ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.9.2 読書の秋には暑すぎるけれど・・・最近読んだ本 その2

2013-09-02 19:47:51 | 読書
 昨日に引き続き、読書カテゴリーの記事である。
 その2は、里見蘭さんの「さよなら、ベイビー」(新潮文庫)。
 里見さんの本は初めて読んだ。解説で北上次郎さんが「何気なく読み始めたら、あまりの面白さにやめられなくなった。」と書いておられるが、まさにそのとおり。冒頭から引き込まれ、人物相関図を頭の中で描きつつ読み進め、最後にすべてのピースが着地するまで、まさに頁を繰る手が止まらなくなった。

 帯には「引きこもり青年と身元不明の赤ん坊。どうなるこの2人暮らし!? 痛快青春ミステリー、息もつかせぬジェットコースター小説。このラスト、絶対びっくりします! ある日突然赤ん坊が舞い込んだ! この子の親は誰? ミルクの作り方は? おもちゃも効果なし? おむつはどうやって返ればいい? Oh My GOD! 21歳ひきこもり独身オトコを待ち受けるウッソォー!!!の急転直下!」と殆ど「!」だの「!?」やらのオンパレードの紹介に「ん~?」という感じだったが、全てが明らかになるラストは実に胸に染みわたり、気付けば涙を誘われてしまったのだ。

 とにかく最初からいけない。男子高校生が、末期がんで死を目前にした入院中の母の姿を受け入れることが出来ずに、自殺未遂を起こすことから始まる。これはもうわが身と息子に置き換えてしまうではないか。
 そうして主人公の一人息子、まあくんは父と2人暮らしを始めるが、その後高校を中退し、既に引きこもり歴4年の21歳。ある日、見知らぬ赤ちゃんを連れてきた父親が、これまたまさかの突然死。赤ちゃんの母親が海外旅行の間だけ18日間だけ預かるという情報しかない中、いきなり孤軍奮闘で育児をすることになる。この怒涛のような2人暮らしが実にリアルに語られる。
 今は昔、24時間、コンビニ状態のように続く息子のおむつ替えや夜中のミルクの準備等に追われていたことを懐かしくも思い出した。うーん、今じゃとてもじゃないけど体力が続かないな、と思うくらいだから、はて、我が家の息子に毛が生えた程度のまあくんに、果たしてそんなことが出来るのか、と。
 それが、だんだんこの赤ちゃん-タカヤ君-の可愛さに情が移っていく。その過程が、いい。赤ちゃん言葉やその表情の描写がもう可愛くて。
 同時並行で語られる不妊症に悩む夫婦、シングルマザーの女性のエピソードが折り重なっている。子ども-命-を産むこと、育てることの大変さ、重さが語られる。しかも、最後まで母親が誰で、赤ちゃんを預けたことも謎、謎、謎。複雑に絡み合う物語、伏線がいろいろ。実際には是非お読み頂ければ、と思う。
 ラストは必ず、じんわり暖かい気持ちになれること、保証します。

 また、新しい1週間が始まった。夕方は少し風があったけれど、今日も残暑が厳しい1日だった。
 今週もCT検査と口腔外科経過観察のための通院。週末には職場の婦人科検診、と検査ウィークだ。
コメント (6)
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