プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ポリネシア•カヤックトリップ7

2024-04-25 20:38:00 | ポリネシア•カヤック旅











 タハア島北部。
 キャンプ場でゆっくり。

 昼間釣りして夜みんなで飯食う。
 オーナー夫妻もゲストもマイルドで優しい。
 キャンプ場には自由に使っていいカヤックが置いてあって、すぐ沖合に点在する小島へ誰でも行ける。それを使って各々が楽しんでいる。

 ゲストはみなフランス人だが、60くらいの夫婦と20代の息子のファミリーとか、40代くらいの兄弟とか、旅好きの若い女性とか、ごく普通の人たちなのがいい。そして日本人もこういう楽しみ方をしたらいいのにと思う。

 ガイドという立場の観点から言うと、高級リゾートもいいけど、こんな所で自炊しながら旅すると1日2、3千円ですむし、心が満たされる体験という意味では、より思い出深くなる。お客様扱いではなく、飾らず自然体の交流ができるし。


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ポリネシア•カヤックトリップ6

2024-04-25 18:43:00 | ポリネシア•カヤック旅













 タハア島。

 美しいモツ(小島)がズーっと並ぶが、ほとんどはプライベートモツらしい。こんなんみんなで共有したらええのに、と思うけど、これもポリネシアの
特徴か? けっこう土地や島の個人所有観念強い。

 フィジーやニューカレドニアなどメラネシアの場合、部族とか村観念が強くて、土地なども首長の下にみんなの財産という感じだったので、その違いを如実に感じる。メラネシアではカヤックで上陸するとガキを筆頭に村人がワーっと群がってくるけど、ここでは、ファミリーがパラパラくる感じ。

 小ざかしく分析すると、平等性が強い部族社会のメラネシアと違い昔のポリネシアは何万人を統べる王がいて、その下に結構身分制もあったらしいから、その歴史的な流れと現代のフランス流の個人主義と合わさった感じか。

 憶測だけど、村の同調圧力が嫌で出ていったのがメラネシアの航海者で、彼らが新天地で個人性を打ちたててポリネシアンになった。しかし、その中で持たざる者や冷飯を食わされた者がでてきて、彼らがさらに遠方の島々への航海者になったのではないか? 新天地ならば己が、持つ者にも王にもなれるチャンスがあるから。

 ということを考えてたけど、どちらも陽気な優しさというDNAは変わらないようだ。
 ナイスな人々。

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ポリネシア•カヤックトリップ5

2024-04-25 18:40:00 | ポリネシア•カヤック旅











 ライアテア島からタハア島へ。

 海外にいると結構日本のことが見えてくる。
 ポリネシアも日本も太平洋島嶼国だけど、「環太平洋」という項を挿入すると、日本古来の自然文化のユニーク性が相対化されてより浮き上がってくるというか、もっと広がりのあるものとして見えてきて面白い。
 というのが近年のぼくのテーマ。

 日本はちょっと前まで6852個もの島を持つと言われてたけど近年数え直しがあり、昨年に14125個あると訂正された。
 その数、ヤバくない?
 インドネシアの公式記録抜かしたやん(インドネシアはきちんと数えたらほんとは多分三万以上あるが)。

 今日はタハア島沖のモツ(小島)に上陸して今日はここにテント張ろうと荷をすべて出したら、どこからともなくポリネシアン女性がやってきて、「ここはプライベートモツなのでキャンプ禁止です」と言われた。カヤック旅してますと事情を説明すると、ちょっと待ってて、と向こうへいき、再び2mくらいのオッチャンを連れてきた。彼女の夫らしい。
 カヌーで旅か? ハワイアンか?
 いや日本人です。
 おー、そうかそうか、それははるばるようこそ。ここで3、4日自由にしていってくれ。
 また奥さんも、明日またくるから蚊取り線香もってきてあげる、と。
 そんな感じのやりとりで今日明日の寝床ゲット。ノリのよい優しさがポリネシアンって感じで嬉しかった。

 ポリネシアと言えど自由に過ごせる無人島て意外に少ない。その点、ヤポネシアの方が恵まれている。


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ポリネシア•カヤックトリップ4

2024-04-25 18:25:00 | ポリネシア•カヤック旅







 ぼくの行くところどこも、世界中風つよい。

 今日は毎秒12mくらいの逆風を負けじと漕いでたら、突然パドルが根元からポッキリ。後部デッキのスペアパドルがなかなか取り出せず、危なかった。
 スペアパドルがなかったらそのまま流されてリーフにクラッシュするところだった。

 カヤッカーでスペアパドル持たずに海に出る人いるけど、ぼく的にはライジャケと同じかそれ以上くらい大事なのがスペアパドル。
 今回荷物重量を考えてカーボン2本にしたけど、カーボンて使いすぎたら劣化して折れやすくなるね。

 幸い、町まで漕いでそこらの人に聞いたらハバイイスポーツというところでパドルが販売されてた。実はタヒチの島々全体でカヌー系パドルスポーツが国技として盛んで、田舎の島でも買えるってわけ。それも4分割という旅に適したアルミのやつ。8900パシフィックフランと物価高の島にしてはリーズナブル。もう一本のカーボンはほぼ新品だからそれをメインにしてこれをスペアに。
 アルミは重いけど折れにくい。遠征時のスペアとして安物のアルミパドルは最強。

 カヤッカーの皆さん、スペアパドルは必ず持って海に出てくださいね。



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ポリネシア•カヤックトリップ3

2024-04-25 18:23:00 | ポリネシア•カヤック旅











 ライアテア島。
 雨季だが、雨上がりの太陽光線が強烈で、山の緑が鮮やかに潤いを増したり、重い緑灰色だった海が発光したようにエメラルドのグラデーションに変わったりする瞬間とか、ドキッとする。
 光と色彩の関係が特別にビビッド。

 色彩の魔術師と言われた画家のアンリ•マティスは、タヒチの島々で経験した太陽光線によって、心の内奥で色彩を自由に使う術を見いだしたと、旅に出る前に読み漁った本の中に書かれていて凄く印象深かったのだけど、雨上がりの光の強烈さを感じてふと、これのことなのかもしれんな、と思わされた。
 
 マティスはいわゆる「マナ(自然のスピリット)」を捉えたのだろう。
 ジャンルは違うけど、ぼくらカヤッカーも旅するとき、瞬間瞬間にマナのようなものを捉えて進んでいくことが理想。
 カヤックも体育器具というより、楽器とか絵筆とか、そういう類のものだから。


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ポリネシア•カヤックトリップ2

2024-04-25 18:19:00 | ポリネシア•カヤック旅














 

 ライアテア島南西部。
 面白がってジャングルの海岸線でキャンプしてたらノノ(サンドフライ)の大群に襲われた。たしかキャプテンクックが、地球上で最悪の生き物と称したヤツら。まさしく砂粒が浮上してきて際限なく手足にまとわりついてくる感じ。ヒィヒィ言いながらテントを張り逃げこんだがあと10分遅れてたら発狂するレベル。

 翌朝おきたら隣りが朽ちたマラエ(聖地)らしき跡だった。未だに明らかになってないマラエ跡は島に無数にあるという。だからなのか何なのか、実に奇妙な夢をみた。変テコすぎはしたけれど、後味は悪くなかった。

 次に夕陽が美しい小島に辿りついたが、パンを食おうとしてかじると口腔に電流のような痛みが走る。吐き出すと小さなムカデが出てきた。
 チビで幸い。
 海水で口を洗ってると親切な地元民がビールをくれた。色々話しをしてると痛みが消えてきた。

 と、こんなことをポケットWi-Fiという代物によってタイムリーに投稿できる不思議。
 いいんだか、良くないんだか。


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ポリネシア•カヤックトリップ1

2024-04-25 18:15:00 | ポリネシア•カヤック旅















ポリネシア•ライアテア島、タプタブアテアのマラエ(聖地)。

 6000年くらい前に台湾あたりから船出し、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、フィジーなどなどを経由してサモアやトンガから渡ってきたオーストロネシア語族の人々はここを分岐点として北はハワイ、東はイースター島、南はクック諸島やニュージーランドに渡っていった。

 各地に散ったポリネシアンは時に、ここに集結し、航海術の伝授や意見交換などがなされたという。環太平洋カヌー文化の最重要聖地。イスラム教徒におけるメッカ巡礼みたいなもの。

 ここで、14125個の島々を有する環太平洋黒潮文化圏・ヤポネシアのカヌー文化のあるべき未来を考える。
 遺産とは過去に固着するものではなく、流動性を持っている。地球環境時代におけるそれは、まだ始まったばかりだ。

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