プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

回転する地球の歌

2008-10-10 03:52:15 | インポート

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 先日行った恒例の熊野川ツアーは曇りのち雨の天候でしたが、その分山々の合間にたなびく霧や雲が熊野特有の荘厳なムードを演出してくれ、幻想的で素晴らしかったです。

 前回春にツアーした時にも書いたけれど、熊野川は感性が鋭敏になる川だという気がしますね。そして感覚が鋭敏になると雨もまた鬱陶しいどころか、非常に味わい深く感じられるようです。

 気分はいたってリラックスしつつ五感のアンテナがピーンと張っている状態、そんな中で漕ぎながらいろんなことを考えるのですが今回ぼくは「黒潮の息吹」というやつを意識しましたね。紀伊半島の山々のこの緑濃さこそ世界遺産にも指定された熊野の聖地たるゆえんなのですが、そのルーツを突き詰めていくと黒潮の影響に行きつきます。

 赤道付近の高温の海水が極付近に流れようとする際(海洋大循環)、地球の自転に伴ってまっすぐにではなく斜め向きに流れます(コリオリの原理)。それが黒潮のような暖流なのですが、日本列島はある意味、黒潮の通り道の中州のようなもので、特に日本一大きな半島である海に出っぱった紀伊半島はその影響が強いところです。考えると熊野の木々の質感も雨粒ひとつひとつも黒潮の粒子みたいなものです。そんなことを意識しながらゆったりと流れに身を任せていると、スケール大きくすがすがしい気分になってきました。

 雨のあとの温泉もまた格別でした。

 回転する地球と、太平洋を大循環する黒潮。そして熊野の山々と、目の前の川面にはじける雨粒。ところでウォルト・ホイットマンっていう大昔のアメリカ詩人の詩に「回転する地球の歌」っていうのがあるんですけれど、黒潮ってのはまさに「回転する地球の歌」みたいなものでかっこいいですね。雨粒はその音符のひとつみたいなものです。

 熊野川ツアーはこの秋の間にまた第二弾を企画していますのでよろしく。なお熊野川に関する他の記事もありますのでよろしければ下記もご参照ください。 http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20080521

http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20080521

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