昨日は在宅勤務日だった。小児用ロペミンのおかげでお腹が静かだったのは1日だけ。回数は少なかったけれど、また食事をすると下痢、に戻ってしまった。結局、夕方新聞を取りに行くまでは一歩も外に出ずじまい。
夫が帰宅して、用意した手抜きの夕食をぱぱっと済ませる。出かけるのが億劫にならないうちに、前泊のため病院最寄り駅に向かった。明日はまた夏日になるという予報なので、コートは着込まず日傘を持った。
行きの車内は前回よりはやや人が多い感じ。それでも座席一人置きの距離は保たれている。
車内で朝井リョウさんの「風と共にゆとりぬ」(文春文庫)を読み始めた。帯には「めちゃくちゃ面白い!ほんとうはこういう文章が書きたいなと思う」という虫眼鏡さん絶賛!!とある。虫眼鏡さんは存じ上げないが「読んで得るもの特にナシ!」という惹句に引かれた。500枚超の楽しいことだけ詰まった大ボリュームエッセイ集である。「第1部 日常」を途中まで読み、続きはぐっと堪えて明日までとっておくことに。
本を読んでいると瞬く間に病院最寄り駅に到着する。やはり閑散としている。駅構内の売店には「5月7日をもって閉店しました」という貼り紙も出ていた。緊急事態宣言が延長されて、閉店を決めたのだろう。
宿泊は久しぶりに泊まるホテルだ。チェックインカウンターにはビニール幕が垂れて、アメニティの受領もセルフサービスになっている。こちらでもメディカルチェックアンケートがあった。
テレビをつけると、急に重症化する新型コロナウィルス感染症の怖さの話題。感染者数は減っているが、入院者数は殆ど減っていない。入院が長引いているのだ。
早めにゆっくり入浴し、蒸し暑かったので空調を除湿にしたらあっという間に眠りについた。夜中一度目覚めたが、またすんなり寝直してモーニングコールまで目覚めなかった。夫は早起きで「もう朝食済んだよ」とLINEが来ていた。とりあえず今朝は下痢ではない。ほっとする。
足湯を終え、身支度を整え、レストランに降りる。いつもはビュッフェ形式だが、今日は既に配膳されて飲み物だけセルフサービス。2人ほど食事中でいらしたけれど、本当に空いている。控えめに食事を終えて、朝刊を頂いて部屋に戻り、新聞にざっと目を通し、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウトした。食事をしたらやはりお腹が緩くなった。
外は朝から日差しが強い。かなり気温が高い。日傘がないと辛い感じだ。そしてマスクが鬱陶しく暑いし、息苦しい。病院への道は若干坂道なので、息が荒くなり、ふうふう言う。
IDカードを通す列にちょっと並んで、採血へ。番号を取るといつもより20番くらい多い。20人弱の待ち人数で14分待ちと出ている。混んでいるのである。そうだった。連休明けの翌週だ。長丁場を覚悟する。
お手洗いを済ませ(朝から3度目で下痢になった。)待合い椅子に戻ると、ほどなくして採血室内に入れた。こちらも全てビニールの幕が垂れている。採血は女性で初めての方。咳エチケットのバッジが名札に被っていてお名前が見えなかった。今日はフル検査で5本。ちょっと痛んだが、すんなり終了した。
向かいの腫瘍内科へ向かう。受付はすんなり。今月初めてなので、保険証チェックも。そして問診票の追加があった。これも新型コロナウィルス関連で、せきや息切れの項目があり、「なし」には〇がつけられず、若干と但し書きをして「あり」に〇をした。待合い椅子は間を置いて座っているが段々混んでくる。中待合いの密を避けているので、外待合いが密になるのは仕方ないことだ。昨日の本の続きを読みながら、小一時間して切りの良いところで血圧測定。115-73、脈拍は89。
朝井さんのエッセイを読むのは初めてか。ゆとり世代の日々を描くエッセイシリーズの続編のようだ。それにしても巧い。お腹が快調すぎる体質であるらしい。常にお手洗いの心配をするのは今の私と同じで苦笑する。ひたすら楽しいだけの読書体験、いいなあ、と思う。何かを得ようとか、ためになる部分を見つけようとか確かに読書の醍醐味は色々あるけれど、何も考えずに楽しい!これは大切なこと。そんな中に鋭い視点があり、物語に救われた経験を持つくだりや、物を書く人としての矜持を見つけ、息子世代の喋り言葉に笑わされながら、いつの間にか沢山励まされている。
受付から1時間ちょっと待ったところで「中待合いへどうぞ」の番号が掲示板に出た。大荷物を抱えて移動。15分ほどして先生がお顔を出され、診察室へ。「おはようございます」とご挨拶をして、大荷物をカゴに入れながら席に着く。
席に着き、今回の下痢と腹痛により夜中に転倒して前歯を折った顛末を報告する。「痛みはどうですか?」と訊かれ、「相変わらずです。足裏の痛み、痺れもあり・・・」とお答え。先生が問診票のせき、息切れの○を見て「まあ、これはいつもですものね。」と仰り、「でも一応」とパルスオキシメーターを出され、測定。SpO2は95%。低めといえば低めである。「自宅用にネットで注文したのですが、予定日が大分過ぎているのに到着していません。」と言うと「どこも品切れなんですよね~今は」と仰る。それにしてもマスクが息苦しい。夏が思いやられる。検温すると7度丁度。気温も高いが体温も高め。
採血の結果、「マーカーはまた上がっていますね。」とのこと。「ただ対数表示にするとそれほど急激ではないので、次回CT撮影してからまた考えましょう。(新薬)エンハーツについてはまだ何の情報も来ていないんですよ。製薬会社の人達も皆在宅勤務になっていて病院に来ないので情報が入らない。コロナで忙しいのでしょう。まあ部門は違うと思いますが・・・」とのこと。6月から使える、というアテが外れた感じである。しょんぼり。「治療の延期を余儀なくされている方もおられるようですから、こうして予定通り治療が出来て有難いです。」と言うと、先生が仰るには「心臓等急ぎではない手術の方たちは延期にしても、がん患者さんは先延ばしにしないので、がん研病院で感染者が出たのは大変だったでしょうね。」とのこと。
というわけで2週間後にCT撮影の後、次回3週間後にはその結果を聞くことになる。6月は2回治療日があるので、初回は採血なしとのこと。
薬は前回多めに頂けたので、今回は全てぴったり21日分。「ローションはまだ大丈夫です。」とご挨拶をして席を立った。
化学療法室へ入ると、既に待合い椅子がかなり混雑して密の状態である。前回のLINEに繋がるシステムを知らない方もいたようで、順番が入り乱れている。ひとまず受付をしたら2人目だった。とにかく混んでいて、看護師さんたちがひっきりなしに行き来している。私の前の番号の方まではベッドに案内されていた。
15分ほどするとKrさんから「今満杯で一つご案内出来るのが古い椅子一つ(座るタイプでリクライニングの角度があまりなく、長時間座ると腰が痛くなる。足が上げられないので、浮腫んで辛い。)なのですが、どうしますか?」と訊かれる。「腰と足が辛いので・・・」と言うと、「では(新しい椅子が空くのが)30分後になりますね。」とのこと。私の次の年配の方が「それでもいいです。」と古い椅子に入られた。夫やお友達に報告LINEしながら待つ。その次の方たちは「空くのが2時間後なのでどこかで潰してきてからいらしてください。」と言われていた。大変である。
時間通りに窓側の椅子に案内される。荷物を整理し、お手洗いを済ませると、5分ほどしてヘルプのSさんが針刺しに見える。ちょっと痛み、今日もまたしかめっ面。その後10分ほどでKdさんから薬が届いた。
2剤併用の治療も21クール目になった。点滴棒には2本の250mlの薬液パックと50mlの生理食塩水の小さなパック、シリンジ。パージェタでスタート、ハーセプチンを挟み、最後に生理食塩水というパターンも1年2か月となりすっかり馴染んだ。点滴が始まって15分のチェックでKwさんが顔を出された。化学療法室の19席に対して、40人以上の予約が入っているので、2回転でも足りないという。こういう1日は体重が減るそうだ。もともと細いので大変だと思う。院内には看護の日のポスターが貼ってあった。そう、昨日5月12日は看護の日だった。白衣の天使、ナイチンゲールの皆さんのお陰で、私たち患者は生かされているのだなあと改めて頭を垂れる。
本日の2冊目は朱川湊人さんの「幸せのプチ」(文春文庫)。朱川さんは63年生まれの同年代。いつか「かたみ歌」を読み、とても良かった、とこのブログでも書いた記憶がある。帯には「キミはもしかして、大切な人を亡くした経験があるのかい?コロッケサンド、赤い公衆電話、白い犬。70&80年代の景色―涙腺決壊の物語、地味で騒がしく、あたたかい。その町の名は、琥珀」とある。表題作を含め5編が収められているが、舞台は同じ町なので、どの作品も年代は違えど、少しずつ繋がっている連作集だ。幸せな同棲カップルに降りかかった悲劇―冒頭の「追憶のカスタネット通り」からいきなり「やられて」しまった。
最後の生理食塩水になったところで、Kdさんが血圧測定にみえる。終了時の血圧は127-83、脈拍は70。抜針はSさん。結構な衝撃があってまたしてもしかめっ面。化学療法室に滞在した時間は4時間弱。
大荷物を携えて、会計へ移動。こちらも椅子がかなり密の状態だ。番号札を頂くのに若干並ぶ。待合い椅子の場所を確保してから処方箋を薬局に送るテーブルまで移動。今日は問題なく送ることが出来てほっとする。
思ったより早く番号が出て、自動支払機へ。前回はトラブって窓口を往復したが、今日は問題なく支払いが出来た。お支払いはカードで10万弱。
病院を出ると、太陽燦燦で暑い。空腹でもあるのでクラクラする。病院前の公園はピンクの薔薇が満開。季節外れの高温にちょっと項垂れている感じ。
「病院から処方箋を送りました。」と言って番号札を頂く。2、3人が待っている。テレビでは28歳の力士が新型コロナウィルス感染による多臓器不全で亡くなったというニュースが流れていた。今まで亡くなった方で最年少だそうだ。
今日は30分しないで呼んで頂けた。「体調はどうですか。」と問われ、副作用の下痢が結構酷く、今回は貧血で倒れて前歯を折ったことまでペラペラ話してしまった。タリージェの眠気についても訊かれたので、夕食後は殆ど寝落ちしてしまうが、思ったほど痛みや痺れの改善がないし、漢方やビタミン剤を飲んでいてもあまり変わらないと応えると、「(タリージェは)痛みを取るか、眠気を我慢するか・・・ですね、もう少し続けていきましょう。他の漢方やビタミン剤も長く飲んで心配なものではないので・・・」と言われてしまった。はい、頑張ります。
3,000円ちょっとをカード支払い。大きな袋一杯の大量の薬を受け取る。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で6時間を優に超えた。
帰路、前回は閉まっていたレストランがぽつりぽつりと営業を始めているように見受けられた。結局、今日もタイ料理・インド料理のレストランへ滑り込んだ。ランチタイムを若干過ぎていたけれど入れてもらえて貸し切り状態。お腹に優しい米粉の麺を頂いた。
食後、お腹が動き出してレストランでお手洗いへ。とりあえず下痢ではなかったので、安心してお店を出て歩き出したら急に腹痛。駅まで頑張って歩いて(マスクをして日傘を差して大荷物で、普段から小走りが限界で走れない。)はみたが、駅ビルが閉まっていて普段入れる筈のお手洗いがクローズ。脂汗をたらしつつまたお手洗いを探して、大変だった。またしても下痢である。ああ。
帰りは各駅停車に乗って、ドキドキしながらなんとか乗換駅まで辿り着いた。本当にこのお腹、困ったものである。
最寄り駅まで到着したが、タクシーに乗ってまた腹痛になったら怖かったので、お手洗いにすぐ入れる道を通りつつ帰宅した。
生協からは今回も冷凍品や肉、魚、果物類等欠品のメールが来ていたが、注文した数も多かったのでそれなりに玄関前に積み上げられていた。ふうふう言いながら取り込んで、冷蔵庫等に収納を終えたら、ぐったりした。
母からの留守電が入っていた。「今日は一歩も出なかった。ちょっと庭で草取りをした。暑かったけれど、私は大丈夫だから」という報告。もろもろ片付けてから折り返して、やっと一服座ろうと思ったところで夫がライナーで帰宅した。
ランチを終えたのが夕方近かったし、下痢もしているし、夕飯はあんまり・・・と言いながらリビングでウトウトしてしまう。夫は一人で夕飯を済ませ、スープやらサラダをちょっぴり残して置いてくれたので、遅くなってから一人で頂く。
明日は3日ぶりの出勤だ。これまでは東京横断していた会議がweb会議になり、移動しなくてよくなってからもう3回目になる。2日空けてしまったので色々溜まっているだろうけれど、お腹の不安を抱えながら往復5時間から解放されたのは本当に有難いことである。