毎日新聞の記事を読んでいて、これは大変、さぞや疲れるだろうとため息が出た。長文だが、以下、転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
いいね!求め旅するインスタ女子(毎日新聞2017年9月11日 東京夕刊)
スマートフォンを使って写真や動画を投稿する「インスタグラム」に若い女性が夢中になっている。公開した写真が評価されると「いいね!」をもらえ、共感し合えるところが魅力なのだとか。「嫌消費」と言われてきた若者が、こぞって写真映えするレストランや旅先に押し寄せ、経済に与える影響も侮れない。【鈴木梢】
承認欲求満たす中毒性
9月に入り、秋めく宵。気温は20度余りで肌寒いというのに、東京プリンスホテル(東京都港区)で入場を待つ行列の先にあるのはナイトプールだった。この夏一番の「インスタ映え」スポットとして脚光を浴びた。
プールの入場料は、男性より1800円安いとはいえ女性4200円。それでも7月初旬からの集客は2カ月間で約2万人。天候不順だった8月もチケット完売の日が続いた。プールサイドに立つと、東京タワーがそびえる別世界。色鮮やかなLED(発光ダイオード)ボールが水面を照らす。写真に撮ると水辺に光が映る幻想的な世界が広がるが、違和感を禁じ得ない。プールの中でも誰もスマホを手放さず、泳がない。「顔を水に付けず、髪もぬらさない」。それが鉄則だとプール際にいたインスタ女子に教わった。
福井県から来た女性会社員(23)は、ユニコーン形の浮輪に乗ってポーズを決め自撮り。「汗でメークが流れちゃうから、涼しいぐらいがちょうどいい。今夜だけで500枚は撮って、厳選された奇跡の1枚を投稿します。やっぱり『いいね!』をもらえると満たされる。たとえナンパされたとしても、誰も見向きもしませんよ。みんな撮影目当てで、それどころじゃない」
都内に住む20代会社員の2人組は、城やパレード、キャラクターと撮影意欲が高まる「インスタの聖地」、東京ディズニーリゾートに通う。「撮影に夢中で、アトラクションには乗らなかったよね」と振り返った。
コラムニストの辛酸なめ子さんは「テーマパークで笑って写真を撮った後、疲れた表情の女子を見ると、本当に幸せなのかと思ってしまいます。最新の服を買って写真を撮り、投稿後にすぐ売ってしまう人もいるそうです」と語る。
最近は「可愛すぎる」と撮影したアイスを食べず、ゴミ箱行きにしていることが問題視された。投稿したらもう価値がないということなのか。
「キラキラした部分ばかりを投稿しているので、表面的な幸せ感を追い求め、写真自慢合戦をしているかのようです。他人の人生と比べてしまうと妬みなど負の感情を生む副作用もある。それでも『いいね!』をもらう充足感には中毒性があるので、やめられないのかもしれません」。辛酸さんは、インスタ女子が投稿を通して承認欲求を満たすことを「インスタベーション」と呼ぶ。
悪意に触れないオアシス
プールの幻想風景を抜けだし、近くにあるカフェで作家のはあちゅうさんと待ち合わせた。インターネットのブログで注目を浴びたはあちゅうさんは現在、インスタのフォロワーが3万3500人いる。「誰かとつながりたい、認められたいという欲求はいつの時代もありますが、今はそれを数値化できるのが面白い。インスタは女性誌の世界と同じ。憧れのライフスタイルを垣間見て、同じ場所に行ってみたい、着こなしをまねしたいと思う。美しいものだけをめでる世界観がみんなにとって居心地がいい」
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の中でも、文章が中心のフェイスブックやツイッターに対し、インスタは画像での情報交換が中心。「ツイッターを例えるなら週刊誌で、下世話な話に『いいね!』が付きやすく、炎上しやすく怖い面もある。ツイッターで自撮りすると『自分大好き』と中傷の的になるけど、インスタでは『いいね!』と褒められる。だから、悪意に触れなくて済むオアシスなのでしょうね」
だが、SNS疲れの先に行き着いた「楽園」も揺さぶられ始めている。インスタ映えを求めて群がる様子を「インスタ蠅(ばえ)」と皮肉る言葉がささやかれ始めた。「『いいね!稼ぎ』と言われても憧れの自分に近づこうとしている女子、私は好きです。自分の人生に『いいね!』を増やしたいと思うの、ダサいですか? 私、幸せになりたいし、人から幸せと見られたいですよ。幸福度を高めるためのインスタって、間違いじゃない」。はあちゅうさんはプールで戯れている女子の気持ちも代弁する。「すてきな写真が撮りたくてダイエットを頑張った子もいるだろうし、かけがえのない思い出も作れた。ホテルも水着業界も潤って、みんなハッピーじゃないですか!」
「若者が発信」市場を動かす
世界で利用者7億人を突破したというインスタ。総務省によると、日本でも20代の約半分、10代と30代の約3人に1人が利用している。インスタを見て買い物や旅先を決める若者も多く、企業にとっては広告に活用しない手はない。
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは「若年層の市場を動かす力があり、大手企業は既にインスタを活用したPR戦略に取り組んでいます。感度の高い若者が自ら行動して商品の写真を載せ、まねしてみたいという人に広がる。企業から発信する従来の手法から転換したと言えます」と話す。
多くのフォロワーを持つ「インスタグラマー」と契約してビジネスを展開する「スナップマート」は、企業から依頼を受けて商品の広告写真を撮影する。ロボット掃除機「ルンバ」も広告商品の一つだ。
契約するインスタグラマーは主婦や会社員も多い。その一人、3万人のフォロワーを持つインスタ名「sherry_1113」さんは、企業の依頼でセレブ御用達のアクセサリーや時計だけでなく、アイドルも撮影してきた。サービス会社に勤め、カメラは副業。日常の風景の中で商品を生かす撮影手法は、プロの広告写真とはひと味違う。
「インスタグラマーは飛び抜けて美人だったり、カリスマ性が高い人だったりではなく、見た人にまねできそうと思われ、ちょっと先を行く人がちょうどいい。インスタの女王と言われる芸人の渡辺直美さん(フォロワー710万人)や、モデルのローラさん(同460万人)である必要はなく、フォロワーが1万~3万人ほどの親和性の高い女子の写真は購買に結びつきやすいんです」
そう語るのは、スナップマートの江藤美帆社長。だが、「画像ファースト」の風潮で、健全な商業活動が成り立つのか。「見た目アピールが上手なところが生き残っていると思われがちですが、見栄えのいいものが本当に売れているとは限らない。中身が伴わないものは、悪い口コミもすぐに広がるものです」
インスタはどこへ向かうのか。江藤さんは答える。「磨き抜かれた世界で、投稿する側も背伸びしているから、みんなつらくなってきています。先を行くアメリカではすでにリア充(リアルな生活が充実している人)をアピールするのは格好悪いという風潮になっていて、セレブもあえて日常を飾らなくなってきた。そろそろ日本にもその流れが来る頃でしょう」
美を極める女子の園と化したインスタも、等身大になれば違う景色が広がるかもしれない。
<担当記者から(鈴木梢)>
写真や動画を投稿するアプリ「インスタグラム」の撮影スポットに女性たちが群がっている。投稿を見た人から「いいね!」をもらえるレストランや商業施設、旅先は大盛況。経済をも動かす女子の世界に潜入してみると、自分を肯定されたいという封じ難い欲求が渦巻いていた。
(転載終了)※ ※ ※
インスタグラムはやっていないし、やるつもりもない。それどころかツイッターもフェイスブックもやっていないし、やるつもりもない。かろうじてやっているのはLINEとこのブログだけ。そんな50代後半の私が、若い人たちの流行にどうのこうの口を挟むことでもないけれど、息子も含めSNS疲れしている若者を見ると、さぞや生き辛く大変だろうな、と思う。
このブログでも例えば旅の画像なりをアップしようと思えば出来るけれど、それはしない、と決めている。1枚でも載せ始めると、今以上に管理するのが大変になるだろうし、映える写真を撮るために時間が取られることが目に見えているからだ。
なので、ひたすら文章だけ、の地味かつ読みにくいブログをほぼ自分の記録のためにチマチマと書き続けている。
とはいえ、ご他聞にもれずスマホで食事等の写真を撮影することはある。今や老若男女が、レストランで食事をする前にスマホを構えて、角度を変えたり調整している姿は決して珍しいものではなくなった。
SNSでその画像をアップする予定の人は何よりその使い道があるにせよ、はて、私は一体何のために撮っているのだろう・・・そう思ったら、最近それもしなくなってきた。まあひたすら記録のために過ぎないから、意味があるとしたら一人でもちゃんとご飯食べてるよ、と夫に連絡する時、くらいだろうか。しようもない写真がスマホの容量を食っていくのもなんだかなあと思うようになってきた。
かつてはレストランで写真をパチパチ撮るなんていうのはあまり格好のいいものではなかったし、店側もいい顔はしなかったように思う。けれど、今やそれがどんなPRよりも大きな威力を持つとしたら、痛し痒しで黙認するしかないのだろう。
それにしても、人にとって承認欲たるものはそれほど強いものなのだと改めて思う。誰かに「いいね」と言ってもらいたい。そんなに自信がないということか。そうしてもらわないと自己肯定感を高められないということか。
もちろんちょっと背中を押してほしい、誉めてほしい、もろもろあるだろう。でも全くどこの誰かもわからない人、何百人何千人に誉めてもらって(いいねと言ってもらって)それがどうなのだろう、とも思う。分かって欲しい人、自分にとって大切な人に認めてもらえればそれで充分ではないかとも。妬み嫉みの対象になることだって考えられるではないか。
だから凌ぎを削って-上の記事にあるように、「行動は全て奇跡の1枚を撮るためにありき」で、プール遊びやテーマパークのアトラクションなど本来の楽しみはそれに及ばない付随するものとして扱う-、いかに自分が充実しているか(写真映えする生活を送っているか)をことさら全世界にアピールしなくても、とも思う。でもそう言ってしまえば、このブログについてもそう感じる人がいるのかもしれない。
もちろん市場経済から見れば若い人たちが消費に走ってくれることは有難いことなのだろう。それでもやはり、お疲れ様、そういう時代に若者でいなくて良かったかも・・・と思ってしまう私は、もはや時代遅れの存在なのだろう。
久しぶりに届いた今月初めての切り花は、濃いピンクと白のミックスカーネーションと淡いスプレーカーネーションが3本ずつ、濃淡の赤紫のセンチュリーケイトウが2本とミスカンサスの葉。花言葉はそれぞれ「女の愛」、「素朴」、「甘い夢」だという。
ガラスの花瓶に投げ入れたら、我が家にも小さな秋がやってきた。
※ ※ ※(転載開始)
いいね!求め旅するインスタ女子(毎日新聞2017年9月11日 東京夕刊)
スマートフォンを使って写真や動画を投稿する「インスタグラム」に若い女性が夢中になっている。公開した写真が評価されると「いいね!」をもらえ、共感し合えるところが魅力なのだとか。「嫌消費」と言われてきた若者が、こぞって写真映えするレストランや旅先に押し寄せ、経済に与える影響も侮れない。【鈴木梢】
承認欲求満たす中毒性
9月に入り、秋めく宵。気温は20度余りで肌寒いというのに、東京プリンスホテル(東京都港区)で入場を待つ行列の先にあるのはナイトプールだった。この夏一番の「インスタ映え」スポットとして脚光を浴びた。
プールの入場料は、男性より1800円安いとはいえ女性4200円。それでも7月初旬からの集客は2カ月間で約2万人。天候不順だった8月もチケット完売の日が続いた。プールサイドに立つと、東京タワーがそびえる別世界。色鮮やかなLED(発光ダイオード)ボールが水面を照らす。写真に撮ると水辺に光が映る幻想的な世界が広がるが、違和感を禁じ得ない。プールの中でも誰もスマホを手放さず、泳がない。「顔を水に付けず、髪もぬらさない」。それが鉄則だとプール際にいたインスタ女子に教わった。
福井県から来た女性会社員(23)は、ユニコーン形の浮輪に乗ってポーズを決め自撮り。「汗でメークが流れちゃうから、涼しいぐらいがちょうどいい。今夜だけで500枚は撮って、厳選された奇跡の1枚を投稿します。やっぱり『いいね!』をもらえると満たされる。たとえナンパされたとしても、誰も見向きもしませんよ。みんな撮影目当てで、それどころじゃない」
都内に住む20代会社員の2人組は、城やパレード、キャラクターと撮影意欲が高まる「インスタの聖地」、東京ディズニーリゾートに通う。「撮影に夢中で、アトラクションには乗らなかったよね」と振り返った。
コラムニストの辛酸なめ子さんは「テーマパークで笑って写真を撮った後、疲れた表情の女子を見ると、本当に幸せなのかと思ってしまいます。最新の服を買って写真を撮り、投稿後にすぐ売ってしまう人もいるそうです」と語る。
最近は「可愛すぎる」と撮影したアイスを食べず、ゴミ箱行きにしていることが問題視された。投稿したらもう価値がないということなのか。
「キラキラした部分ばかりを投稿しているので、表面的な幸せ感を追い求め、写真自慢合戦をしているかのようです。他人の人生と比べてしまうと妬みなど負の感情を生む副作用もある。それでも『いいね!』をもらう充足感には中毒性があるので、やめられないのかもしれません」。辛酸さんは、インスタ女子が投稿を通して承認欲求を満たすことを「インスタベーション」と呼ぶ。
悪意に触れないオアシス
プールの幻想風景を抜けだし、近くにあるカフェで作家のはあちゅうさんと待ち合わせた。インターネットのブログで注目を浴びたはあちゅうさんは現在、インスタのフォロワーが3万3500人いる。「誰かとつながりたい、認められたいという欲求はいつの時代もありますが、今はそれを数値化できるのが面白い。インスタは女性誌の世界と同じ。憧れのライフスタイルを垣間見て、同じ場所に行ってみたい、着こなしをまねしたいと思う。美しいものだけをめでる世界観がみんなにとって居心地がいい」
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の中でも、文章が中心のフェイスブックやツイッターに対し、インスタは画像での情報交換が中心。「ツイッターを例えるなら週刊誌で、下世話な話に『いいね!』が付きやすく、炎上しやすく怖い面もある。ツイッターで自撮りすると『自分大好き』と中傷の的になるけど、インスタでは『いいね!』と褒められる。だから、悪意に触れなくて済むオアシスなのでしょうね」
だが、SNS疲れの先に行き着いた「楽園」も揺さぶられ始めている。インスタ映えを求めて群がる様子を「インスタ蠅(ばえ)」と皮肉る言葉がささやかれ始めた。「『いいね!稼ぎ』と言われても憧れの自分に近づこうとしている女子、私は好きです。自分の人生に『いいね!』を増やしたいと思うの、ダサいですか? 私、幸せになりたいし、人から幸せと見られたいですよ。幸福度を高めるためのインスタって、間違いじゃない」。はあちゅうさんはプールで戯れている女子の気持ちも代弁する。「すてきな写真が撮りたくてダイエットを頑張った子もいるだろうし、かけがえのない思い出も作れた。ホテルも水着業界も潤って、みんなハッピーじゃないですか!」
「若者が発信」市場を動かす
世界で利用者7億人を突破したというインスタ。総務省によると、日本でも20代の約半分、10代と30代の約3人に1人が利用している。インスタを見て買い物や旅先を決める若者も多く、企業にとっては広告に活用しない手はない。
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは「若年層の市場を動かす力があり、大手企業は既にインスタを活用したPR戦略に取り組んでいます。感度の高い若者が自ら行動して商品の写真を載せ、まねしてみたいという人に広がる。企業から発信する従来の手法から転換したと言えます」と話す。
多くのフォロワーを持つ「インスタグラマー」と契約してビジネスを展開する「スナップマート」は、企業から依頼を受けて商品の広告写真を撮影する。ロボット掃除機「ルンバ」も広告商品の一つだ。
契約するインスタグラマーは主婦や会社員も多い。その一人、3万人のフォロワーを持つインスタ名「sherry_1113」さんは、企業の依頼でセレブ御用達のアクセサリーや時計だけでなく、アイドルも撮影してきた。サービス会社に勤め、カメラは副業。日常の風景の中で商品を生かす撮影手法は、プロの広告写真とはひと味違う。
「インスタグラマーは飛び抜けて美人だったり、カリスマ性が高い人だったりではなく、見た人にまねできそうと思われ、ちょっと先を行く人がちょうどいい。インスタの女王と言われる芸人の渡辺直美さん(フォロワー710万人)や、モデルのローラさん(同460万人)である必要はなく、フォロワーが1万~3万人ほどの親和性の高い女子の写真は購買に結びつきやすいんです」
そう語るのは、スナップマートの江藤美帆社長。だが、「画像ファースト」の風潮で、健全な商業活動が成り立つのか。「見た目アピールが上手なところが生き残っていると思われがちですが、見栄えのいいものが本当に売れているとは限らない。中身が伴わないものは、悪い口コミもすぐに広がるものです」
インスタはどこへ向かうのか。江藤さんは答える。「磨き抜かれた世界で、投稿する側も背伸びしているから、みんなつらくなってきています。先を行くアメリカではすでにリア充(リアルな生活が充実している人)をアピールするのは格好悪いという風潮になっていて、セレブもあえて日常を飾らなくなってきた。そろそろ日本にもその流れが来る頃でしょう」
美を極める女子の園と化したインスタも、等身大になれば違う景色が広がるかもしれない。
<担当記者から(鈴木梢)>
写真や動画を投稿するアプリ「インスタグラム」の撮影スポットに女性たちが群がっている。投稿を見た人から「いいね!」をもらえるレストランや商業施設、旅先は大盛況。経済をも動かす女子の世界に潜入してみると、自分を肯定されたいという封じ難い欲求が渦巻いていた。
(転載終了)※ ※ ※
インスタグラムはやっていないし、やるつもりもない。それどころかツイッターもフェイスブックもやっていないし、やるつもりもない。かろうじてやっているのはLINEとこのブログだけ。そんな50代後半の私が、若い人たちの流行にどうのこうの口を挟むことでもないけれど、息子も含めSNS疲れしている若者を見ると、さぞや生き辛く大変だろうな、と思う。
このブログでも例えば旅の画像なりをアップしようと思えば出来るけれど、それはしない、と決めている。1枚でも載せ始めると、今以上に管理するのが大変になるだろうし、映える写真を撮るために時間が取られることが目に見えているからだ。
なので、ひたすら文章だけ、の地味かつ読みにくいブログをほぼ自分の記録のためにチマチマと書き続けている。
とはいえ、ご他聞にもれずスマホで食事等の写真を撮影することはある。今や老若男女が、レストランで食事をする前にスマホを構えて、角度を変えたり調整している姿は決して珍しいものではなくなった。
SNSでその画像をアップする予定の人は何よりその使い道があるにせよ、はて、私は一体何のために撮っているのだろう・・・そう思ったら、最近それもしなくなってきた。まあひたすら記録のために過ぎないから、意味があるとしたら一人でもちゃんとご飯食べてるよ、と夫に連絡する時、くらいだろうか。しようもない写真がスマホの容量を食っていくのもなんだかなあと思うようになってきた。
かつてはレストランで写真をパチパチ撮るなんていうのはあまり格好のいいものではなかったし、店側もいい顔はしなかったように思う。けれど、今やそれがどんなPRよりも大きな威力を持つとしたら、痛し痒しで黙認するしかないのだろう。
それにしても、人にとって承認欲たるものはそれほど強いものなのだと改めて思う。誰かに「いいね」と言ってもらいたい。そんなに自信がないということか。そうしてもらわないと自己肯定感を高められないということか。
もちろんちょっと背中を押してほしい、誉めてほしい、もろもろあるだろう。でも全くどこの誰かもわからない人、何百人何千人に誉めてもらって(いいねと言ってもらって)それがどうなのだろう、とも思う。分かって欲しい人、自分にとって大切な人に認めてもらえればそれで充分ではないかとも。妬み嫉みの対象になることだって考えられるではないか。
だから凌ぎを削って-上の記事にあるように、「行動は全て奇跡の1枚を撮るためにありき」で、プール遊びやテーマパークのアトラクションなど本来の楽しみはそれに及ばない付随するものとして扱う-、いかに自分が充実しているか(写真映えする生活を送っているか)をことさら全世界にアピールしなくても、とも思う。でもそう言ってしまえば、このブログについてもそう感じる人がいるのかもしれない。
もちろん市場経済から見れば若い人たちが消費に走ってくれることは有難いことなのだろう。それでもやはり、お疲れ様、そういう時代に若者でいなくて良かったかも・・・と思ってしまう私は、もはや時代遅れの存在なのだろう。
久しぶりに届いた今月初めての切り花は、濃いピンクと白のミックスカーネーションと淡いスプレーカーネーションが3本ずつ、濃淡の赤紫のセンチュリーケイトウが2本とミスカンサスの葉。花言葉はそれぞれ「女の愛」、「素朴」、「甘い夢」だという。
ガラスの花瓶に投げ入れたら、我が家にも小さな秋がやってきた。