

5月と言えば、毎年恒例の
みかんの花が咲く時期です。
湯浅湾沿岸一帯のみかん山のみかんの花が一斉に咲き、
ちょうど海風から陸風に切り替わる夕暮れ時に、
何万、いや、多分何億と咲く花の香りが山からおりて来て、
高貴さを含んだなんとも言えないかぐわしい香りが、
あたり一面に充満します。
潮の香りや潮騒と相まって、
そして夕陽が海面を染める色彩感覚も手伝って、
本当に美しいひとときが現出されます。
香り、音、色彩が渾然一体になった美。
---------------------------------------------------------
その時、その場所にしか顔を見せない、自然のエレガンス。
そいつを詩的に味わう事こそが、アウトドアの楽しみであるとともに、
実は、シーカヤッキングのような、
冒険性の高い遊びの「安全意識」にもダイレクトに繋がる。
自然の微細な変化や空気感を常に捉え、
状況判断しながら進んでいくわけだからね。
詩的なレベルでの感性も必要になってくるという、
だけどスポーツであるという、
面白いアクティヴィティ。
海上でみかんの花の香りがしてくるということは、
海風が陸風に切り替わったという証しだけれど、
特に「風が変わる」ということへの気づきは、
シーカヤッキングの基本なんですよね。
そういう自然現象を皮膚感覚で捉えて判断する遊びほど面白く、
エレガントなものはない、とこの時期がくるたびに思います。