一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1771   第243回 11月岩戸句会

2016年11月30日 | 

生と死のささやき交わす冬銀河   章子

静かなる病棟照らす寒の月

 

冬の海三百号のガラス窓      炎火

帰り花ロト6の抽選日

   

木枯やポッケに残る映画券     豊春

冬麗児童二人の島の空

 

木枯に抗い雀一列に        海人

木枯や妻の寝息が時刻む 

 

路地裏に留め置く屋台木の葉舞う  鼓夢

木枯や一行で足る日記帳

 

故郷の赤城山から空っ風      清海

初雪に昨日の道も通りゃんせ

    

頓珍館は古物商なり凩吹く     薪

狩人と二言三言離れけり

 

ポテチだよ君トーストねと踏む落葉 美部

初雪でイチゴメロンの山模様

    

枯葉らの焼却処分理に合わず    余白

落葉らは雨や陽を浴び土になる

 

芒原風が風呼びうねりゆく     稱子

職歴のついぞ無きかなりんご剥く

   

ほろほろと指から落つる零余子かな 洋子

木枯や傍にいるだけそれでいい

     

風の吹き荒れしあとの良夜かな   侠心

谷沿いに紅一点や烏瓜

    

昨日掃かれ今日も掃かれし落葉かな 雲水                   

夢の中で尿していた冬の朝 

トウガラシ(唐辛子、唐芥子、蕃椒)                    

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1770   生と死のささやき交わす冬銀河   章子

2016年11月28日 | 

 2003年に、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、一枚の写真を公表した。超新星爆発(死)の残骸E0102と星の形成(誕生)領域N76が,同時に写っている写真だE0102からN76の端までの距離は、わずか50光年だという。但し南天にあるため、残念ながら日本から見ることはできない。

 現在の天文学は、私たち一般人の理解をはるかに越えている。例えば、ビッグバン理論である。138億年前に、宇宙は時間と空間の区別がつかない一種の「無」の状態から忽然と誕生し、爆発的に膨張してきた、とされている。

 いづれにしても宇宙と同様、私たちは自分の生と死すらよく分かってはいない。

ハクサイ(白菜)

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1769   積もる初雪やさしくしたき人はおらず   

2016年11月24日 | 

 関東に、11月としては54年振りの初雪が降っている。午前9時で、我が家もうっすら積もり始めた。それどころか、まだまだ積もりそうな気配である。午前中一杯降るようだから、たぶん10センチは積もるだろう。

 昨日、色付き始めた千両の鉢を室内に取り込んだのが正解だった。放ってあるオクラは、多年草だが寒さで枯れて、1年草になるに違いない。ミニトマトの青い実も、熟さず落ちるだろう。

 さて、やさしくしたき小鳥たちにひまわりの種をあげよう。

11月24日AM9時

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1768   ねんねこの母たちつくす線路際   mariko789

2016年11月22日 | 

 この句を解釈すると、 

①  家が線路のすぐそばで、夕焼けがとてもきれいだから。

②  線路や電車が大好きだから

③  帰りたいけれど帰れないから、故郷に思いを馳せて

④  生きるのが辛くて、死のうとして立ち尽くす、母子心中寸前。

⑤  心中を諦め、子のためにどう生きようかと立ち尽くす

  生きていると、「あなたに尽くし尽くす」「仕事をし尽くす」「食べ尽くす」「生き尽くす」・・・・・いろんな尽くすがあるが、この句が、④ではなく⑤番であって欲しいと祈るばかりだ。

ブロッコリー

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1767 昨日掃かれ今日も掃かれし落葉かな

2016年11月21日 | 

 良寛和尚の臨終の際、ある人が「何かお心残りはありませんか」と尋ねたところ、最期の言葉の逸話として、

阿々(ああ)

死にとうない

散る桜残る桜も散る桜

うらを見せおもてを見せて散るもみぢ

かたみとて何かのこさむ春は花夏ほととぎす秋はもみぢば

我ながらうれしくもあるか弥陀仏の今その国に行くと思へば 

 6つのうち、どれが本当かどれが嘘か、研究調査する時間がない。但し、自分の死に際してどれを選ぶかは、検討する必要があるだろう。

食用菊(来年は真剣に増やそう!)

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1766   蘆刈の茂みに眠る10ペンス   mariko789

2016年11月19日 | 

  人の深層心理が夢に現れる、という説がある。説によると、無意識から現れるのが夢で、自分の奥底に潜む無意識、自分の気付かないもう一人の自分に出会うのが、夢だという。

  そう考えると、実に楽しいではないか。自分の夢をどう解釈するか。自分の知らない自分を知るために、自分の「夢」を判断する。夢は、うわべの自分ではなく、もう一人の「本当の自分」を発見するためにあるのだから。

  ということは、この句の「茂み」「眠る」「10ペンスコイン」という言葉が、無意識から溢れ出たのではないかと思われ、俄然輝いて来る。

 哲学には、「神とは何か」「宇宙とは?」「人間とは?」「愛とは?」「善とは?」など様々な命題があるが、最大の命題はやはり「私とは?」だろう。夢は、きっとその発見の一助になるに違いない。

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1765   ズボン下に着替えて窯の棚斫る

2016年11月18日 | 

 窯焚きの準備に、窯の棚板を斫(はつ)ったり窯詰などの仕事が多いので、最近の屋外はやはり寒い。そこで、まだ早いかもしれないが、ズボン下を穿くことにした。去年からは、パンツは穿かず直接ズボン下を穿くことにしている。但し、身体にぴたっと合うタイツタイプでなければならない。というわけで、私の冬の衣替えは、ズボン下から始まった。

 調べてみると、宮中の冬の更衣は、既に飛鳥時代に始まったようで、陰暦10月1日(今年の新暦では11月1日)であった。いづれにしても、飛鳥時代の人が私達を見たら、驚くだろうねえ。

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1764   あの音は確かにあいつ小鳥来る

2016年11月17日 | 

 我が家の「窯の鳥」である「ジョウビタキ(尉鶲)」がやって来た。姿は見ていないが、嘴をカタカタ鳴らす音は、間違いなく尉鶲だ。去年と同じなら「メス」のはず。繁殖期でないと、オスメス別々に縄張りを張るという。

スズメより小さな体で、大陸と日本を往復したわけだ。日本海のどこを渡って来たのだろう。野鳥の中継地として有名なところは、能登の舳倉島、長崎の対馬、山形の飛島の3つだそうである。

野鳥の渡りに興味のある方は、「未知の細道54」をご覧下さい。

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1763   夢の中で尿していた冬の朝

2016年11月16日 | 

(ゆめのなかで いばりしていた ふゆのあさ)

 庭の隅で、立小便をしている夢を見た。膀胱に溜まっていた小便を、気持ちよく大量に長く出している夢だ。瞬時に夢から目覚めて「やばい」と思った。

しかし、確かめてみると濡れていないではないか。子供の頃の寝小便と夢との、正確な記憶の因果関係は思い出せない。しかし、目覚めた時の「やばい」には、子供の頃の寝小便の夢と重なっているような気がする。老いるとは、子供に戻ることだともいうから、そろそろ、大人用オムツを買っておいた方が、良いかもしれない。

 それにしても、夢の中だけのあの気持ちいい放尿感は、一体何だったんだ・・・・・

トウガラシ(唐辛子)

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1762   皇帝ダリア食卓に活けモツ煮会

2016年11月15日 | 

 モツの嫌いな夫婦が貰ったモツを、「私達は食べないからあげる」と言って、私にくれることになった。それを聞いていた一人が、「今夜のモツ煮会に俺も仲間に入れろ」と言うので了承した。話が漏れて、結局9人集まることになった。

 モツだけではとても足りないと思ったので、私は水炊き用の牛肉と野菜、そして刺身を買った。会が始まる前に仲間の奥さんが、スペイン料理のパエリアとアヒージョ、イタリア料理のカルパッチョとカプレーゼの材料を持ってやって来た。なんとなんと更に別の人が、鯨のベーコン、カレー、鯖寿司、赤飯、レーズンパンを持ってやって来た。

名付けて「ちんどん料理会」or「グローバル料理会」or「?????」沢山余ったので、もう三日になるけれど、まだ残り物を食べている。

サンショウ(山椒)の実

皮は粉山椒に、実は裏山に蒔き山椒山に・・・なるかな?

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1761   木枯や選挙で蕎麦屋盛り上がる

2016年11月10日 | 

 木枯一号の吹いた、昼の湯河原のラーメン屋での、店員と客たちとの会話。「おーい、大変だよ、トランプが当選するらしいよ」「ホントかい、困ったことになったなあ」「円が101円に上がったし、株も1000円以上下がっているらしいよ」

 別の客が「なあに、大したことないよ、オバマだって『yes,we can』などと言って国民をその気にさせて、ノーベル平和賞まで貰ったが、結局核軍縮できなかったじゃないか。トランプだって、言っているほど大したことはできないと思うよ」

「ちょっと待ってよ、トランプはさておいて、オバマはイランやキューバと仲直りしたし、オバマケアという国民皆保険制度も成立させたし、民主党大統領としては、かなりの成果を上げたと思うよ」

 横で黙って聞いていたが、皆さんの発言には感心してしまった。いづれにしても、各国の政治に木枯が吹きまくっているようである。

イヌタデ(犬蓼)、アカマンマとも

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1760   冬うらら廃品回収呼び止めて

2016年11月08日 | 

 数年前、インターネットで洗濯機を買った。地元の電気店なら古いのを引き取ってくれるらしいが、インターネットではそういう訳にはいかない。お陰で、今日まで放ったらかしにしておいた。そこへ、廃品回収業の車のアナウンスが聞こえてきた。「どんなものでも引き取ります」とウグイス嬢。

 値段を聞いてみると「7,000円だけれど5,000円に負けとくよ」「えっ、高いなあ、3,000円くらいだと思っていたよ」「・・・・・じゃあ、4,000円でどう?」あっさり値下げした。相場は知らないが、引き取ってもらうことにした。

 野草茶が湧いていたので勧めると、大きな声でよく喋るおじさん。「廃品で一番困るのは何だか分かるか」「?????」「金庫だよ。あいつは6ミリの鉄板で、中はセメントだから、運ぶのはすごく重いし、分解処分も大変。大きいのは6万円でもいやだね」

バイク、自転車、電気製品、家具、布団など全てを、金属、プラスチック、木材などに分類するのは、人の手によるという。なかなか、大変な職業らしい。「でも、儲かるんでしょう」おじさんは、にやにや笑っていた。

ジョロウグモ(女郎蜘蛛)メス

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1759   立冬や釉掛け窯詰め日溜りに

2016年11月07日 | 

 さーて、いよいよ立冬、今日から冬だ。立冬から小雪、大雪、冬至、小寒、大寒、そして立春へと続く。旧暦では、10,11,12月が冬。12月30日の大晦日は、新暦では1月27日。ということは、来年は新年立春だ。

 昼の外気温が8℃だから結構寒いが、有り難いことに快晴で日溜りは暖かい。小春日と言ってもいいだろう。いずれにしても窯焚きが近く、身の引き締まる思いである。

どっかで見たような・・・・?

どこから飛んで来たのか、元気に庭に咲いている

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1758   クレオパトラの湯浴み見ていた望の月

2016年11月06日 | 

 今年も早11月。そして7日が立冬。月は45億年前、地球に巨大隕石が衝突した時にできた、とする説が有力らしい。

 月は、男神又は女神として祀られていた時代があった。例えば、ローマ神話の女神luna。中国神話の嫦娥は月探査ロケットの名前になった。日本では、太陽が女神・天照大神、月は、男神(月読命(ツクヨミ、ツキヨミ)であった。世界各地の民族には、それぞれに月の神が存在していた。太陽が昼の神に対して、月は夜を統べる神である。

 45億年間、絶えることなく地球を見続けてきた月の神は、この地球をそしてこの私を、どう思って見ているのだろうか。いづれにしても人生80年なんて、どんなに長生きしたって、吹けば飛ぶような薪の灰である。

ミズヒキ(水引)

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1757   第242回  10月岩戸句会

2016年11月04日 | 

秋の日や虎猫眠るボンネット    豊春

秋時雨伊豆の山々鎮まれり

   

月光が冷ます夜泣きの子のほてり  薪

西洋の魔女が闊歩す神無月

     

秋の日や街蹴って行くハイヒール  洋子

二人して一合で足る十三夜

 

それぞれに帰る家あり秋の暮    海人

野に座せば山より高き紫苑かな

 

我独り生き残されて今年酒     章子

秋の草活けて迎える古き友

 

坂道にしばらく喘ぎ花梨の実    鼓夢

晴天か曇天か不明な秋空 

 

稲穂波・剣・乗鞍・奥穂高     炎火

秋の日や骨格筋を締め直す

 

菊花賞夢追ふ男の丸き背な     歩智

いが栗を跳んでさけてる子犬かな

   

栗八つ拾いし季節に語る夜     美部

ジオラマの街に灯ともる秋の暖

  

三味の音に惹かれ集まり文化の日  清海

茸飯幼き頃の母のぬくもり

 

投網打つ老爺微笑む秋の鮎     余白

掃きあつむ枯れ葉が風にさらわれる

 

芒原雄叫びのことうねりゆく    稱子

病得て見ゆるものあり吾亦紅

   

鰯雲なめろう叩く出刃の音     雲水

老年や孤独と遊び月と遊ぶ

オオカナダモの花

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