一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2062  山法師ほらアクリル絵の具の白    美部

2019年05月31日 | 

 この句の「ほら」が効いている。色んな意味に取れるとても面白い句である。

①「アクリル絵の具の白のようだ」と、山法師を指さして誰かに言った「ほら」。

②「ほら、絵の具の白」と言って、山法師を描いている人に絵の具を渡した。

③ 色んな白の絵の具の中で、アクリル絵の具が一番山法師に相応しいという意味の「ほら」。

④ 山法師を描いているのは作者自身で、①②③それぞれの独り言の「ほら」の可能性もある。

これを、曖昧だからダメという人もいるかもしれないが、私はこういうのを面白がる人である。

ウツギ(空木)の花=卯の花(卯月の花)

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2061  第273回 5月岩戸句会

2019年05月29日 | 

卯の花ややさしき人はやさしく老い  洋子

山法師逢う日逢わぬ日逢えない日

 

山法師ほらアクリル絵の具の白    美部

山法師子等が投げ合う手裏剣

 

静けさの八十八夜更けゆきぬ     イヨ

さざなみの水田すいすい二羽の鳥   〃

 

さみどりが日毎に白し山法師     海人

葉には葉の木には木の色雨蛙

 

汗一斗田植え上がりの冷一合     裕

風薫るテラスの隅の豆の蔓  

 

母の日や母のははにも花届く     沙会

ふっくらと米に笑窪のグリーンピース  〃

 

大輪のアマリリス我が庭を占め    歩智

湯の町を揺らし手筒の花火かな

 

感覚を全開にして風薫る       さくら

蚕豆や深窓育ちの姉妹のごと         〃

 

夏めくやビル先端に鷺が立つ     鞠

里山のパン屋に並ぶ麦の秋      〃

 

山法師夢は下天のごとしなり     炎火

海を裂く夕日の道にヨットかな

 

薫風や一人遊びの磯鵯        雲水

濃紺を極めてあやめ開きけり

ナルコユリ(鳴子百合)

 

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2060  卯の花ややさしき人はやさしく老い  洋子

2019年05月27日 | 

 

 ひらがな表記の「やさしい」という形容詞は、意味が広くて易しくない。辞書で調べてみると、以下のようになる。 

優しい

1 姿・ようすなどが優美である。上品で美しい。

2 他人に対して思いやりがあり、情がこまやかである。

3 性質がすなおでしとやかである。穏和で、好ましい感じである。

4 悪い影響を与えない。刺激が少ない。

5 身がやせ細るような思いである。ひけめを感じる。恥ずかしい。

6 控え目に振る舞い、つつましやかである。

7 殊勝である。けなげである。りっぱである。

易しい

8 理解や習得がしやすい。単純でわかりやすい。平易である。⇔難しい。

9 解決や実現がたやすい。面倒なことがなく、容易である。⇔難しい。

10 不用意である。

 

前の「やさしい」は、1or2or3であろう。後の「やさしく」は、1or2or3に加えて9かもしれない。従って

➀ 卯の花や優しき人は優しく老い  ➁ 卯の花や優しき人は易しく老い

さて、どちらが俳句としてベストであろうか。

ムサシアブミ(武蔵鐙)

 

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2059  巣作りに毛布を毟る匂鳥

2019年05月26日 | 

 屋外の軒下に置いている洗濯機。使っていない時、直射日光が当たらないよう、毛布を掛けているが、これをウグイス(鶯)が毟っていた。推測なのだが、巣作りに使っているんだろう。

タツナミソウ(立浪草)

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2058  大朝寝甘え声にて犬が呼ぶ

2019年05月10日 | 

 最近ほぼ毎日、深夜に起きてビールを飲みながら、俳句のブログを書いたり、録画ビデオやYouTubeを見たり、ラジオを聞いたりする。そして、2,3時間経ったら再び寝て、6時頃に起きる、というのが習慣化になってしまった。しかし、たまには寝坊して犬に起こされる。

 一般的には「ダメな生活」と言われるかもしれないが、私はとても気に入っている。

ヤマツツジ(山躑躅)

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2057  聞く耳を持たぬ爺いへ春の雷

2019年05月08日 | 

 5月1日、令和という新時代が始まった。どんな時代になるのやら、私としては期待より不安の方が大きい。東南海や関東を襲う大地震、スーパー台風などの自然災害。日本を取り巻く国々、ロシア、中国、韓国、北朝鮮、そしてアメリカの動向、リーマンショック並みのドイツ銀行の倒産が囁かれている。

 5月6日は立夏。暦の上、俳句の上ではもう夏である。そして、長かった10日間の連休が終り、いつもと何ら変わらない日々が始まった。

スイバ(酸葉)

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2056  かさこそと口割る鍋の浅利かな   待子

2019年05月06日 | 

 温度の上がって行く鍋の浅利が、口を開く。「口を割る」でも悪いわけではないが、「口を開く」の方が適切だろう。

 人間は、生き物の命を奪い、食べて生きねばならない。浅利が口を開くとき、「命を奪っている」という思いが浮かぶ。そういう罪悪感が、この句にあると感じるのは、思い過ぎだろうか。

ハルジオン

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2055  第272回 4月 岩戸句会

2019年05月02日 | 岩戸句会

たんぽぽの綿毛とばして願うのみ   洋子 

犬ふぐり踏まれる毎に拡がりて

 

かさこそと口割る鍋のあさりかな   待子

山笑ふひなびた宿のひのき風呂  

 

菜の花やハングライダー降下基地   炎火 

春霞りん郭のないホルスタイン

   

ふらここで揺れているかや遊石さん  歩智

北窓を週末には開く気分

   

春一番すべては風の吹くままに    沙会

入学児低く小さく傘の波

 

天空の星みな落ちて犬ふぐり     海人

大山の残雪背に一仕事

  

箱根路や緑の風と蓬餅        裕

まず針魚先代の話など熱燗で  

 

桜時ラジオに留守を頼みけり     薪

リラ冷えや猫の瞳孔みはるまま

 

木の芽雨隣も前も退職者       豊春

ゴミ出しのノルマ果たすや竹の秋

    

牧野氏を恨んで可憐イヌフグリ    美部

はやる気と酒を抱えて桜追う

     

道灌も分からぬ山吹かけ言葉     余白

タケノコを茹でれば正味四分の一

 

連れ添うて五十年余や春の旅     稱子

溢るるは他国の笑顔京の春

 

山間の音立つ小川水温む       イヨ

静けさの山々笑ひ明日令和 

 

春霖や老いては街に住みたきに    さくら

ハグ受けて気力溢れし春惜しむ    

 

黄木蓮三年越しに花開く       鞠

平成の最後の句会夏隣る  

 

春惜しむどころか今は冬戻り     貴美

公園で弁当箱に花吹雪

 

初蝶や川辺の暗きところより     雲水

聞く耳を持たぬ爺いへ春の雷

 

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2054 たんぽぽの綿毛とばして願うのみ 洋子

2019年05月02日 | 

   タンポポ(蒲公英)の種は、冠毛(綿毛)が付いていて、風に乗って遠くに飛ばすことで子孫を残している。最近は、日本たんぽぽより西洋たんぽぽがはびこっている。

  さて、願掛けは、神社、仏閣、教会などでするのが一般的であるが、作者はタンポポの綿毛を飛ばして願掛けをしている、という。それは単に、タンポポの種が根付くことを願っているとも受け取れるが、そうではなかろう。

  作者の願いが何か、さっぱり分からないが、「願うのみ」という言葉に、作者自身の強い願いがあると考えるべきだろう。そして願う以外に、成す術がないのだ。

キエビネ(黄海老根)

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