ここのところ前線が連続的にやってきて、菜種梅雨的な様相を呈している。
冬モードから春モードに取って代わろうとするこの時期、北方のシベリア高気圧系の空気と、南方の太平洋系空気が相撲を取るかのように日本列島付近でせめぎ合って、その結果、前線が発生している。
そういう時期だ。
そんな低気圧が通る雨の海上では、空模様や空気、風の変化を、より立体的、感覚的に捉えることに面白さがある。
基本的に、東に向かうにつれて「発達」し移動のスピードを上げてゆくたぐいの低気圧の場合、海上での波や風や空模様の移り変わりも激しく、その変化を察知するのが遅れると、ヤバイ状況に陥る危険性が出てくる。一方チンタラ停滞しているような低気圧の場合、雨が降っても凪になるケースが多く、別段なんてことはない。で、雨凪の海上は美しい。海水と雨粒は塩分の有無で比重が違うことにより、浸透せずに弾かれる。広い広いカーペットのような海上でいっせいに弾ける雨粒は、一つぶ一つぶの輪郭がはっきりしていて、まるで真珠のようだ。
というわけでこの写真は、その様を上手い具合に取ろうとしたやつだけど、ちょいとミスショットだ。
まあ、仕方がない
カヤックに乗っていると、皮膚の上を転がる風の質感など普段意識しないような自然現象が、断然リアルな相貌を帯びて感じられるところが面白い。