生と死のささやき交わす冬銀河 章子
静かなる病棟照らす寒の月
冬の海三百号のガラス窓 炎火
帰り花ロト6の抽選日
木枯やポッケに残る映画券 豊春
冬麗児童二人の島の空
木枯に抗い雀一列に 海人
木枯や妻の寝息が時刻む
路地裏に留め置く屋台木の葉舞う 鼓夢
木枯や一行で足る日記帳
故郷の赤城山から空っ風 清海
初雪に昨日の道も通りゃんせ
頓珍館は古物商なり凩吹く 薪
狩人と二言三言離れけり
ポテチだよ君トーストねと踏む落葉 美部
初雪でイチゴメロンの山模様
枯葉らの焼却処分理に合わず 余白
落葉らは雨や陽を浴び土になる
芒原風が風呼びうねりゆく 稱子
職歴のついぞ無きかなりんご剥く
ほろほろと指から落つる零余子かな 洋子
木枯や傍にいるだけそれでいい
風の吹き荒れしあとの良夜かな 侠心
谷沿いに紅一点や烏瓜
昨日掃かれ今日も掃かれし落葉かな 雲水
夢の中で尿していた冬の朝
トウガラシ(唐辛子、唐芥子、蕃椒)