一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

1456   福寿草大笑いして風の中   沙会

2015年02月27日 | 

 この句に切れがあるとすれば、「福寿草/大笑いして風の中」の/であろう。そして、大笑いしたのは文法的に、①比喩的に「福寿草」と解釈できるが、福寿草が笑うはずもないのだから②作者か別の人間かもしれない。更に③福寿草も人間も共に大笑いしたのかもしれない。読者がこの中のどれを取るかは、読者の勝手である。

 この句の「大笑い」という大げさな言葉こそ面白い、という人もいるだろう。又、「微笑む」「含み笑い」くらいに抑えた方が良いという人もいるかもしれない。

この梅も笑っているように見えなくもない。

いやいや、あら不思議、笑っているように見えてきたぞ。

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1455   春一番ヤッテミナハレ告白を   香杞

2015年02月26日 | 

 「何をグズグズ悩んでいるの。じれったいわねえ。あんた男でしょう。男なら好きなら好きと告白しちゃいなさいよ。彼女、もしかするとあなたの告白を待っているかもしれないんだよ。いつまでもグズグズしていると、あんたに愛想をつかして誰かのところに行ってしまうかもよ

 振られることを怖がるなんて、男じゃないでしょ。そして、告白して万一振られたら、きっぱり諦めるんだよ。女なんて他にごまんといるんだから」

湯河原、幕山梅園

 

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1454   凹みたる踏絵五島に残りをり   さくら

2015年02月25日 | 

(へこみたる ふみえごとうに のこりをり) 

  江戸時代、キリスト教を禁じた幕府は、長崎奉行に命じ、年に数度「キリシタン狩り」のためにキリストや聖母が彫られた板などを踏ませたという。

  長崎丸山町の絵踏は、旧暦1月8日。化粧し着飾った遊女たちが居並ぶ中、役人は遊女の源氏名を読み上げる。遊女は次々と素足で踏んだという。絵踏の日に衣装を着飾ったのは、多くの人出があり、店も立ってお祭りムードに包まれたためだそうである。

 何百万人もの人々が踏んだ銅板の踏絵は、きっと擦り切れてへこんでいるに違いない。

ヤマナメクジ

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1453   春の夜の「君の笑顔は価千金」

2015年02月24日 | 

  一、二週間前位からだろうか。私の枕元のラジオから、NHKラジオ深夜便の「君の笑顔は価千金」という曲が流れてきた。作詞阿木燿子、作曲宇崎竜童。良かったら聞いてみて下さい。

 宇崎竜童氏のダウン・タウン・ブギウギ・バンド」で『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』が大ヒットしたのが、1975年(昭和50年)あれから40年も経っていたんだ・・・・・

菜の花

 

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1452   猫の恋餌台に置く餌切りもなし

2015年02月23日 | 

 日本で飼われている犬、およそ1200万頭。猫、1000万頭。但し、猫は、野良が多いから、犬と大して変わらないか、犬以上かもしれない。

犬猫は、牛や豚、ニワトリのように人間様の食糧にならなかったのが幸運である。野生の鹿、熊、猪、狸、兎、雀、鶫など・・・・・様々な動物が人間様の食糧になっているのに、である。

 一体、何が違って犬猫は食われずに済んでいるのか、原因は犬猫にあるのか、それとも人間にあるのか・・・・・今夜は眠れそうにない。

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1451   春キャベジ菜花に浅利若布買う

2015年02月22日 | 

(はるきゃべじ なばなにあさり わかめかう)

 宮沢賢治の童話の中に、キャベツのことを「キャベジ」と呼んでいたのを、ふと思い出した。和英辞書によると、英語表記は「cabbage」、発音は「kǽbidʒ」だから、賢治の「キャベジ」がより実際的であることが分かった。

 尚、「キャベジ」には、「ぐうたら」とか「植物人間」というような、侮蔑的な比喩にも使われるそうだから、ご注意を。

ミモザ

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1450   真つ直ぐに育てし杉の花粉かな   凛子

2015年02月20日 | 

 「杉や桧は、生来もって真っ直ぐに育つのもじゃないか。なんて当たり前のことを言うつまらない句だ。バッカじゃないの」なんて思ったけれど、どうもそうとは言い切れない。

 そこで杉と言えば、縄文杉とも言われている屋久杉、現代の建築材料としては吉野杉、秋田杉などが有名である。それ以上に問題は、戦後植えられた大量の杉が、日本全国に乱立している、ということだ。最近では、天気予報で「杉花粉予報」が出るほど日本人にとって杉花粉が脅威を与えている。

 さてこの句、杉も人間と同様、放って置いてもちゃんと育つわけではない。毎年枝を払い、間伐し、下草を刈らねば真っ直ぐに育たないのだ。

 それにしても最近、鼻がむずむずし、くしゃみが多くなった。

 

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1449   風光る一つは友の帆なるべし   むく

2015年02月19日 | 

  帆(sail)とは、風により船の推進力を得るための器具である。ほとんどが、柔軟性のある布である。日本丸のような外洋を航海できる千トンを越える大型帆船もあるし、競技用大型ヨット、一般的な小型ヨット、小型漁船や更にウィンドサーフィンまで、様々な帆がある。これに、歴史的な帆まで加えたら、その種類は膨大だ。

 「帆なるべし」とは、文法的には①帆であるべきだ。であるが、その中には作者の思い込みや推測、願望なども含まれていて、②帆であるに違いない③帆であるかもしれない➃帆であって欲しい、というような推測も成り立つ。

 『俳句は省略の文学』と言われるが、この句のように、省略して詠み手に読み方の下駄を預けることが大事なのであろう。

「風光る」は、面白い季語だ。別に風が光っているわけではないからだ。では、何が光っているのだろうか。この句の場合は、勿論、帆であろう。しかし、太陽光線の角度は一定でも、帆の角度は様々だから、どんなに多くの帆があっても、今光って作者に反射している帆はほんの少ししかない。

 更に、光っているのは、帆だけではなく、波、雲、更に背後の町や山並などにも思いを馳せる必要がある。

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1448   草の芽や豊かな昭和しか知らず   美奈子

2015年02月18日 | 

 1945年(昭和20年)敗戦。アメリカの原爆を含む爆弾投下で廃墟と化した日本各地の都市が、1950年(昭和25年)の朝鮮動乱をきっかけに戦後の復興が始まり、若干の浮沈はあったが右肩上がりの好景気に沸いた。それがなんと1991年(平成3年)まで40年余りも続いたのだ。

特に自動車、電機などの輸出産業、建設土木などの国内産業も、つまりほとんどの産業が戦後復興好景気に踊ったわけだ。しかし、そんな好景気が永遠に続くはずはない。

 戦後生まれの私達団塊の世代は、どうやら戦争を知らずに死んで行けるらしい。しかしそれは、単なる偶然であって、何の努力もせずに得た幸運なのである。

 そんな危機感のないぬるま湯を生きてきた私達は、多くの負の遺産を残して死んで行くのではないか、そんな気がしてならない。

フクジュソウ(福寿草)

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1447   蕗味噌の蕗の悲しみ含みけり

2015年02月17日 | 

 生命の起源説には3種類ある。

第一は、超自然現象としての「神のなせる行為」とする説。ギリシャ神話など。

第二は、地球上の科学進化の結果とする説。進化論など

第三は、地球外からやって来たとする説。パンスペルミア説など

  現在の主流は、第二の科学における仮説で、その多くは、チャールズ・ダーウィンの進化論によるものである。つまり最初に、無性物質から単純で原始的な生命が生まれたとし、その後より複雑な生命へと変化することが繰り返されたのだろうと推察している。但し、生物が無生物質から発生する過程は、証明されていない。

  さて、進化論が正しいとして話を進めると、あらゆる生命あらゆる動植物は、最初の生命誕生の微生物を起源としている。

 その地球生命の頂点に君臨する「愚かで傲慢な人間」は、枝分かれして別の種族に変化した動植物を殺生して、それを食べているのだ。

ヤマガラたちの動画

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1446   満作の香を出て梅の香に入る

2015年02月15日 | 

 唯今、満作が満開です。展示室の花瓶に一枝挿したところ、かなり強い香りが漂っています。不快ではありませんが、菊に似たやや強い刺激臭があります。マンサクは、満作、万作、金縷梅と3種類の書き方がありますが、満開なので「満作」を選びました。

 玄関を出て窯場に向かうと、五分咲きながら白梅の甘い香りに包まれます。やはり、「香りの梅」と言われる訳だ、と素直に納得しました。

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1445   犬が主人あなたが下僕なる長閑

2015年02月14日 | 

  我が家のデンは、犬好きで人間の女好きなのに男嫌いである。嫌いというより、怖いらしい。だから、知り合いの監督が呼んでも、餌をあげようとしても決して近づこうとしなかった。

 ところが、何度も来て何度も餌を上げるので、ようやく逃げなくなった。逃げなくなったどころか、突然前足で足を突っつくし、鼻で腕を突っついて餌をねだるようになった。

 知り合いの監督は大喜びで、餌のクッキーを次々に何度も上げることに。それを側で見ていた奥様が言いました。「あなたがデンちゃんの下僕になったみたいね」

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1444   父母の忌は二月なりけり梅真白

2015年02月13日 | 

 くも膜下出血で母を、心筋梗塞で父を、共に2月に緊急入院し、一週間の看護の後、病院で見送った。当時は、入院した病院の不手際を恨んだりしたが、今思うと、あながち不運だったとは言えない。

 何故なら、テレビの特番で知ったことだが、親が半身不随になったり、認知症になったりして、大変な思いをしている子供達が何百万人もいるからである。介護のために仕事を辞めたり、老老介護つまり、介護する側も高齢化して大変なのである。

 長寿は、若い人達に大きな経済的負担を強いている。60才で退職し、20年も年金で悠々自適といった生活は、近い将来夢物語になるだろう。

 いづれにしても、1年で最も寒いこの時期に死にたくはない。桜の咲いている満月の夜が良いと、西行さんも言っている。

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1443   浅き春竹林に聴く根の軋み   眞

2015年02月12日 | 

 この句の「根」は、勿論土の中に埋もれている「竹の根」であろう。その根が軋んで音を発し、その音を「聴いた」という。耳をそばだて、聞こうとして聴いたのである。しかし、そんなもの本当に聴こえたのであろうか。

 確かに、竹の地下茎には、筍(たけのこ)が芽生え、地面を押し上げ始めているのだから、音があって当然であろう。耳の悪い私でも、聴診器でも使えば聴こえるかもしれないが、風の音や竹の触れ合う音との区別が果たしてできるだろうか。

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1442   春瘡魚飲みたくなる顔来たりけり

2015年02月10日 | 

  カサゴは、笠を被っているようだから「笠子」。皮膚病に罹っているようだから「瘡魚」と書くそうです。

 又、海底で生活していて、釣り上げられると水圧のため、目が飛び出し口も開いてしまうので、安本丹(あんぽんたん)とか愚魚とか呼ばれているそうです。

 カサゴは、刺身でも唐揚げでも、煮付けても美味でありますが、1年中釣れる底物なので、俳句の季語には分類されていないようです。

 この句の、「飲みたくなる顔」というのは、勿論カサゴのことでもありますが、どちらかというと「人間の顔」のことであります。そしてこの日も、実に見事に飲み過ぎました。

 

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