散日拾遺

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投票所の思い出

2016-07-10 07:45:40 | 日記

2016年7月10日(日)

 1980年の一月頃かと思う。医学部受験準備中の僕は満22歳で、もちろん立派な有権者である。国政選挙当日が模擬試験(ひょっとしたら共通一次試験当日?)にあたり、朝一番に投票してくることにした。いつも会場になるすぐ近くの区立中学校に寒い中を出かけていくと、「おはようございます!」と待っていたとばかりに声をかけられた。投票箱の前に僕より早く来た高齢の男性が一人、「これで揃った」とニコニコしておられる。

 何事かと思ったら、選挙管理委員が投票箱を開けて中を示した。

 「御確認いただけましたか?」「はい」「確かに」

 そこで蓋を閉めて施錠し、投票が始まった。投票開始時に箱の中が空であることを、二人の投票者の立ち会い下に確認するというわけで、なるほど、これは必要な段取りだ。早起きのおかげで珍しい体験をしたが、先から来ていた男性は「これで今回もお務めが果たせました」と笑顔で帰っていく。毎回、これを自分の役割としておられるらしい。

 あれから30年余、今も同じやり方だろうか。高3の三男は昨日が模擬試験、くたくたになって帰ってきて、それでも真剣な眼差しで選挙公報を睨んでいた。栄えある未成年有権者として本日初投票、会場は彼が卒業した区立中学校である。全国240万人の若い人々、どうぞよろしく!

 僕は投票を午後に回し、まずは幼稚科で「過ぎ越し」の話をする。羊を屠ってその血を鴨居と入り口の二本の柱に・・・どう話したもんじゃろうのう、姦淫と並んで悩ましいテーマである。空は晴れ、朝から暑くなりそうだ。

 Ω