茶の花や占い通りのよき晩年 洋子
冬茜野沢菜細かく刻みおり
穏やかな白衣まぶしき冬日射 さくら
あらかたは通院記録の日記果つ
凩や炎と土の出会ふ窯 繰子
木枯や人は都会の方を向く
銀杏降り敷く側道の喫煙所 稱子
忙中閑ありダンスパーティ冬銀河
まどろみをむさぼるねこのこはるかな 海人
民の声谺と化して山眠る
枯尾花派手はでズボン散歩中 豊春
冬の波風切るマスト鳴り止まず
力道山床屋で見てた師走かな 炎火
ずわい蟹印刷された市営バス
太古の地層に挑みつづける冬の波 薪
ローストビーフ薄く切り分け冬の波
一茶似のばば大根で道を指し 歩智
冬空に白い煙高く昇りて
追う熊手逃げる枯葉と競い合い 余白
紅葉も散華も見せて桜生く
凩や心の奥を吹き抜けろ 沙会
冬晴れの海も大好き大空も
隠れ茶屋昼会席のクリスマス 裕
豆柴のまき毛も伸びる日向ぼこ
枯れ枯れて風の流れの冬芒 イヨ
足元を音なく跳ねる冬の雨
独楽遊びしてる子を見た人はいる? 貴美
餅つきも凧揚げもなくお正月
息を呑む丹沢連の美しい雪 鞠
山積みのみかん人・人群がるよ
年の瀬の浮世を覗く梅一輪 雲水
わびしさとさみしさ満ちて冬の波