あけましておめでとうございます。

この小説を読むのは三回目です。二回読む小説も滅多にないのに、三回も読んだ小説はこれが最初です。
理由は、すっと読める。坦坦と読める。寝床で読むとよく眠れます。

もう一つは、すぐに忘れることが出来る(だからまた読む)。
葛飾北斎と娘の葛飾応為の話です。応為については
過去に書いたことがあります。彼女の代表作の「三曲合奏図」はネットですぐに出て来ます。
ためしてガッテンで

猫の記憶は2秒しか続かないと言ってました。山本昌代さんが描く応為はそんな感じ。ただ、その2秒が絵の方に向かうと、パブロフの犬みたいに脳が絵で一杯になる。
ところで、山本昌代さんはどこに行ったのだろう。小説の最後の部分にこうあります。
「もしかするとあれほど心血を注いだ絵を、お栄(応為)は捨てたのかも知れない。自分の腕に自分で見切りをつけて筆を折ったのかも知れない。それともあたらしい仕事を見つけてそっちの方が面白くなって……」
なんか山本昌代さんと重なりますねえ。