プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

紀伊半島一周カヤックトリップ

2020-12-04 21:12:17 | 紀伊半島

 そして大峰奥駆道縦走に続いて11月半ばから後半にかけて、湯浅から伊勢・二見ケ浦までの「紀伊半島一周カヤックトリップ」を行っていました。カヤックにテント、寝袋、食料、水などを積んで昼間こぎ、夜は浜辺でテント泊という、一筆書きの旅です。

 こちらも同じく3作目の書き下ろし著書「海と山のソングライン」の取材という名目でしたが、それ以上にハードトレーニングを行った感がありました。普通にツアーガイドだけやっているとどうしてもカヤッカーとしてのポテンシャルは落ちてしまう所があるので、ちょうどよかった、1石2丁だったと思います。

 紀伊半島の外洋、とくに枯木灘から熊野灘にかけてはなかなかの荒海で、ところどころ日本でも有数の難所というえるゾーンが立ちはだかります。ここを自分の判断力とパドリングで一周することができるならば、あとは時間さえ許せば日本一周も可能だといえるような、バロメータ的な基準となる海だとも言えます。

 そして今回、やっぱりシーカヤックという乗り物はすごいなと改めて思いました。寄る辺ない大海原でまるで一寸法師のように頼りなげだけど、着実に目的地へと進めゆくことのできる乗り物。身一つで大波の合間を渡っていくなんて、冷静に考えると有り得ないわけで、でもそんな有り得ないことを可能にする道具、それがシーカヤックであるということを実感し、不思議であると同時に、ぼくはすごいものに携わっているんだなという思いが、何度となくこみ上げてきました。

 自然の息吹、地球の鼓動を、もっともダイレクトに感じることのできる乗り物。
 そこから繋がってくる、豊かな世界。
 そんなものを存分に表現したいなと思います。


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大峰奧駆道縦走

2020-12-04 20:24:31 | 紀伊半島

 久しぶりの投稿。
 前回投稿以後、いつものように秋のカヤックツアーをこなしておりましたが、その合間、まず10月後半に「大峰奧駆道」を5泊6日で縦走してきました。

 1300年以上前から存在する修験道の道で、吉野から熊野・本宮大社までの区間を歩いたわけですが、さすが修行の道ということもあり、なかなかハードな道行きでした。なお、この縦走は第三作目の著書「海と山のソングライン」の取材も兼ねていたという事で、ここではまだ詳しい旅の話に触れるのはやめておきますが、なかなか深い体験になったと思います。何日もの間、人里はおろか人工物もほとんど見ることのない山道というのは日本ではなかなか稀少なのですが、だからこそ野生のただなかで大自然と対峙している濃厚な実感がありました。ほとんど人と出会うことなく、道なき道をいくような場所を歩いているときにはまさに、だれも知らない奥地に迷い込んだような感がありましたが、その実、1300年の間に何百万人もの人々が歩いてきた道なんだということを考えると、不思議な気分に陥りました。
 そんな形跡すら感じさせないわけですから。
 あるのはただただ木々と草花と岩と土くれ、そして向こうに見える山々の重なりだけ。
 圧倒的な野の気配があるのみ。
 だけど確実に人間の手によって道としてつながり、そこをたどってゆくと迷わずに熊野まで歩いてゆける。

 人と自然との、絶妙のバランス関係。

 色々と新たなる発見があり、自分自身のヴァージョンアップを計れたような旅だったように思えます。


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