散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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理事会の休み時間に笑いあり

2018-11-25 18:36:03 | 日記

 2018年11月25日(日)

 夕方からCMCCの理事会あり、その休憩時間に聞いた話。千昌夫が体調不良で医者にかかったと思いたまえ。相手は若い医者で、千昌夫がどこの誰だか知らないというのが、話の落ちではなくて前提である。

 「お名前は?」

 「せん、まさお」

 「御職業は?」

 「歌手をしております。」

 医者はちらりと一瞥し、重ねて訊いた。

 「いつから、そう思うようになったんですか?」

 一同爆笑。

 しかしさすがに、まさかなぁと思う。そういう質問の可能性・合理性があるとしたら、医者が精神科医で、患者の妄想性疾患を疑っている場合に限られるだろう。体調不良で精神科受診でもあるまいに、一般科でホントにこんな会話があったとしたら名誉棄損ものだ。医者の方の人格診断を要求したいぐらいだが、こんな相手に

 「以前のカミさんは金髪のアメリカ人で」

なんて云おうもんなら、ソッコー入院させられちゃうかもしれないね。

 内容の突飛さ・信じ難さに基づいて「妄想」を診断してはならない、思考の形式にこそ注意を払うべし、とクルト・シュナイダー(Kurt Schneider)が言っている。銘記すべきことである。

***

 大相撲十一月場所も千秋楽。これも休憩時間に貴景勝の初優勝を知る。二日めが終わった段階で以下のように書いたのが、こうなってみればちょっと自慢。

 「今場所の貴景勝は見守りたい。相手が何をしてこようが動じることなく、低く出てひたすら押し、動き回り、機を見ていなす。誠実愚直な相撲ぶりが、15日間貫徹されることを祈る。」

『今場所の注目は・・・』https://blog.goo.ne.jp/ishimarium/e/683e627409047acbf3e8ad415e148e83

 貫徹された。満22歳、幕内最年少の小結は、自分の相撲を見事に貫き通した。彼の相撲は15日間ぜんぶ見たが、立ち会いから勝負が決まるまで、およそブレるところがひとつもない。両拳をしっかり仕切り線に付けて相手を待ち、胸を目がけて突きまた押し、左から強烈にいなす。単純とは言え、決まった型なり自分に課したルールなりを貫徹するのは難事である。15日の間には誰でも一度や二度は魔がさすものだが、今場所の貴景勝は魔物につけいる隙を与えなかった。

 そして問題の張り手。相手力士らは何度も張ってきたけれども、あっぱれ貴景勝自身はただの一度も張り手を見せなかった。それが有利にならないことをよっく知ったのに違いない。

 14日めの高安戦、解説の尾車親方(元大関・琴風)が高安の立ち合いはどうあるべきかと訊かれ、「思いきって体当たり、それしかないでしょう。張り手ぐらいでは今の貴景勝の当たりは止められません」と繰り返した。張り手など、そんなものである。

 もとより高安も承知のうえ、巨体に満身の力をこめてぶちかましたが、貴景勝ひるまず一の矢・二の矢で高安を土俵際まで突き飛ばした。突き押しの威力に自分がとまどったか、追う足が流れて腹這いになってしまったが、相撲自体にわずかの悔いもなかったはずである。

 一年おさめの九州場所で、清々しいものを見せてもらった。来場所はマークもきつくなり、張り手大好きの横綱らが休場明けで、すんなりとはいくまいが、いよいよ一途な精進を祈る。

https://withonline.jp/withgirls/withgirls-entertainment/a3pIy

【追記】その貴景勝に今日は敗れた東三枚目の錦木(にしきぎ)、相手の差し手を万力のように決めつけ、しばしば外四つで寄り切るスケールの大きさが頼もしい。来年飛躍の逸材と見ましたよ。今度もあたるかな・・・

Ω


美辞麗句と繁文縟礼

2018-11-23 08:34:41 | 日記

2018年11月23日(金)

 ある会合で定期的に講話を担当する人の、よく準備して大事なことを伝えているらしいのだが、話がいつでも無用に長い。古めかしい語彙を多用した、ものものしい原稿をゆっくり丁寧に読みあげるので、聞き手は2分で飽きてしまい後に何にも残らない。もったいないとやんわり忠告する人もあるのだが、本人は確固たる信念があるらしく変える様子がさらさらない。

 メンバーの一人が「美辞麗句がよくない」と評した。言いたいことはわかるけれど、少し違う。美辞麗句というからには美麗でなくてはならないが、そういう花があるわけではなく、むしろ美文を意図的に避けているようなのである。隔靴掻痒、もっとぴったりした言葉があったはずだがと、しばらく気になって落ちつかない。

 休日の朝、遅く目覚めて寝ぼけた頭に言葉が浮かんだ。

 「繁文縟礼」

 思わず苦笑した。これは「規則・礼式のこまごまして煩わしいこと」を言うのだから、文体や語り口の形容としては本来おかしいのである。しかし、話し手のものの考え方、人のありようの根本が「繁文縟礼」なのだと考えれば諸事説明がつく。

 うんそうだ、これで言葉が見つかったと思ったら嬉しくなって、頭もすっきり起き出した。現実の混沌に秩序を与える言葉の力は誉むべきかな。今日はいい日だ、お水がウマい。

Ω


日々の糧と不滅のユーモア

2018-11-20 10:21:17 | 日記

2018年11月20日(火)

  コカコーラ・ボトラーズの会長がバチカン教皇庁に願い出た。

「毎日のお祈りの文句にコカコーラを加えてください。御礼に一兆ドル献金しましょう。」

  即刻丁重に放り出された会長は首を傾げた。

 「おかしいな、パン屋はいったい、いくら払ったんだろう?」

***

  いつどこで聞き覚えたのか忘れたが、ときどき思い出しては一人笑いする、そういうコレクションの一つである。

  いま切実に渇望するのは、このセンス、この精神だ。地球が吹き飛んだ後に、ユーモアが残った。神はそれを生地にして、新たなパンをこね始めた。泥遊びする幼児の無心をもって。

Ω


塔と畑と食卓と

2018-11-20 09:04:11 | 日記

2018年11月19日(月) 

 

 写真は白黒が良い。少なくとも、白黒の方が断然良いような写真がある。

 何度か別々のところでそのように聞き、心ひかれながら実行するほどの才覚はなくていたが、撮ってあった写真が何かのはずみで白黒に変換された。

 息を飲んだ。自分の撮ったものとも思えず、異次元へ入り込んだような心地がする。もともと昨年10月に撮ったもので、それがいつの間にかこのように変貌した。同じ場所へ同じように招かれて今年は11月のこの日に出向いたが、近寄るのが怖いような気がした。

 待っていてくれたのは、ひとつの家族のように温かい同信の群である。昼食の様子を掲載したいが、お顔を出すのはやはり障りがあろう。せめて卓上の温もりを、これはカラーが良さそうだ。

  

 ひとつひとつの素材に由来があり謂れがあり、従って感謝がある。お米は秋田出身の神学生の御母堂が送ってくださったもので、大根は近隣に住む信徒さんの畑の作物で、蜜柑は、柿は、かくかくしかじか。何の仕事で来たのだったか、すっかり忘れて飽食した。

 この神学校は東武東上線の最寄り駅から徒歩1kmあまりのところにあり、道筋の住宅地のところどころに畑地が残っていて、野菜類を手際よく植え付けてある。田舎の家周りの良い手本とばかり、通りすがりにしげしげ眺めた。根菜類の地上部分が青々して食指をそそる。「大根葉は美味いが、ニンジン葉は食えない」と言った人があったが、気の毒に、新鮮なニンジン葉の美味さを知らないのだ。

 美味いんだから!

  

Ω

 


ポルトガルへ旅したそうな

2018-11-19 23:13:47 | 日記

2018年11月19日(月)

 高校の同級生の中に、大手の企業でせっせと仕事をした末、頃合いを見計らってさっさと退職し、御令室と旅行三昧という羨ましい御仁がある。

 「会社勤めをしている間は、家内と海外旅行に行くことなどはとても難しかったので、今がチャンスと思い、この2年は結構な回数、出かけています。7回かなぁ。」

 まったく手の付けられない羨ましさである。彼が見せてくれたオンラインアルバムを許諾のもとに共有に付し、ここは素直に指をくわえて休むとしよう。

 文句なしに美しい。原色の鮮やかさがどこかアフリカ的で、その昔この国から日本にもたらされたあれこれの物品や語彙 ~ 金平糖、カステラにバッテラ、スベタにテンプラ、「ありがとう」に至るまで ~ が、また別の色に輝くようだ。

https://opa.cig2.imagegateway.net/s/cp/FJaAuvcXr4p

(H.N.君の厚意による)

Ω