創作日記&作品集

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女は存在、男は現象

2016-01-29 09:51:30 | 身辺雑記
朝日新聞の「福岡伸一の動的平衡」が面白い。
生命の不思議をエスプリの効いた文章で綴る。
いつもなるほどと感心する。すぐ忘れるけれど。実に逆説的だがうまい文章ほどすぐに忘れる。
今回はその9回目。哀れ、「男という「現象」2016/01/28」
―生命の基本形は女性である。そもそも38億年にわたる生命進化のうち、最初の30億年は女だけでこと足りた。
男は必要なかった。誰の手も借りず女は女を産めた。その縦糸だけで生命は立派に紡がれてきた。
(中略)遺伝子の運び屋としての。単なる使いっ走りでよいので、女をつくりかえて男にした。
要らないものを取り、ちょいちょいと手を加えた急造品。
たとえば男性の機微な場所にある筋(俗に蟻の門〈と〉渡りなどと呼ばれる)は、その時の縫い跡である。―
ほんまかいなと思うが、学者先生の言葉だ、根拠があるのだろう。
(中略)で続く。
―敬愛する多田富雄はこう言っていた。女は存在、男は現象。―
そんな男を「哀れ」と感じるかどうかは人それぞれだが、ある種の実感があるのも確かだ。
男は、自分の子供に自分を感じることはあっても、自分の存在を感じることはないと思う(多分)。
女は、産んだ子供に自分の存在を感じているのかも知れない。いわば分身なのだ。
そう思えば腑に落ちることも沢山ある。
うろ覚えだが、詩人田村 隆一は「って凄い。人間を産むんだぜ」と言っていたと思う。
確かに男は現象だから、子供を産まない。
俺は現象か……。急に自分が映画の中の人のように思えてきた。