久しぶりの投稿。
前回投稿以後、いつものように秋のカヤックツアーをこなしておりましたが、その合間、まず10月後半に「大峰奧駆道」を5泊6日で縦走してきました。
1300年以上前から存在する修験道の道で、吉野から熊野・本宮大社までの区間を歩いたわけですが、さすが修行の道ということもあり、なかなかハードな道行きでした。なお、この縦走は第三作目の著書「海と山のソングライン」の取材も兼ねていたという事で、ここではまだ詳しい旅の話に触れるのはやめておきますが、なかなか深い体験になったと思います。何日もの間、人里はおろか人工物もほとんど見ることのない山道というのは日本ではなかなか稀少なのですが、だからこそ野生のただなかで大自然と対峙している濃厚な実感がありました。ほとんど人と出会うことなく、道なき道をいくような場所を歩いているときにはまさに、だれも知らない奥地に迷い込んだような感がありましたが、その実、1300年の間に何百万人もの人々が歩いてきた道なんだということを考えると、不思議な気分に陥りました。
そんな形跡すら感じさせないわけですから。
あるのはただただ木々と草花と岩と土くれ、そして向こうに見える山々の重なりだけ。
圧倒的な野の気配があるのみ。
だけど確実に人間の手によって道としてつながり、そこをたどってゆくと迷わずに熊野まで歩いてゆける。
人と自然との、絶妙のバランス関係。
色々と新たなる発見があり、自分自身のヴァージョンアップを計れたような旅だったように思えます。