一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2791  秋の暮テネシーワルツ不思議よね  釣舟

2022年09月26日 | 

 世の中には、不思議な曲が沢山ある。例えば「テネシーワルツ」である。英語だから、特別歌詞の意味を調べようともせず、長い間聞き流していた。

 ある時、詩の意味が気になり、調べて見て驚いた。

わたしの愛しい人と

テネシーワルツを踊っていたら

古い友人と偶然出会った

彼女にわたしの愛しい人を紹介して

二人は一緒に踊っていた

そして友人はわたしから彼を奪ったの

世界で大ヒットした名曲と言えるが、友人に恋人を盗られた実に情けない詩だったのである。日本の歌謡曲にも失恋や恋人に捨てられて嘆くような詩の曲が結構大ヒットしている。例えば「少しは私に愛を下さい」である。共通点は、作詞家が男性で主人公は女性。典型的な哀れな女の歌である。

ツリガネニンジン(釣鐘人参)

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790  てのひらの深さを知るための一生月に向って泳ぐ者なし  静

2022年09月19日 | 短歌

 先日、伊豆山神社で「源実朝を偲ぶ仲秋の名月伊豆山歌会」があった。たまたま来客の方から投稿のお誘いがあったので、急遽短歌を作り二首投稿した。そのうちの一首

 クレオパトラの湯浴み見て来た十五夜の月ぞわれらの部屋を覗きぬ

が、選者である大森靜佳先生から天位をいただいた。私の短歌は置いておくとして、靜佳先生からいただいた色紙の短歌の解読が難しい。てのひら(手の平、掌)に深さなどないし、「それを知るための一生」も意味不明。「月に向って泳ぐ者なし」もロケットに乗ったとしても、水もないから泳げるはずもなく当たりまえ過ぎる。しかし、そう断定してしまっては話にならない。そこで、深読みが必要になる。

 さて、一生をかけて知らねばならないことが「掌の深さ」なのであろう。これは、哲学的命題かもしれない。例えば「私とは何か」「私は何をするために生まれて来たのか」「神仏は、存在するか」「愛とは何か」「美とは何か」「何故人間は戦争をするのか」等々、人によって他にも様々な命題があるだろう。

  最後の七七に突然「月に向って泳ぐ者なし」とあるわけだが、作者はこれを肯定的かそれとも否定的に捉えているのか、は不明である。前の五七五は、自分のこと。後の七七は、他者、社会のことではないのか。悲嘆といえば大袈裟だが、否定的に見ていると考えて良いだろう。月へ泳ぐような実に困難なこと、例えば 先の哲学的命題も含めて「核兵器をなくす」「戦争をなくす」「平和裏に社会を変革する」いずれにしても、作者が人類をそして社会を嘆いている、と考えるのはどうだろうか。

 

 

 

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2789  有東木や川の流れと山葵ソバ   流水

2022年09月12日 | 

(うとうぎや かわのながれと わさびそば) 

 

  有東木は、静岡市葵区の山間地にある地名。江戸時代初期に、ここのワサビ山付近に自生していたワサビを移植し、栽培を始めたのが、日本のワサビ栽培の発祥とされている。

  作者は、小川のせせらぎを聞きながら、有東木の「うつろぎ」という蕎麦屋で山葵たっぷりのざる蕎麦を食べたそうな。「うつろぎ」という蕎麦屋の名の語源は、「空ろの木」中が腐って空洞ができた木であり、春に花咲く(卯の花)ウツギの木でもあり、「移ろう」世は常ならずの「無常」にも通じています。

  葵区の葵は、当然ですが徳川幕府の「葵の御紋」からきている。徳川の葵はフタバアオイ(双葉葵)で、ワサビの葉がフタバアオイと似ているから「山の葵」ですね。

カラスウリ(烏瓜)の花

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2788  白亜紀の巨大足跡大旱   マープル

2022年09月10日 | 

(はくあきの きょだいあしあと おおひでり)

 先日、干ばつのため、テキサス州パルキシ川の水が干上がり、川底から白亜紀の恐竜の足跡が発見されたと、ニュースで放送された。勿論それ以前から、恐竜の足跡は中国など世界各地で発見されている。

 白亜紀とは、地球の地質時代の一つで、約1億4500万年前から6600万年前を指す。この時代は、前のジュラ紀から続く中生代の最後の時代である。温暖で安定した気候が続き、ティラノサウルスなどの大型恐竜、翼竜などが全盛を迎えたが、6568万年前に、メキシコのユカタン半島に巨大隕石が落下し、地球上の生物の七〇%が絶滅した、と言われている。

 最近、60%のヨーロッパが干ばつで、特にスペインなどでは乾燥による森林火災が多発している。又、干上がったドナウ川やライン川の川底から、足跡の他にも沈没した船や飛行機の残骸などが現れた。更に飢餓の石と言われる、渇水した年代が刻まれた岩も現れた。一方アジア各地では洪水が多発し、地球上で洪水と乾燥という異常な気候変動がみられる。

(タカサゴユリ)高砂百合

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2287  秋暑し象の花子の鏈錆び  吟

2022年09月04日 | 

(あきあつし ぞうのはなこの くさりさび)

  日本全国各地に動物園があって、上野動物園など子供たちを中心に活況を呈しているが、世界各地から希少な動物を集め、狭い檻に閉じ込めて飼育することに、私は反対する。何故なら例えば、宇宙人がやってきてあなたを捕らえ、地球という所に面白い生き物がいるといって連れてこられ、宇宙人の動物園の檻の中で展示されたら、ぞっとしませんか。

 子供たちは、大きいもの、強いもの、可愛いものが特に好きらしい。つまり動物園での人気者は、象、キリン、虎やライオン、そしてパンダ、ペンギン、ラッコ・・・なのだ。

 さてこの句、人気者の象が錆びた鎖に繋がれている。ここには象の尊厳を奪っている人間の鎖という傲慢があり、秋暑しという季語によって、象へのいたわりと共に、作者の嘆きや悲しみ、そして憤りが感じ取れるのである。

 作者によると、戦前戦後の食糧不足により、動物園が次々と閉鎖され、多くの動物たちが餓死させられた、という。アフリカのみならず、食料自給率の低い日本の国民も、気候変動や戦争などによって輸入できなくなれば、餓死させられるかもしれない。他人事ではないのだよ。

キョウチクトウ(夾竹桃)

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2286  第312回 岩戸句会 8月

2022年09月01日 | 

新涼の風遊ばせて大欅        吟

秋暑し象の花子の鏈錆び       〃

 

河底に白亜紀の足跡大旱       マープル

ヤンマ飛ぶ五百羅漢の人臭し  

 

秋めくや寝転びながらトルストイ   杏

黄昏てひぐらし鳴くや鳩も鳴く

   

有東木や川の流れと山葵ソバ     流水

夏の海加山雄三コンサート      〃

 

夏草や父祖伝来の家壊す       さくら

赤富士やまさしく赤し裾広し     〃

 

マスクしてはてさてどなた秋刀魚買う  心

命日に汗したたりて墓掃除       〃

 

富士の山逆さに有りて湖の秋     信天翁

立秋のさざなむ川瀬雄として     〃

 

炎帝や破れズボンの娘達       豊狂

墓洗うアルプス望む父母の里 

   

足をとめしばし見つめる我が秋愁   吠冲

米国の草虱国家果てるのみか     〃

    

玄関に満杯の靴盆休み        ルパン

来年も来来年も墓洗う

 

九谷焼赤の輝き残暑かな       黒薔薇

夢でもよい逢いたし煙墓洗う  

 

盂蘭盆会大雨兵馬俑語り       翠風

花火上げ赤ちゃん一心伝心      〃

  

満月や月下美人の香り嗅ぐ      伊豆山人

赤トンボ猛暑の中をはずんでる    〃

 

ぶかぶかの寝間着よろこぶ夜の秋   釣舟〃

今日もまあなんと蒸すずらそうざんしょ

 

タマアジサイ(玉紫陽花)

 

 

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