一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1391   秋葉遊石俳句集 9

2014年12月11日 | 秋葉遊石俳句集

包丁の其の先ほどの寒さかな

その人は一つの咳の様に消えた

寂かなりしみじみと見る古暦

備えあり愁いも在りて歳の暮

踏まないで忘れな草を踏まないで

夕焼けて婆の影踏む子等の影

照れ臭し少し長めの半ズボン

なでしこの様な少女に径問われ

勝った子が負けた子つつく運動会

会得せり粧わぬ山と粧ふ山

悠久の時を偲びて墓洗ふ

破荷似合う男の背中かな

立冬や下り続ける男坂

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1354   秋葉遊石俳句集 8

2014年10月24日 | 秋葉遊石俳句集

春嵐私情の乱れそのままに

 

咳一つ呼吸器外科の吹き溜り

 

万緑や洒脱な言葉見付からず

 

行きずりのマスクの人に会釈され

 

冬帽子後ろ手に持ちさて一人

 

柳刃の切先しかと烏賊を引く

 

比ぶれば君のみむねや隙間風

 

日傘クルクル十七八の通りけり

 

馬鹿言ってんじゃないよ四月馬鹿

 

投げやりに焼いた秋刀魚の旨さかな

 

と云って貴方は蝉時雨に消へた

 

カルタゴの女奴隷の瞳涼し

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1346   秋葉遊石俳句集 7

2014年10月16日 | 秋葉遊石俳句集

剥げやすい化粧のように夏果つる

 

墓参り身を知る雨に身をゆだね

 

菜の花や見つかるようにかくれんぼ

 

曇天下日傘時々にして雨

 

秋刀魚裂く包丁で道教えられ

 

木枯の公園を斜めによぎる

 

花の人指切りをしたままの女

 

夏大根引く力なし山は雨

 

神無月賽銭箱を覗きけり

 

草摘める女の背の丸さかな

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1342   秋葉遊石俳句集 6

2014年10月11日 | 秋葉遊石俳句集

蛍の光らぬ方へ誘われ

 

彼岸花忘れることは罪ですか

 

薔薇崩る身を知る雨に身を委ね

 

カンナ燃ゆれど切に待ちたることもなし

 

忠魂碑覆う万朶の櫻かな

 

さんざめく人込みに入り春を聴く

 

万緑や跡形も無し負の記憶

 

径問へば麦秋の人口ごもり

 

来し方の夢のかけらや冬花火

 

永らへて死は一瞬の蝉時雨

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1338   秋葉遊石俳句集 5

2014年10月07日 | 秋葉遊石俳句集

光と影と山茶花の白である

 

風誘う白き蹴出しや秋の果て

 

陰毛の白きもの取れ冬となる

 

かわたれの毛虫のごとく生きてみるか

 

越前の蟹身じろぎて冬となる

 

夏座敷柱鏡の山揺るる

 

肌に添ふ指白々と露寒し

 

日に透けし紅葉かくあり目交に

 

桃にみる球体の無限の羅列

 

八つ口に春の名残の風を入れ

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1335   秋葉遊石俳句集 4

2014年10月03日 | 秋葉遊石俳句集

芭蕉忌やチンドン屋との鉢合わせ

 

白日傘一瞥もせず通りけり

 

咳込みし女の嘘を知っている

 

真っ直ぐに立ってカンナの日暮かな

 

アッパッパー娘似合って母となる

 

青丹よし奈良や生駒の木下闇

 

通りゃんせ俺とお前の隙間風

 

煮凝りの揺すれて遠き月日かな

 

その蜘蛛は只揺れながら孤独だった

 

月おぼろ娘の嫁ぐ町を過ぐ

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1333   秋葉遊石俳句集 3

2014年10月01日 | 秋葉遊石俳句集

尊厳死協会前のくしゃみかな

 

焼場裏蜜柑が青く滲んでた

 

菜の花にそっと沈んでみたりして

 

砂日傘健康だった私の心

 

りんご剥くお前は今も幸せか

 

霙るるもこの道を行く他は無し

 

立秋の石に座し疲れて笑う

 

哀しきはその噴水のスパイラル

 

秘め事を秘めて苦しき大暑かな

 

秋は白き祈りと誰かが言った

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1331   秋葉遊石俳句集 2

2014年09月29日 | 秋葉遊石俳句集

月朧貴女の居ない窓の群

 

花吹雪ここから二人で逃げようか

 

その猫の上に小さくリラが散った

 

夏も終わりねと頬杖を解く女

 

栗一列に並べる面白くない

 

ひらひらと花びらホームレスの上

 

牛蒡引く女の眉の太さかな

 

終戦日記憶の中に音は無し

 

鳩の目に墨入れし芸妓と三日かな

 

曇天下向日葵時々にして雨

 

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1330   秋葉遊石俳句集 1

2014年09月28日 | 秋葉遊石俳句集

後朝の女の咳の目覚かな

 

禅僧の戯言を聞き春炬燵

 

好い人はタンポポ踏まず通ります

 

スーパーの桃尻の毛にそっと触れ

 

で在るからして向日葵は爆発する

 

万緑やこの地に生まれ此処に住む

 

死或いは絶望する一つの咳

 

犬と一人朽野に立つ山は雨

 

初雪や妻揺すぶれば片目あく

 

京四条祇園界隈雪女郎

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