一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2263  第307回 岩戸句会 3月

2022年03月27日 | 岩戸句会

ホワイトデー駅階段を急ぎ足       光子

クシャクシャが目クシャ鼻クシャ春来たる

 

珈琲の膨満雪崩注意報          さくら

彼岸桜見知らぬ人と立ち止まり

 

蓮華田や湿りて遊ぶ少女らは       薪

葦の角大気吸い込む鯉の口

 

木の芽風鉢植え椿名札消え        豊春

ため口のナースの肩へ朧月

 

揺するなら陽のある時に春鯰       鯨児

春愁ひ茶殻を撒きてひと掃きし 

 

さようなら握る手強き春の雨       沙会

泣きべそが袴姿で卒業す

 

いくつもの雲をくぐりて鳥帰る      凛

カーテンにワルツのやうな春の風

 

オードリーヘップバーンや春の夢     炎火

ミサイルに吹っ飛ばされた花見かな

 

鳥集う彼岸桜へ夕陽射し         イヨ

一日ごと色増すつぼみ桜かな

 

春の海日の出を迎え万物流転       黄玉

初音とも一日始まりワクワクす

 

春光となり翡翠の番翔く         雲水

巣籠りや春子の無垢の白き襞

オオアラセイトウ(別名 諸葛菜、紫花菜、花大根)

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2262  白菜をメリメリと割り厨事  さくら  

2022年03月22日 | 

  この句は、白菜を裂く時に発する音を擬音語「メリメリ」と表現することによって、説得に成功している。作者のもう一句

ザリザリと我先潰す霜柱  さくら

 人が靴で、霜柱が踏み潰される時に出る音を、擬音語「ザリザり」と表現して成功している。経験者なら誰でも分かる適切な表現が高得点の理由だ。

➀人や物の動き、➁音や声、③人の感覚や気持ちを表現する言葉を、擬態語、擬音語、擬声語などという。

➀ぐずぐずしている、ころころ転がる、➁ざあざあ降る、げらげら笑う、③いらいらしている、ぼんやりしている・・・などである。フランス語では、オノマトペともいう。

 「ホーホケキョ」「ワンワン」なども一種の擬音語で、日本に育つとそう聞こえてしまうから実に不思議である。

ハコベ(繁縷)

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2261   第306回 2月 岩戸句会 

2022年03月16日 | 岩戸句会

翁逝く春耕の鍬壁に立つ        豊春

辻地蔵毛糸マフラー布マスク

 

ザリザリと我先潰す霜柱       さくら

白菜をメリメリと割り厨事

 

大福の中の苺の薄あかり        凛

目覚めゆく大海原に風光る

 

タンポポのソーラーパネル発電所   炎火

枯れた草枯れない草もありにけり

 

丸窓から「おばんです」と春満月    鯨児

ひらひらと朽ちゆく国に春の雪

 

春の海密状態の魚元気         鞠

お籠りの三回接種春寒し

 

あれやこれ話半分狸汁         沙会

黄砂舞ふ世界の果ての果てまでも

 

逢えました二夜続いて春の夢      光子

風光る伊豆稲取の吊るし雛

 

春めくや若いつもりの服を買う     稱子

まんさくや義父に感謝をして足りず 

 

紅白の梅てんでんに膨らみし      裕

梅仰ぎ犬の散歩は千歳川

 

梢揺るさえずる小鳥東風の波      イヨ

静かなる巷の夕を春の雨

 

春立つと龍頭雲に乗り日の出      黄玉

佳2➀春の月レースドレスを着て踊り

 

独り居に息吹いただく蕗の薹      洋子

春隣海見入るだけの旅気分

 

単身赴任の赤鬼戻り豆撒けり      薪

霊山の馬酔木の蕾蠢けり

 

冬日ざし山王草堂野良の猫       余白

凍て路に足を取られて空を見た

 

二月尽何か切らんと刃物研ぐ      雲水

焚火からこの世に戻る半ひねり

ウメ(梅)

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2260  翁逝く春耕の鍬壁に立つ  豊春

2022年03月14日 | 

 ある時、岩戸窯に八十代の妙齢の女性が現れました。「私、三十五才で夫を亡くし、二人の息子を必死で育てました。お陰様で息子たちは、私から独立して家庭を持ち、問題なく立派に生活しております。私もそろそろあの世が近づいております。あの世に行ったとき夫は、こんなおばあさんになってしまった私のことが分かりますでしょうか。」

 初対面の女性から、こう質問された時、私に答える術はありませんでした。初対面の私に、突然こんな大問題を質問するこのおばあさまは、頭がおかしいんじゃないか、と思いましたが、笑い事では済ませられません。

 あれから十数年経ちました。結論は出ていませんが、明らかになったことがいくつかあります。「あの世はあります。天国はありますが、地獄はありません。おばあさまは、ご主人に必ず会えます。二人が一番若かった、結婚した頃の二人になって、会えます。天国で、一番会いたかった人には必ず会えます。勿論ですが、会いたくない人には絶対に会いません。ご安心ください。」私はたぶん、そう答えるでしょう。

ルッコラ

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