散日拾遺

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「自己表現ではなくて」

2016-07-04 08:31:40 | 日記

2016年7月4日(月)

 朝ドラの終わりがけ、9年ぶりに再会した学友は夫を戦争で失い、遺児を連れて現れた。演じる女優 ~ 阿部純子 ~ のことが土曜日の朝刊に出ている。俳優としての成長を期し、渡米して勉強したらしいのだが、そこで「芝居は自己表現ではなく、作品を通じて何を伝えられるかだと知った」ことが紹介されている。

 大事なヒントではないかと思う。よく知っていたつもりで、いつのまにか忘れていた。自己表現・自己実現にこだわるから大きな図柄を見失い、かえって自分自身までも見失うのである。役者の役割は何か。「役割」という言葉そのものが、思いがけぬ深さに達している。僕らがそれぞれ人生という芝居の役者であるとすれば、これは急所に違いない。

 

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