舟の歴史と文化を大事にして、失いたくないと。
そして保津川を訪れる方たちに提供していきたいという
思いだったのではなかったでしょうか。
少なくとも私はいつもそう思っていました。
しかし、安全性というものは、何ものにも変えることができない
最優先課題であることも事実です。今は「絶対」というものはない時代です。
また、己の技を必要以上に過信してもいけない。
今回の国の決定を甘んじて受けいれたいと思います。
400年前の川舟に、近代的な色彩と形体の救命胴衣はなかなか馴染みませんが、
これも幾度となく訪れた長い歴史の中の変革期なのかもしれません。
川舟の文化と風情が失われていくのは本当に淋しいことです・・・
でも、これまでも様々な時勢のなかを、400年間途絶えることなく
守り続けたきた先人たちの思いを思いとして、これからの頑張って
いく所存です。
みなさまに‘信頼’される川下りを、必ず守っていきますので
これからも保津川下りをよろしくお願いいたします。
行うために国土交通省近畿運輸局の職員方が保津川遊船企業組合にお越しになりました。
この訪問は事故の重大性を考慮した同運輸局が、河川を使用して
川下りや遊覧船を運航している企業等を対象に、緊急の視察と
指導を実施するもので、私達の保津川下りでは救命胴衣の数や
保管場所、着用説明の状態などの安全面での体制の確認をされました。
今日お越しになったのは同運輸局・海上安全環境部と海事振興部の
職員さん7名で、現場視察の後、組合の理事長はじめ理事4名から
運行中止条件や船士の操船基準など安全運航体制に関する具体的な
説明と聞き取り調査を行い、個々の事例についての意見交換も行いました。
午前10時30分頃の訪問にはテレビ局ははじめマスコミ関係者も
多数随行され、聞き取り調査と意見交換の場はまるで記者会見場さながら
の物々しい雰囲気に包まれました。
その後マスコミ各社は、お客様の乗船する模様や救命胴衣の着用状態
を取材され、中には「あの事故があって舟に乗るのは怖くないですか?」
などとお客様にTVカメラを回し直接インタビューされる局もありました。
まあ「怖い」と思う様な方なら最初からここにはお越しなってないと思うのですが・・・
元取材する側の人間だった私から見ると、もう少し工夫して角度を
変えた質問の仕方をしたらいいのな~などと感じた次第ですが・・・
とりあえず、昨日からマスコミ関係者が連日お越しなり、理事長などの
運営責任者への取材攻勢がもの凄いのです!
あれだけの事故が天竜川であったので仕方はないとは思いますが、
「保津川遊船では一体、どのような安全対策をしているのですか?」
「それで安全が確保できていると思われているのですか!」などと
強い調子で電話をかけてこられような記者もいたりして
なんか?まるで私たちが事故をしたように気分になり勘違してしまいそうです。
また、お客様が舟に乗り込み「さあ、出発しますよ!」という時に、舟の
出航を止め、長い録音用のマイク器を伸ばしながら、座られているお客様
に対して「心配はないですか?今の心境は?救命胴衣は暑くないですか?」
などの質問を矢継ぎ早にされるなど、少し礼儀に反するのでは?と
感じるような取材方法をとられる社もありました。
まあ不安感を煽るというような意図はないにしても、その後の
お客様の意識にはかなり影響したようで、舟の中のテンションも
下がり、折角、楽しく船旅を味わおうとされている気分を
台無しにするような結果になったことは否めないと思います。
舟の運航には安全が第一。これは当たり前のです。
楽しい観光とは安全性が強調されてされ過ぎることななし、
安全確保がなにより大前提です。
そこに厳しいチャックを入れ、認識を徹底していくことは
絶対に必要なことです。
しかしながら、もう少し配慮のある方法をお願いできればな~とも感じました。
さて、国土交通省ではあの事故を受け、救命胴衣の着用を義務化されました。
これまでも救命胴衣については舟に人数分設置しており、着用に関する説明等は
行ってきましたが、このたびの「着用義務化」を受け、私たち保津川下り
でも乗船されるお客様には全員、乗船時に装着していただくことになります。
これまで保津川下りでは救命胴衣の着用を完全義務化はしてきませんでした。
これは400年という長時間をかけて蓄積された川の記録や情報に基づき
確立され、受け継がれてきた我々船頭の操船技術とその習得への厳しい
教育システム、また日々の研さんによる「操船術」への信頼感を前提に、
川舟文化を大事に思ってきたということが一番の理由にあげられると思います。
また、四季折々の日本の自然、山、川、この風情を味わっていただくこと。
鴨川や貴船川の「川床」同様に、昔から蒸し暑く厳しい夏を迎える京都で
庶民が、また京都を訪れた人たちが、川という自然の中に‘涼しさ’を求め、
見つけ出し活かすという、京都ならでは‘涼’への知恵が保津川での川下りも
育て、そして川舟の「風流さ」をかもし出してきた、そんな川舟文化を守りたいと
いう気持ちがあったからだと思います。
そこには「合理性」「機能性」というものが求められる社会とまた異なる
「昔をたずねる」風流さや「自然に溶け込む」風情を生み出してきた
川舟の歴史と文化を大事にして、失いたくないと。
そして保津川を訪れる方たちに提供していきたいという
思いだったのではなかったでしょうか。
少なくとも私はいつもそう思っていました。
しかし、安全性というものは、何ものにも変えることができない
最優先課題であることも事実です。今は「絶対」というものはない時代です。
また、己の技を必要以上に過信してもいけない。
今回の国の決定を甘んじて受けいれたいと思います。
400年前の川舟に、近代的な色彩と形体の救命胴衣はなかなか馴染みませんが、
これも幾度となく訪れた長い歴史の中の変革期なのかもしれません。
川舟の文化と風情が失われていくのは本当に淋しいことです・・・
でも、これまでも様々な時勢のなかを、400年間途絶えることなく
守り続けたきた先人たちの思いを思いとして、これからの頑張って
いく所存です。
みなさまに‘信頼’される川下りを、必ず守っていきますので
これからも保津川下りをよろしくお願いいたします。