扇風機 2
太郎が扇風機の羽根を拭いている。とても丁寧に。終わると二人できれいな風に当たった。耳を澄ますと、秋の虫の声がする。私は太郎にもたれかかって虫の声を聞いた。「あの虫いつまで生きるんだろう」と太郎が言った。「永遠に生きるよ」と私は言った。一日でも永遠。太郎は黙って私の髪を撫でた。死ぬのなんて怖くない。
太郎が扇風機の羽根を拭いている。とても丁寧に。終わると二人できれいな風に当たった。耳を澄ますと、秋の虫の声がする。私は太郎にもたれかかって虫の声を聞いた。「あの虫いつまで生きるんだろう」と太郎が言った。「永遠に生きるよ」と私は言った。一日でも永遠。太郎は黙って私の髪を撫でた。死ぬのなんて怖くない。
macski