2024年6月12日(水)
> 1901年6月12日、フランスの物理学者アンリ・ベクレルが自然放射能の性質について発表した。
1895年にレントゲンがX線を発見して以来、多くの科学者、物理学者がX線の研究に熱中していた。ベクレルもその一人で、蛍光物質に光を当てればX線が放出されるという予測に基づき、実験を繰り返した。彼は黒い紙で包んだ写真乾板にウラン化合物を載せて日光に当て、放出されたX線が黒い紙を透過して写真乾板が感光するという実験を行っていた。
ところが天気が悪くなったため、ベクレルは数日間、写真乾板とウラン化合物を一緒に引き出しにしまっておいた。数日後、念のためその写真乾板を現像すると、意外にも日光に当てた時より激しく感光していた。この現象からベクレルは、ウラン化合物がX線とは異なる何かの何かの放射線を自然に出していることを発見した。放射能の発見である。
その後彼は、放射能の強度はウランの絶対量に比例していること、放射線が磁界によって曲げられることなどを発見する。ベクレルの名は、放射能の壊変強度を表す単位となっている。
晴山陽一『365日物語』(創英社/三省堂書店)169
Antoine Henri Becquerel
1852年12月15日 - 1908年8月25日
ウラン化合物が放出した放射線はアルファ線である。幸運の前髪を見事につかんだこの実験は、1986年つまりレントゲンのX線発見の翌年の出来事であるという。それから5年後の発表は、今日の感覚ではいかにものんびりしている。
ベクレルは1903年、ピエール・キュリーおよびマリ・キュリーと共にノーベル物理学賞を受賞した。1908年、55歳での突然の死は、マリ・キュリー(1867-1934)と同じく放射線障害によるものと考えられている。
ウラン塩によって偶然感光した写真乾板
写真:https://ja.wikipedia.org/wiki/アンリ・ベクレル
Ω