虹二重即位の礼を祝いけり 歩智
路地の先野菊そろって先始め 〃
やわらかな風に芒の筈なのに さくら
それぞれに思う手仕事秋時雨 〃
高層はガラスの城や秋日さす 炎火
秋の空傷つきやすきオゾン層 〃
皇宮に響く礼砲秋の虹 稱子
独り居の九十五才金木犀 〃
晩秋の秘境の宿へ沢の音 イヨ
夕暮れを静けさ語る芒道 〃
咲きました入笠山のホトトギス 鞠
台風やカレー作りを一身に 〃
睡眠剤の効いてくる頃残る虫 薪
愛猫のお骨は鳴れり秋夕焼 〃
草かげに野ザルの母仔青みかん 裕
ちろろ酒暮色のとけて月を呑む 〃
さり気なく一句浮かんでとろろ汁 沙会
秋めくや一つ咳して山の風 〃
白秋の童話館やもみじ雨 貴美
台風に荒れて静けな箱根道 〃
残る虫介護する人される人 海人
亀虫一匹上へ下への大騒動 〃
のら猫の通り道なり酔芙蓉 パピ
ちちろ鳴く弔辞を読んだ兄も逝き 〃
紅玉の酸味が旨しパイ作り 洋子
迷いてもこれで良かった鳥渡る 〃
カマキリが姿勢正して旅たちぬ 余白
庭仕事木犀の香が身を包む 〃
ジジババの月見団子や昼の宴 豊春
大根菜を間引く足元揺らぎけり 〃
残る虫死は安らぎと宣く 雲水
ほくほくのこころ初物栗御飯 〃
シュウメイギク(秋明菊)